脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『20世紀SF③〜1960年代 砂の檻』

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最強に届かんとする才能を持ちながらトラウマや迷いでそれを封印しているって設定が大好物。具体的に言えば、スパロボOG外伝のフォルカ=アルバーグ。「今一度!俺は阿修羅の道を往くッ!!」サイコーですね。


 齢30にして新たな趣味に目覚めました。それはプラモ作り。ああますますアウトドアが遠ざかる。


SRWZⅡ破界篇進捗

  • 4周目第21話「明かされる真実」クリア。トップエース:クロウ=ブルースト@ブラスタ。

20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻 (河出文庫)

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誰もが純粋さを私に望むけど

復讐の女神

「人間であることを捨てたときから、彼は人間以下の、そして人間以上のものになったんだ。彼はまだまだ死なない」byベネディック=ベネディクト
 

 B級SFを無理くり高尚にしようとしてド派手にこけてる感じのお話。ジャパニメーション的物語構造に慣れた身としては敵役のはずのコーゴの方にどうしても肩入れしてしまうのも難点。

「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった

「この〈道化師〉とは誰なのか?」byチクタクマン


 チクタクマンによって1分1秒までも厳密に管理されてしまうようになったディストピアを掻き回す一人のハーレクインの物語。哲学的な雰囲気とB級ドタバタコメディーの空気が違和感なく同居する実にエリスンらしい作品。タイトルが無駄にかっこいいわりに内容がないのも実にエリスン

コロナ

「わたしは子供じゃないの!あなたたちのだれよりも長い年月とたくさんの場所を生きてきたの!」byリー


 一方通行受信型テレパスの能力に苦しめられる少女と、最底辺から這い上がってきた恵まれなくも逞しい少年との清く正しいボーイミーツガールなお話。正直SFである必然性は皆無。

メイルシュトレームⅡ

「ダーリン―クリフだ。すまないが、約束をまもれなくなった。家に帰れそうにない」byクリフ=レイランド


 単純な物語構造と簡潔な文章の短編でどうやったらここまでしっかり起承転結と最高の読後感を構築できるんでしょうか。A.C.クラークA.C.クラークたる所以ががよく分かります。

砂の檻

「ブリッジマン、おりてこないか?次の合は明日だぞ」byトラヴィス

 
 小難しいのが高尚って風潮はどうかと思います。

やっぱりきみは最高だ

「そうそう、あたし、今週で番組を降ります。土曜日かぎりで引退させていただくわ」byアン=ボーモント

 
 「他人に感情を発信できる機械がマスコミュニケーションの娯楽手段として定着している」って最高に興味深い世界設定で繰り広げられるありきたりで退屈なラブメロ。正直素材の味が完全に死んでます。このアイデア翻案して誰か一本書いてはくれますまいか。しかし、この世界でもダチョウ倶楽部や出川はリアクション芸人やれるのかどうか興味がつきません。

町かどの穴

「あれえ!おまえ、パパじゃないな。なんかの怪物だな。あたし、てっきりパパと思っちゃった。だって、パパそっくりなんだもん。そっくりじゃないけどさ」byフレゴナ=フース


 狂気に満ちた狂気の狂気描写。頭がくらくらしてきます。

リスの檻

きっとあなたは彼らの正体を知っているのだ、薄情な読者であるあなたはbyぼく


 僕は見られてる。自分は動物園の檻に閉じ込められた哀れな観賞用動物に過ぎないのではないかの不安の独白の前半パートはともかく、自己満の詩を語りだしてからは興醒め。ラストシーンの独白がすばらしいのは救いか。

イルカの流儀

「つまりイルカのほうもぼくらを理解しようとしてるんだとね。それも、ひょっとすると、何世紀にもわたって」byマルコーム=シンクレア

 
 メリケン人はイルカ大好きなんだなって再確認させられる作品。そりゃあイルカ漁なんか見たら発狂するわ。さて肝心な物語の方は困難な異種間コミュニケーションを乗り越えた果てに判明する驚愕の真実って構成で実に良作。文句のつけようもありません。

銀河の〈核〉へ

「抽象的な知識への関心というのは、純粋な好奇心と同義語なんだ」byバーオウルフ=シェイファー


 銀河中心部への冒険を依頼されたシェイファーと、超現実主義的な守銭奴クライアントのパペッティア星人との異文化コミュニケーションが主題の本作。パペッティア星人のやり口に辟易させられる前半とパペッティア星人との対話で自身の思考を深化させていく後半パートが好対照を成してます。

太陽踊り

「もしもだよ、オオグイがただの害獣じゃないとわかったら、どんな気がする?たとえば、やつらが人間なみの種族で、言語や、儀式や、歴史や、そんなものがちゃんと備わっているとしたら?」byハーンドン


 白人様の目には、下等な有色人種の駆逐はこう見えていたんだなーって作品。彼らにも立派な文化があったのかも知れないと苦悩するふりが実に腹立たしいです。

何時からおいでで

「あいにく、マイナスが出たんです。ちょうど世界を破壊するだけ」by時間旅行者

 
 ショートショート。これは反則過ぎる。よくできたコメディーホラーです。

讃美歌百番

「興味ある点は、前内旋暦一五五六年のむかし、きみのその小曲とおなじものがノラックス編のアングロ・ジュネーブ派の詩篇曲にひそんでおり、調べてみればそれが詩篇第三章の趣旨を―」by先達


 小難しいのは・・・

月の蛾

「好きな仮面をつけていい―もし、それで通せるならね」byエステバン=ロルヴァー


 ソードワールドとかルナル・サーガなんかのSNE謹製TRPGの匂いのする世界観。つーか多分こっちが元ネタでしょうね。和製ファンタジーの直系の先祖はSFにあるってのがよく分かる気がします。仮面によって象徴される社会身分と種々さまざまな楽器で繰り広げられる儀礼と約束事に満ちたコミュニケーション。正直ご飯何杯でもいけそうな面白い設定でWKTKさせてくれるのですが、そこで繰り広げられるのがありがちなミステリーってのがちと残念。こういうのは小説読むより設定資料眺めてる方が絶対楽しいです。

何処で答えを探せばいい?

 エリスン・クラーク・ディクスン・ニーヴン。面白いのはやはりこういった有名どころ。ヴァンスって掘り出し物はありましたが、なかなか新規開拓は難しいです。けどだからこそ、読書ってのはやめられないんでしょうけどね。

美しければそれでいい

美しければそれでいい

帰ってきた今日の一行知識

真のSFとは「健忘症の男が浜辺に寝ころび、錆びた自転車の車輪をながめながら、自分とそれの関係のなかにある絶対的な本質をつかもうとする」物語
byJ.G.バラード。そんな衒学的なこといってるから衰退したんだ。といいたくなります。カウンターカルチャーが、高尚だの一般受けだのに欲目みせたらあきません。