脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『聖断〜天皇と鈴木貫太郎』

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今までつけられた本名とは無関係の仇名一覧。社長(小学校)、貴闘力(中学・高校(男子校))、ブヨン(同)、おかみ(バイト)。中高時代が群を抜いて頭悪いです。やっぱ男子校はひどい。


 遂に焼肉で腹がもたれるお年頃になってしまいました。加齢による身体機能低下は生物の宿命とは言え、流石に切ないものがあります。まあ原因の9割は4時間前に食ったすき家のメガ牛丼にあるだろうことは容易に想像つくのですが。


SRWZ進捗

  • 2周目第54話「魂の凱歌」大ボス連出陣。トップエース:セツコ=オハラ@バルゴラ=グローリー

聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎 (PHP文庫)

聖断 昭和天皇と鈴木貫太郎 (PHP文庫)

夢中で探したものがこんなにもそばに

鈴木貫太郎
 慶応三(1867)〜昭和二十三(1948)年。明治・大正・昭和の海軍軍人(大将)・政治家。和泉国の陣屋出身。鈴木由哲*1の長男、弟に鈴木孝雄*2海軍兵学校14期生、海軍大学卒業。
 日清戦争では水雷艇の艇長。海大卒業後、海大教官、ドイツ駐在武官などを経て日露戦争には駆逐艦艦長として従軍。戦後、水雷学校長、敷島・筑波各艦長から舞鶴水雷隊司令官と実戦、特に水雷戦の権威として部内に権威を築き、1913人事局長、次いで'14第2次大隈内閣海軍次官。その後、海軍兵学校長から第2・第3艦隊各司令長官、呉鎮守府司令長官を歴任、'23大将昇進、'24連合艦隊司令長官、'25軍令部長兼海軍将官会議議員。'29予備役編入とともに侍従長兼枢密顧問官。在任中ロンドン軍縮条約に強硬反対を唱える加藤軍令部長*3らの慰撫に努めるなど忠実な天皇側近としての態度を示したため、かえって「君側の奸」とされ、'36二・二六事件で襲撃されて重傷を負って侍従長を辞職した。'40枢密院副議長、教育審議会総裁。'44枢密院議長。'45宮中勢力からその政治的野心の無さを買われて組閣、本土決戦体制を強化して「一億玉砕」を呼号する一方、最後の望みをソ連仲介和平に託して密かに画策。原爆投下・ソ連参戦の急迫した事態の中で「国体護持」のためのポツダム宣言受諾の途を切り拓くこととなった。終戦詔勅直後、総辞職。のち'46まで再び枢密院議長、また王公族審議会総裁。(『コンサイス日本人名事典 改定新版』より引用)


 戦前最後の首相鈴木貫太郎の物語。無骨で朴訥な海軍軍人にして、忠義無私の侍従長がその信念を貫き、昭和天皇の胸奥に秘めたる平和への真なる願いををただ一人理解し、その実現に尽力した。と言った流れになっていますが、個人的には何もしなかった首相の美化が過ぎると思います。まあ、動くだけ邪魔な東条とか近衛とかの国賊共や、最後まで空気を読まなかった陸軍、美麗字句の本音は保身の一語の重臣連に比べれば相対的にましに見えるのは分かりますが、それでもやはり無理があると思います。一億玉砕の本土血戦の推進や、ソ連への和平工作の仲介依頼だのの致命的な失策はちと正当化出来そうにありません。*4そんなに無理くり英雄を作らなくても、誰もが皆貧すれば鈍しつつも、最悪の破滅だけは辛うじて回避できたその現実こそが一番のドラマになると思うのは浅はかな考えでしょうか。
 そんなこんなのいちゃもんさえつけなければ、自身を時代遅れと認識しながらも、信念は曲げず最後まで不器用に戦い続ける老将という実に日本人好みのキャラクターが活躍する痛快政治活劇となっていますので、是非読んでみてください。「読み物」としては非常によく出来ています。

不思議なほどに引き寄せられた力が導いた

 この時代を顧みるに常々思うのは、不作為の罪というか、何もやらないのは、何かをやって間違えるより余程たちが悪いということです。何度も引き返す術の訪れた先の戦争への道そこで、皆が皆世間の反発と困難を恐れて傍観してしまったが故に訪れた亡国の悲劇。それを繰り返さぬためにも、麻生閣下には目先の選挙に惑わされず消費税増税や国家財政の健全化を断行して欲しいものです。近衛や細川のような人気先行のお坊ちゃん貴族に政治は出来ないなんて風評を吹き飛ばしてください。

帰ってきた今日の一行知識

昭和天皇が政府の意向を無視して独自の意向で強権発動したのは僅か3回のみ
満州某重大事件と二・二六事件終戦の三度。ちょっと我慢強すぎる気すらします。某皇太子夫妻も見習って欲しいものです。

*1:関宿藩家老。旧姓:倉持。砲術の専門家として鳥羽伏見の戦いにも従軍。維新後は関宿町町長を勤める。

*2:陸軍技術本部長。陸軍大将。父の血を引き、陸軍の砲術畑で活躍。予備役編入後は靖国神社宮司、戦後は偕行社会長などを勤める。

*3:寛治。第13代軍令部長。陸軍大将。父直方。ロンドン海軍軍縮条約締結に当たり、巡洋艦対米七割死守に固執し、統帥権干犯問題を惹起し、のちに禍根を残す。艦隊派の筆頭として、海軍の対英米強硬姿勢をリードした。

*4:本作では、軍部や近衛の最後の足掻きを無理にやめさせたら暴発しかねないので、気の済むまでやらせておいて、その間に天皇の勅令による終戦の準備をしていたってブックになっています。