脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『海と毒薬』

岸田総理による『大学無償化』によって起こり得る大惨事:ハムスター速報
知り合いの3人の子持ちの医者が万歳三唱してましたね。大学進学前提の中流階級以上に3人目を産むメリットを与えるいい政策なんじゃないかなと思います。全く持って弱者救済ではありませんし、これやるならまずFラン全部駆逐してからにしろとは思いますが。


 融通が全く利かない人と人の話を聞きすぎて意見がコロコロ変わってしまう方と、それぞれの別ベクトルの難儀な問題に巻き込まれ中。みんなもっと中道を行こうよう。

全てがそう嘘なら本当に良かったのにね

 引っ越した先で世話になることになった陰気で得体のしれない主治医。実は彼はかつて某大学病院での生体解剖実験事件に関与していた男だった。彼はいかにしてその残虐なる事件に巻き込まれてしまったのか・・・。


 たまには世評の高い名著も読んでみようのコーナー。今回は遠藤周作出世作『海と毒薬』。高校時代に読んだ『沈黙』が実に名著だったし、題材の九大生体解剖事件も興味深いテーマだしとwktkして読み始めたのですが、感想は正直期待外れ。序盤こそ、装飾過多なキャラ造形や構成や設定でケバケバしい最近の小説群とは違う朴訥で力のある文体ですごく引き込まれたのですが、本題に入ってからはそんな文章の美しさでは糊塗しきれなくなるほどの粗がボロボロと。まず日本人サゲ医療関係者disの意図が強すぎて登場人物全員が何の魅力もない醜悪な存在に描かれており感情移入のしようのないありさま。「キリスト教って規範がなければ人間はここまで堕落する」って言いたいんでしょうが、現代の問題意識で読むと周回遅れ過ぎてそっちに共感するのも難しいし・・・。モデルの九大生体解剖事件に力があるのでそれに引っ張られて最低限の面白さはありますが、それならそれで大人しくノンフィクションを読めばいいだけ。半端な「思想」で汚されてない生成りの知的興奮を味わえます。という訳で、いい意味でも悪い意味でも過去の遺物な小説でした。

街明かり華やかエーテル麻酔の冷たさ

 「権貴の徳は、賢士に下るに在り。賢士の徳は、権貴に驕るに在り」。言志四録に収載された箴言で、個人的にも座右の銘の一つにしているんですが、この小説でもそうなように、医師が世間一般から忌み嫌われて悪役にされがちな理由が詰まっています。インテリと金持ちの属性を一人が兼任してしまうと誰も批判できなくなってそら増長するよなあと。金持ちはバカで下品で、インテリは薄汚い貧乏人でなってもらわないと我々凡俗は身の置き場が無くなってしまいます。


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