脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『天皇の歴史01~神話から歴史へ』 

【!?】小学館「ドラマ版セクシー田中さんは日本テレビに感謝している作品である」 | やらおん!
炎上の質と範囲がえげつない。けどこのレベルで炎上しといて結局出版社はダメージなしってなったら益々出版社が増長するんで、きちんとオトシマエはつけなきゃいけないんですが、なんだか嫌な予感がするなあ。


 大分風邪も治りつつあるんですが、地獄の鼻づまりで悶絶中。口呼吸ってこんなにしんどかったでしたっけ。

乾いた風に灼熱の花陽炎だけが揺れてた

天皇
 日本の古代以降の君主の称号。天皇の固有名(諡号など)、代数、在位時期、陵、世系は、1870追尊された弘文天皇*1などを含めて、「皇統譜」により定められている。
 天皇の語(和訓はスメラミコト)は中国の道教思想などから採用したもので、7世紀前期あるいは7世紀末に大王に代わる称号として使用されるようになり、天皇の先祖とされる大王らにも天皇号が付与された。『古事記』『日本書紀』によれば天皇の始祖は紀元前7世紀の神武天皇*2とされるが、中国史料や金石文で存在が確認されるのは5世紀の大王からである。天皇の地位がどのような経過で確立されたかについては、邪馬台国の所在や前方後円墳の成立をめぐる問題ともからんで未解明の点が多い。ともあれ天皇が宗教的権威を背景に官人任免権、外交権、軍事指揮権を行使する国家統治の体制が律令制度として7-8世紀を通じて確立された。天皇の権力は外戚たる摂関や退位した院がかわって行使することがあったが、統治の主体としての天皇の地位は維持されていった。12世紀末に鎌倉幕府がうまれ、以後、江戸幕府に至るまで武家支配がつづくと、外交権・軍事権は天皇の手を離れ、文官・武官の形式的任免権と改元の決定、暦の頒布など、限られた権限を行使する権威的な地位となった。皇位の継承をめぐって幕府の関与を招き両天皇の併立する時期もあった。19世紀に開国問題で国論がわかれると、天皇は幕府に反発する勢力に擁されて王政復古の名で近代国家を形成する中心となり、大日本帝国憲法立憲君主制の頂点に位置づけられた。第2次大戦後、日本国憲法天皇は日本国と国民統合の象徴と定められた。昭和天皇*3皇統譜で第124代とされているが、実在の疑われている天皇や両天皇併立時代を考えると、天皇の代数は不明というしかない。(『山川日本史小辞典』より引用)


 全く懲りずに新シリーズに手を出しましたの巻。今回は「天皇の歴史」とは銘打っていますが、実質は名著「日本の歴史」シリーズのリニューアル版と言った趣。綺羅星のごとき当代一流の学者さんたちが雁首揃えてて著者一覧観るだけで血が滾ります。
 そんな第一巻は発刊の辞と天皇号成立に対する総論と神武~天智間の各論。総論部分は非常に面白く興味深く読めたのに、各論に入った瞬間難し過ぎて何が何やらって感じになってしまい、自分の日本古代史に対する理解度が可視化されたようでちょっとしょんぼり。個人的見どころとしては、総論部分でマルクス史学からの脱却を高らかに謳い網野史観を超えた新たな史観を提示せんとの高い志に拍手喝采。とは言え、朝鮮半島周りの記述や描写になると一気にトーンダウンして、「史料ではこんな風に書いてはあるけど実際には多分・・・」って感じで韓国朝鮮に忖度丸出しな辺りが実に微笑ましかったり。マルクス主義は超克できてもまだまだ「進歩的」なのは変らずっていう現代史学会のポジションがよく分かります。次のシリーズでは是非ともさらに向こうの景色を見せてくれるといーなーと。

静けさの中恐れも知らず始まりの朝に

 ああやっぱり日本史は楽しい。このレベルの本につっかえひっかけながらもなんとかついてけるのは、専門教育受けた人間の特権ですね。実生活とかビジネスではびた一文の得にもなりませんが、娯楽としての教養を堪能するためにもみんな歴史を学びましょう。


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*1:第39代天皇。諱は大友。 父天智天皇、母伊賀宅子娘。父天智天皇の生前より後継者に擬されていたが、父の死後、壬申の乱で伯父の大海人皇子皇位を争い敗死。

*2:初代天皇。諱は 彦火火出見。父彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊、母玉依姫。和風諡号:神日本磐余彦。神武東征により奈良盆地の支配権を確立し、橿原宮にて即位。大和王権の、ひいては日本の始祖となった。

*3:第124代天皇。諱は裕仁。父大正天皇、母貞明皇后。病弱な父に代わり摂政宮として政務を総攬。即位後は「君臨すれども統治せず」のイギリス流の王権を志向するも軍部の暴走を招き太平洋戦争に敗北し亡国の危機を迎える。敗戦後人間宣言日本国憲法の導入によりGHQとの協調に成功し、冷戦下ではアメリカのパートナーとして西側諸国の重鎮となり、朝鮮特需を経て高度経済成長を実現し、ついにはバブル期の絶頂を招来した。