脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

中国工場の琴音ちゃんと山北書店と満州帝国について

【悲報】日本のIT担当大臣、マジで絶望すぎるwwwwwwwwwwww:ハムスター速報
時代に駆逐される旧弊の象徴って大仕事をやってのけてくれたと思えば。


 弊社に限らず皆さんおんなじ状況かとは思うんですが、「コロナ騒動が収まったら本格的に動かし始めましょう」ってプロジェクトが山ほどありすぎてちょっとドン引き。アフターコロナの世界は別の意味で地獄絵図になりそうです。


DQⅪS進捗

  • 邪神ニズゼルファ復活。称号:歴史の修復者

悪魔な私が夢で手招くの

中国工場の琴音ちゃん

『中国工場の琴音ちゃん①』
平成二十七(2015)年7月20日初版発行
著者:井上純一*1、発行人:原田修*2、編集人:串田誠*3、編集:土方敏良*4、装丁:雷門風太*5in竹公房、本文デザイン協力:渡辺淳*6、編集協力:岡崎亨*7(ダンガン株式会社)、企画・制作協力:コミックダンガン、初出:『コミック・ダンガン』2011年12月~2013年11月、発行所:株式会社一迅社、印刷・製本:大日本印刷株式会社

中国工場の琴音ちゃん②
平成三十(2018)年2月5日初版発行
著者:井上純一、発行人:原田修、編集人:串田誠、編集:前田絵莉香*8、装丁:雷門風太in竹公房、編集協力:岡崎亨、企画・制作協力:コミックダンガン、初出:『コミック・ダンガン』2013年12月~2016年6月、発売元:株式会社講談社、発行所:株式会社一迅社、印刷・製本:大日本印刷株式会社


 『中国嫁日記』で一世を風靡した井上純一のおくる、萌えフィギュア製作現場の悲喜劇をテーマにした半実録マンガ。中国の現地工場と丁々発止の遣り取りを長年にわたり繰り広げてきた作者だからこそ出せるリアリティが出色。個人的に印象に残ったのは「中国に工場を置くのは人件費が安いからではなく技術者がそこにしかいないから」の実情と、「共産党さえ滅びたら中国はオタク&創作大国になる」の予測。ホント中国は高度経済成長期の日本そのままのルートをたどってたんだなあと。この度のコロナ禍でそれがすべて過去形になりそうなのが実に残念ですが。ポストコロナの世界新秩序下で中国工場はどのような運命を迎えるのでしょうか?不謹慎ですがちょっと楽しみです。

書店 山北

山北書店
住所:東京都江東区住吉二丁目10番5号、アクセス: 「住吉」駅A2出口から徒歩約1分・「菊川」駅A4出口から徒歩約9分・「錦糸町」駅JR南口から徒歩約11分。Tel.03-3634-1440。(Yahoo!ロコより引用)


 小旅行で行って以来お気に入りになって、錦糸町に繰り出す度に寄ってる古本屋。何が素敵ってエロ本SFとラノベの充実っぷり。ハヤカワはもちろん、富士見ドラゴンブックやソノラマ文庫が堂々と鎮座ましましているのは感涙を禁じえません。古き良き旧態依然とした古本屋、店主のおじいちゃんの気力と寿命の続く限りそのままの姿で残り続けてもらいたいもんです。

満州帝国

満州国
 大同元(1932)~康徳十二('45)年の間、満州(現在の中国東北部)に存在した日本の傀儡国家。「洲」が常用漢字でないため、日本の教育用図書を含め一般的に「満州国」の表記が使われるが、日本の法令や一部の文献では「満洲国」が用いられる。帝政移行後は「大満州帝国」あるいは「満州帝国」などと呼ばれていた。日本(朝鮮、関東州)および中華民国ソビエト連邦モンゴル人民共和国、蒙古聯合自治政府*9と国境を接していた。
 清が領有していた満州と呼ばれる地域のうち、外満洲はアイグン条約及び北京条約でロシア帝国に割譲され、内満洲の旅順・大連は日露戦争までは旅順(港)大連(湾)租借に関する条約でロシアの、戦後はポーツマス条約により日本の租借地となっていた。さらに内満洲ではロシアにより東清鉄道の建設が開始され、日露戦争以前には義和団の乱の際に進駐して来たロシア帝国陸軍が鉄道附属地を中心に展開し、日露戦争後は長春(寛城子)以北の北満洲にロシア陸軍が、以南の南満洲にロシアの権益を引き継いだ日本陸軍が南満洲鉄道附属地を中心に展開して半植民地の状態だった。
 清朝満州族の故地満州に当たる東三省*10には総督を置かず、奉天府と呼ばれる独自の行政制度を持っていたが、1907の東北改制を機に、他の省に合わせて東三省総督を設置し、管轄地域の軍政・民政の両方を統括させた。歴代の総督はいずれも袁世凱*11の派閥に属し、東三省は袁世凱の勢力圏であった。
 1912清朝滅亡後は中華民国(北京政府)が清朝領土の継承を主張し、袁世凱の臨時大総統就任に伴ない、当時の東三省総督趙爾巽*12奉天都督に任命され、東三省も中華民国の統治下に入った。しかし、袁世凱孫文*13の対立から中華民国は分裂、内戦状態に陥り、満洲では、趙爾巽の部下だった張作霖*14が日本の後押しもあって台頭し、奉天軍閥を形成し、満洲を実効支配下に置くようになった。
 また日本は'22「支那ニ関スル九国条約」第1条により中華民国の領土的保全の尊重を盟約していたが、中華民国中央政府(北京政府)の満洲での権力は極めて微力で、張作霖率いる奉天軍閥満洲を実効支配する地方政権と見なして交渉相手とし、協定などを結んでいた。北伐により北京政府が崩壊し、北京政府を掌握していた張作霖満州に引き揚げてきたところを日本軍によって殺される(張作霖爆殺事件)と、後を継いだ息子の張学良*15は、'28.12.29奉天軍閥を国民政府(南京政府)に帰順(易幟)させた。実質的には奉天軍閥の支配は継続していたが、満洲青天白日満地紅旗が掲げられる事になった。
 '31.9.18柳条湖事件に端を発して満洲事変が勃発、関東軍により満洲全土が占領される。その後、関東軍主導の下に同地域は中華民国からの独立を宣言し、'32.3.1満洲国建国に至った。元首*16には清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀*17が就いた。
 満洲国は建国にあたって自らを満洲民族と漢民族、蒙古民族からなる「満洲人、満人」による民族自決の原則に基づく国民国家であるとし、建国理念として日本人・漢人朝鮮人満洲人・蒙古人による五族協和と王道楽土を掲げた。
 満洲国は建国以降、日本、特に関東軍南満州鉄道の強い影響下にあり、「大日本帝国と不可分的関係を有する独立国家」と位置付けられていた。当時の国際連盟加盟国の多くは満洲地域は法的には中華民国の主権下にあるべきとした。このことが'33日本が国際連盟から脱退する主要な原因となった。
 しかしその後、ドイツやイタリア、タイ王国などの第二次世界大戦の日本の同盟国や友好国、そしてスペインなどの枢軸陣営寄りの中立国や、エルサルバドルポーランドコスタリカなどの後の連合国の構成国も満洲国を承認した。さらに国境紛争をしばしば引き起こしていたソビエト連邦をも領土不可侵を約束して公館を設置した。またイギリスやアメリカ合衆国、フランスなど国交を樹立していなかった国も国営企業や大企業の支店を構えるなど、人的交流や交易をおこなっていた。
 第二次世界大戦末期の'45日ソ中立条約を破った赤軍ソ連陸軍)による関東軍への攻撃と、その後の日本の降伏により、'45.8.18満洲国皇帝・溥儀が退位して満洲国は滅亡。満洲地域はソ連の占領下となり、その後国共内戦中国国民党中国共産党が争奪戦を行い、最終的に'49建国された中華人民共和国の領土となっている。
 日本では通常、公の場では「中国東北部」または注釈として「旧満州」という修飾と共に呼称する。また、満洲国を、日本や関東軍の傀儡国家とみなす立場があり、山室信一*18加藤陽子*19、並木頼寿*20のような日本の研究者もいる。一方で新渡戸稲造*21は在米中の'32.8.20CBSラジオでスティムソンドクトリンに反論する形で「満州事変と不戦条約」について言明しており、「満州事変は自己防衛の手段としてなされたものであって侵略ではなく、満州国は一般に考えられているように日本の傀儡政権ではない」と表明している。
 中華民国(台湾)および中華人民共和国は、現代でも満洲国を歴史的な独立国として見なさない立場から、「偽満」「偽満洲国」と表記する。同地域についても「満洲」という呼称を避け、「中国東北部」と呼称している。 (wikipediaより修整引用)


 『天子蒙塵』のラストでその産声を上げた満洲帝国。現実ではどのような紆余曲折の果てにあんなけったいなキメラ国家が誕生したのかの私説を開陳させていただきます。誕生後は一言「傀儡国家」で済んでしまうので省略。

 まず、満洲地方が日本の利害関係と密接にかかわってくるのは韓国併合から。そもそも日本列島の安定というか平和には朝鮮半島に、大陸の強国との緩衝国となる独立国家が存在することが必要不可欠です。現に元が朝鮮半島を併合した時には2度の元寇なんて災厄に見舞われています。その為、李氏朝鮮が仇敵ロシアに併合されては洒落にならんと日清日露両戦役を含む必死の外交努力を繰り広げていたのが明治の日本の対外政策の根幹。それが色々あってうっかり自分が韓国を併合しちゃったもんだから、朝鮮半島の安定と平和のため、満洲地方に緩衝国を樹立する必要が生じました。そこで日露戦争の時に現地ゲリラとして援助していた馬賊張作霖が趙爾巽の下で頭角を顕していたのに白羽の矢を立て、満洲地方に事実上の独立国を樹立させようと陰に日向に援助しまくっていたのが大正期の大陸政策。ここでも日本はやりすぎて増長した張作霖はとち狂って中原進出を試みた挙句にあっさり返り討ちに遭うという大惨事に。慌てて満洲某重大事件を起こして張作霖を粛清したはいいものの、天皇の逆鱗に触れて日露戦争以来の満洲経営の黒幕だった田中義一は憤死するわ、代わりに擁立するはずだった息子の張学良はよりにもよって国民党に寝返るわの地獄絵図。二進も三進も行かなくなってたところにだれが思いついたのか、満洲は清の故地なんだから、清の廃帝を擁立すれば大儀名分も立つというウルトラCの大逆転劇。こうしてここにアメリカ合衆国を範とし五族協和と王道楽土をスローガンに掲げる満洲国が成立するのでした。ここで終わってれば話も楽なんですが、担がれたご神体が飽くまで大清帝国の復辟を望んでいたからさあ大変。揉めに揉めた挙句に、清の復辟ではなく新帝国の樹立という折衷案に落ち着いて満洲帝国が誕生し、大日本帝国の兄弟国として大東亜共栄圏の覇道に乗り出すのでした。本人の溥儀以外誰も望んでもなく、実力も輿望もなかったせいで、実際はほとんど無視られて正式な国号すら変更してもらえなかったのは内緒です。

あの日の私とサヨナラしたいの悪魔と天使が仲良くなるように

 かつて隆盛を誇った古本屋の残滓、書店山北。我らビブリオマニアにとっては古き良き日本の象徴のような存在ですが、それも満州帝国のようにはかなく落日を迎えてしまうのでしょうか。願わくば『中国工場の琴音ちゃん』で描かれる萌えフィギュアの工員達のように新時代に適応していってもらいたいものですが、まずムリゲーですよね。つーかこの勢いだと紙の本自体がレコードやVHS並みの骨董品になりそうなのが果てしなく怖いんですけど。


i✩Ris Heart Crash!(山北早紀)

帰ってきた今日の一行知識

満族は中国の諸民族の中でもダントツで教育水準が高い

清では特権階級だった上に、信頼と実績の日本統治のコンボか。アフターコロナで中共が崩壊した後は、台湾みたいな友好関係築けるといいな

*1:銀十字社代表取締役社長。代表作:『中国嫁日記』(漫画)、『天羅万象』・『アルシャード』(TRPG)他。

*2:一迅社会長。スタジオDNAを設立し、一賽社と合併し一迅社となる。『コミック百合姫』など独自路線で出版業界のニッチを占める。

*3:Febri編集部 ポストメディア編集部編集長

*4:『Febri』編集長。

*5:代表作:『竹工房ポートフォリオ2013』(著作)、『艶話酒場オタクバー』(原作)他。

*6:代表作:『東京近江寮食堂 宮崎編』(著作)他。

*7:『コミック・ダンガン』編集長。

*8:代表作:『ブラック・ジャック「生きる」と向き合う名言集』他。

*9:後に蒙古自治邦政府と改称

*10:遼寧省吉林省黒竜江省

*11:洪憲帝。中華帝国皇帝。李鴻章旗下で北洋陸軍を統帥。義和団事件の事態収拾などで台頭するも、光緒帝の崩御に伴い失脚。孫文と結び辛亥革命を起こし中華民国大総統に就任。革命勢力を弾圧し独裁権力を樹立、帝政を企図し皇帝に就任するも第三革命により失脚憤死。

*12:初代奉天都督。漢軍正藍旗人。字は公鑲。父文穎。地方官を歴任し、清末に盛京将軍(のち東三省総督)となると、辛亥革命のどさくさで東三省地域の事実上の独立を果たし、続く中華民国からも奉天都督に任命されその権勢を維持した。代表作:『清史稿』(編纂)他。

*13:中華民国初代臨時大総統。広東省香山県の人。字は載之。号:中山。通称:「国父」。武昌蜂起を主導し、辛亥革命への扉を開くも、中華民国では指導力を発揮できず、第一次国共合作などで巻き返しを図るもかなわず、「革命未だならず」の言葉を遺し病死。

*14:安国軍海陸軍大元帥奉天府海城県の人。字は雨亭。父有財。東三省を根拠地とする馬賊であったが日露戦争後日本軍の後援を受け軍閥として成長。奉天派の首魁として東北王と呼ばれる権勢を誇るようになると、満洲に傀儡政権を立てようとした日本軍の思惑を超え暴走し、長城を越え、中原の動乱に介入。第二次奉直戦争の勝利などにより一時は中華民国大総統の座に就くも、蒋介石の北伐に敗れ奉天に敗走の途上で関東軍により粛清

*15:抗日聯軍西北軍事委員会主任。奉天府台安県の人。字は漢卿。父作霖、母趙春桂。張作霖爆殺事件により横死した父に代わり奉天軍閥の首領の座を継承。関東軍により「満洲国」の首魁に擁立されかけるも、反日の意志を貫き、易幟を断行し蒋介石に恭順。西安事件により第二次国共合作を斡旋するも逮捕軟禁され表舞台から姿を消した

*16:満洲国執政、後に満洲国皇帝

*17:宣統帝清朝第12代皇帝。諱は溥儀。父醇親王載澧、母福晋幼蘭。西太后の末期の指名により皇帝に即位するも、辛亥革命により清朝最後の皇帝となる。北京政変以後は紫禁城を逐われ日本の保護下に入り、関東軍に擁立され満洲国執政となった。その後皇帝に即位し康徳帝となるも日本の敗戦により満洲帝国は瓦解、中共に引き渡され戦犯として後半生を過ごした。

*18:京都大学人文科学研究所名誉教授。代表作:『法制官僚の時代』、『キメラ 満洲国の肖像』、『憲法9条の思想水脈』他。

*19:東京大学大学院人文社会系研究科教授。代表作:『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』、『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』、『天皇と軍隊の近代史』他。

*20:東京大学教養学部教授。代表作:『日本人のアジア認識』・『捻軍と華北社会――近代中国における民衆反乱』(著書)、『江南農村の工業化――"小城鎮"建設の記録 1983~84』(訳)他。

*21:東京女子大学初代学長。正三位勲一等瑞宝章。父十次郎。代表作:『武士道』、『修養』、『農業本論』他。