脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『NOVA~2023年 夏号』

【画像】婚活女性「この画像に当てはまる男とは付き合ったり結婚するのはやめとけ」:アニゲー速報
うん、納得しかない。とは言え長男NGな時点で自分も含め全雄の内2/3位は該当しちゃう気がするんですがそれは。うん、生涯未婚率跳ね上がる訳だ。


 世の中の不幸の9割は「自分が専門家より優秀で詳しい」って勘違いでプロの介入やアドバイスを拒むバカのせいな気がしてきた。と自戒を込めて。

いつの間にか諦めてることだけど気づかないふりをして

あるいは脂肪でいっぱいの宇宙

ジョン・スミスは本名です。日本語はアニメを見て覚えました。はい、そうです、ぼくはオタクで日本文化が大好きです。ニチアササイコー。夢はいつかコミケにリアルに参加することです」byジョン=スミス


 叙情的な感動ものの多かった女史が今回はコミカルなダイエットもの。日々のエッセイ連載で鍛えた洒脱で軽快な文体が最高。ただ、スミスくんの方が主人公より遥かに萌えるのはいかがなものかとw

セミの鳴く五月の部屋

—五月にセミは鳴きますか」by少年たち


 リアルジオゲッサーというか脱出ゲームというかなんでしょうが、間違われやすいスポットに住むと地獄なんですね。

ゲーマーのGlitch

絶対に成功させてみせるという強い意志。tomさんは揺らぎません!by yommy


 RTAって面白いよねと。それを上手い具合にSF小説にまとめ上げた力量はお見事。

さっき、誰かがぼくにさようならといった

きれいだ。ぼくはちょっとだけ自分と遜色がないものができるのではと期待していたが」byぼく


 うん、女性作家っぽいっていうとまたぞろ差別になっちゃうんでしょうが、またなんとも雰囲気だけのお話。

シルエ

おとうさん」byマリア


 どんな理由があろうと自我が芽生えたものをこちら側の勝手な都合で起動停止してしまう倫理観に一切共感できない

犬魂の箱

シロ、シロ。ちょっとこっちに来な」byタタラ


 シロが可愛い!それ以上の感想がいりますか?とりあえず、ここからどんなトラブルが・・・って戦々恐々としながら読んでたら平和なまま唐突に終わったのは良かったのやら悪かったのやら。

デュ先生なら右心房にいる

あの中で大人たちは死んだ目をして、未来に期待するなと繰り返している。あいつらにはわからないんだ。ここからじゃ霑椴なんて見えやしない。ちっぽけな引っかき傷すら作れない分際でえらそうに説教しやがって。byシュウ


 読んでる時は面白かった記憶があるんですが、思い出そうとしても何も浮かばないのはどうしたものやら。

ビスケット・エフェクト

漢詩にちなんでいるんでしょう。〈朋有り、遠方より来る、また楽しからずや〉ってやつ」by笹森


 冒頭の青春な雰囲気には期待したんだけどなあ。

プレーリードックタウンの奇跡

きみたちは非常に高度な言語を操る素晴らしい知的生命体なんだ」byあいつ


 動物と宇宙人とのファーストコンタクトもの。プレーリードックのヒトとは異質な知性の描写が素晴らしい。

刑事第一審訴訟事件記録 玲和五年(わ)第四二七号

俺は無罪だ。やってない」by栗田真人


 どう転ぶのかとワクワクしながら読んでたらそう落とすかとはたと膝を打ちました。

異世界転生してみたら

お嬢様は、天と地にかけて、謝られました」byあたし


 異世界転生ものも大御所が書けばここまで面白くなるんだと思いながら読んでたら、後半「日本人だから煩雑な敬語表現を理解できる」とか「ヲタク最高」とか始まって共感性羞恥で読んでられなくなった

ヒュプリスの船

もう殺人事件は起こらない」by悟堂遵


 「著:斜線堂有紀」ってだけで傑作なのは自明。てなわけで、時間すらループするクローズドサークルに閉じ込められた名探偵と犯人と極悪人と被害者と観客役の皆さんの物語。お得意の陰惨な暴力描写と特殊状況ミステリーがテツガクすら感じさせる領域へとエスカレーションしていく様は斜線堂文学の新たな地平の可能性を感じさせてくれました。

ぬっぺっぽうに愛をこめて

これにお父さんへの愛をこめて育てると、万病に効く薬になる。愛情が真に深いものであれば、不老不死の霊薬になる」by男


 web広告でよく見る「幼女がこっそり異形の生物を飼っちゃって」ものの系譜になるのかなあ。萌えと狂気が違和感なく同居している空気感は見事。

君は何か夢とかあるのかい?

 虹色に塗り潰されようとしているSF界を心から厭う身としては、「日本初著者全員女性の書下ろしアンソロジー」って惹句に憤懣やる方ない想いを抱えてましたが、手のひら返しをせざるを得ない打率と飛距離で見事なアンソロジーでした。作家にとって性別が個性でも何でもなくなる実力主義の時代に早くなってほしいものですね。妙な下駄履かされて分不相応な評価を奉られるのは作家にとっても読者にとっても何より作品にとって不幸以外の何物でもありません。


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