脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

五十嵐年俸と祥瑞瑞祥と中国の宦官について

http://www.kajisoku.com/archives/eid1616.html
サヨナラ。短い間でしたが楽しませてもらいました。


 母方の実家の江田島に墓参り。米軍弾薬庫のある山の上から音戸の瀬戸に浮かぶ護衛艦の群れを眺める。お好きな人にとってはこの状況天国なんだろーなー。

毒されても無漏に還る 堪えきれない醜い阿修羅よ

五十嵐圭+年俸

2006-11-04 - 脱積読宣言

五十嵐圭
1980.5.7生まれ。新潟市出身。180?67?。背番号7
北陸高校(1996-’98)→中央大学(’99-2002)→日立サンロッカーズ(’03〜)
タイトル
キリンカップ優秀選手(2005)

年俸
一年間の俸給。年給。(『大漢語林』より引用)


類まれなるルックスと確かな実力でスターの座を譲らない五十嵐圭選手の年俸は僅かxx万!無能で華もない野球選手連中に比べてなんとつつましい額なのでしょう。・・・と書く予定が、五十嵐選手の具体的年俸が分からなかった所為であっさり頓挫しました。
 さあどうしてくれよう。とグーグル先生に相談しましたら、ウィキペディア教授を紹介してくださり、それによると、日本プロバスケチームは総年俸6000万制限のサラリーキャップ制が導入されているとのことでした。やはり予想通り、メジャーに引っ張られてインフレの止まらない野球界に比べると、身の丈にあった堅実な経営をしているようです。NPBも早くサラリーキャップ制の導入に踏み切って欲しいものです。そうすればカープにも再生の目が・・・出たらいいなぁ。

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祥瑞+瑞祥

優しい悲劇 - 脱積読宣言

祥瑞
1、めでたい時に現れるしるし。
2、白い釉薬で光沢のある染付け磁器。明末に、日本の茶人の注文によって景徳鎮の民窯で焼かれたもので、祥瑞*1は明末の陶工と言われる。
(『大漢語林』より引用)

瑞祥
 めでたい兆し。祥瑞。(『大漢語林』より引用)

 瑞祥・祥瑞。上の辞書的説明にもあるように、めでたいことの起こる前触れです。麒麟が人里に下りてきただの、受胎した際にお腹に光の玉が入ってきた、などの怪異から、虹が出た、蚊柱がたったなどの身近な幸せまで洋の東西を問わず種々様々な種類のものがありますが、大概は後付け万歳な権力者の箔付けに利用されがちです。最近ですと、北朝鮮金親子がらみが一生懸命やってるみたいです。一応民俗学的に分厚い研究があって、シルクロードを通じた祥瑞の伝播の研究など面白そうなものもありましたが、今回は省略させていただきます。
 最後にこの二つの単語の出典の紹介。まず一発変換でも出てくる「瑞祥」の方ですが、実はこれ出典が日本の平安時代末期の辞書『色葉字類抄』な「日本語」です。一方のちとマイナーな「祥瑞」の方は『漢書』の列伝の中の「元后伝」に出自を持つ由緒正しいものだったりします。ホント「正しい日本語」ってなんなんでしょうね。



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宦官+中国

ネコミミモード - 脱積読宣言

宦官
 宮廷で使役された割勢の男子をいう。この制度は古く西アジアに存在するが、特に中国で盛行した。中国の宦官は周代からあり、閹人・寺人と称され、その後清代まで継続した。古代には宮刑に処せられた罪人を以ってあてたが、隋以後宮刑が廃止され、異人種の俘虜、外国よりの貢進者、自宮者から補充した。自宮は本人自身または親が実子及び養子を割勢する場合で実子割勢を除いて法律上禁止(明律・清律)されているが、宮廷が実際に宦官を要求するので禁令の効果がなかった。その職務は賤しい雑用に過ぎなかったが、絶えず天子・後宮に接して次第に政治上の実権を握り、やがては王朝の運命を左右するに至った。秦の宦官趙高*2始皇帝*3の死後、庸主胡亥*4を擁して破局を招き、後漢に入って和帝*5以後天子が幼少で母后の後見が多かったので、次第に政治に容喙し、外戚勢力と争ってこれに勝ち、ついに天下を大乱に陥れた。唐代には兵権を掌握し、穆宗*6以後天子の廃立(定権)が全くその手にあった。「定策の国老、門生の天子」といって、天子は受験生のように従順であることを要求した。明は国初宦官に対する取締りが厳しく、皇帝の権力が強かった為、あまり大きな勢力とはならなかったが、英宗*7以後は宰相の職を行い、軍事・警察・司法もまたその手に握られた。しかし明代には一度天子の信頼を失えば忽ち失脚するので、この点は漢唐とは異なっている。宦官の中にも後漢蔡倫*8、明の鄭和*9の如き有用の人物も時に存した。日本は穢れを忌むので宦官がなく、ヨーロッパではキリスト教普及以後存在が許されなくなった。(『新編 東洋史辞典』より引用)

中国
 歴史的には中国とは周囲の夷狄に対立する概念で、華夏・中華と称する如き文化の優れた民族の国土、具体的には漢民族の住地を指す。その範囲は時に従って変動するが、古く周初の頃にあっては河南省を中心とした付近数省の半部ずつを合わせた地域に過ぎず、南は揚子江の流域に至れば既に荊蛮の住地であった。その後中国文化の伝播と共に中国の範囲も広まり、宋元の頃に至って所謂本部十八省がほぼ中国と同義語となったが、なお南方山間には異民族の住地が広く横たわっていた。然るに清朝による強力な支配は次第に漢族と領内異民族との対立を解消させ、近代ヨーロッパ諸国による国境への重圧は、中国領土をそのまま中国とし、領内の民族を単一化して考えようとする方向を生じさせた。孫文*10民族主義は、外国に対しては中国の独立を主張し、内部異民族に向かっては漢化を推進しようとするものであった。辛亥革命に際しては五族協和が唱えられた。国家が近代化すれば中国国籍を有するものは悉く中国人となるのは自然の勢いであるが、中華人民共和国の成立以来、政府はこの政策を推進し、その領土は全て中国であり、その国籍を有するものは悉く中国人であり、国内で話される言語は全て中国語であると定めた。しかして従来の中国人は漢族、従来の中国語は漢語と呼び替えられ、同じ中国中の蒙古族、同じ中国語中の蒙古語と並存する地位を与えられた。現今の中国はほぼ清朝末年の領土を継承するが、ただ外蒙古の全域が除外されている。その面積は約9,597,000k?、人口は1978末推計で9億*11を超え、これを北京・天津・上海の直轄市と、河北・山西・遼寧吉林黒竜江・陝西・甘粛・青海・山東・江蘇・安徽・浙江・福建・河南・湖北・湖南・江西・広東・四川・貴州・雲南の各省、及び内蒙古寧夏回族・新疆ウイグル・広西江族・チベット自治区に分けている(『新編 東洋史辞典』より引用)

 男の子にこの世の悪夢はなんぞや、と問わば禿とワンツーフィニッシュ間違いなしなのが、インポ。その女性には決して分からぬ恐怖を、立身出世のその為に乗り越えた異形の集団「宦官」。自身のプライドの原点たるファロスと引き換えに得たその権力は如何な蜜の味がするのか?
 と言うわけで、宦官の本場中国の事情を眺めてみたいと思います。子孫繁栄を絶対命題とする儒教道徳下では、子孫作成の術を失った宦官は差別対象でした。そんな彼らが権力に接近できたのは皮肉にも差別される理由の一つでもあった儒教の男尊女卑の風潮ゆえでした。他国の後宮では囲われた女性自身がある程度行っている後宮の運営ですが、儒教国では「雌鶏の鳴く家は滅ぶ」とすら言われるほどの、女性の事務能力の軽視の所為で、男子禁制のはずの後宮内でも事務を差配する男性が必要とされるという矛盾が発生してしまったのです。その為皇帝権力に接近する為のルートに正規の科挙経由の官僚族と、後宮経由の宦官族という二系統が出来、中華文明の宿痾となるのでした。

 

宦官―中国四千年を操った異形の集団 (徳間文庫)

宦官―中国四千年を操った異形の集団 (徳間文庫)

行き摩りの宿世と謳う痴れ者の背を蹴り空に飛び立つ

*1:石清吉

*2:ZhaoGao。郎中令。「馬鹿」の故事の主役。

*3:嬴政。秦初代皇帝。父荘襄王、母呂不偉の愛人。中国初の皇帝。焚書坑儒万里の長城兵馬俑を建設。

*4:Hu-hai。秦2代皇帝。父始皇帝陳勝呉広の乱を誘発。趙高のクーデターにより死亡。

*5:穆宗。後漢4代皇帝。諱は肇。父章帝、母梁貴人。外戚竇氏排斥の為宦官を重用。

*6:唐12代皇帝。諱は宥。父憲宗、母懿安郭皇后。旧名:李恆。王守澄が擁立。

*7:正統帝・天順帝。明6・8代皇帝。諱は祁鎮。父宣徳帝。王振に師事。土木の変。奪門の変。

*8:CaiLun。尚方令。字は敬仲。製紙法を発明

*9:ZhengHu。内官太監。父馬哈只。旧名:馬三保。靖難の変で活躍。アフリカ東岸への大航海を指揮。通称「三宝太監」

*10:SunWen。字は逸仙。号は中山。広東省香山の人。中華民国初代臨時大総統。辛亥革命を指導。通称「革命の父」「国父」「孫大砲」。

*11:2004末総計1,298,847,624人