脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『大鏡の人びと〜行動する一族』

★北朝鮮軍、韓国人観光客を射殺 - (旧)厳選!韓国情報
対応間違えて、朝鮮戦争再開。なんて勘弁してくださいよ。


 職場の先輩に連れられて競馬場デビュー。お目当ての女の子には見事にすっぽかされましたが、それを忘れるくらいの楽しさ。結果は天狗にもトラウマにもならないちょい負け*1といい感じ。今後も泥沼に嵌らない程度に嗜んでいきたいです。

大鏡の人びと (中公新書)

大鏡の人びと (中公新書)

I’ve been a victim of selfish kind of love

大鏡
 平安時代の歴史物語。作者未詳。11世紀後半から12世紀前半の成立。内容からして作者は男性と考えられる。190歳の大宅世継と180歳の夏山繁樹という2人の老人が体験的に歴史を語り、若侍が口を挟むという巧みな会話形式をとる。語りの場は1025に設定され、摂関時代の開始から頂点までを描く。紀伝体で、天皇は文徳*2から後一条*3まで、摂関は藤原冬嗣*4から道長*5までが対象。先行の栄花物語が女性による讃美的な歴史であるのに対し、政争に絡む貴族達を生き生きと描く。大鏡の形式に倣って、水鏡など鏡物と称される一連の作品が作られた。(『岩波日本史辞典』より引用)


 日本史でも屈指のドロドロ愛憎劇&醜い政争の繰り広げられる摂関時代を活写した大鏡の解説本。飽くまで一次史料に準拠しつつも自身の説を展開し、なおかつ読み物としても面白くなっているのはお見事です。論の展開としては、「大鏡平安時代末期の風流の道に堕し生命力を失った惰弱な貴族へのアンチテーゼの書である」といった感じ。『大鏡』は『栄花物語』との対比で摂関家に対する批判的な史書と紹介されることが多いのでかなり新鮮に感じました。若侍による厚顔無恥摂関家の連中への明らかなあてこすりを、生命力溢れる彼らへ賞賛と捉えるのはかなり無理があるんじゃないかとは思いますが、確かに世継と繁樹の摂関家一族へのへつらいにも似た憧れと尊敬に満ちた叙述は『栄花物語』以上の賛美を感じます。これは男の、明らかな強者に対する嫉妬と羨望のあい混ぜになった複雑な感情の発露と考えれば、理解もしやすいのではないでしょうか。
 中々触れることも取り上げられることも少ない平安時代の政治家たちの人間味溢れる面白エピソード満載の良書です。歴史好きの方もそうでない方も是非ご一読を。年表や暗記の必要のない真の歴史の楽しさの一端を堪能できますよ。

If you wanna make the world a better place

 自他ともに日本史ラヴな管理人ですが、西洋史がどうしても羨ましく感じてしまうのは、愛憎地縁血縁入り混じった宮廷党争の不足です。そんな中ではこの摂関時代というのはなかなか健闘している方ではないでしょうか。そんな希少な時代を下らない制度史や社会史、専門家ですら頭を抱える荘園の成立史で浪費してしまうのはもったいなさ過ぎやしませんか。歴史とは物語である。この当たり前の事実を認識するためにも、大鏡などはいい教材ではないでしょうか。古典を学んでも現代語の文章力の上達には役立ちませんが、歴史の理解には古語の習得は必須です。古典の国語科から社会科へのコンバートを希望します。


History

History

帰ってきた今日の一行知識

光源氏のモデルは藤原道長
 自分の想い人を主人公に美化120%の小説を書く。やってることは今の腐女子と大して変わりませんね。

*1:6000投資の4580バック。阪神6Rサラ3歳未勝利のダノンアスカを軸で当てたのがでかかったです。阪神10R灘ステークスでフラムドパシオンさえこけなければプラスで帰れたのに…。

*2:第55代天皇。諱は道康。父仁明天皇、母藤原順子。承和の変により擁立。長子惟喬親王立太子を望むも外戚良房の容喙により失敗、憤死。

*3:第68代天皇。諱は敦成。父一条天皇、母藤原彰子道長の外孫として、摂関時代の全盛期を演出。

*4:左大臣。正二位。父内麻呂、母百済永継。通称:「閑院左大臣」。勧学院・施薬院の設立、弘仁格式編纂などの功績を残し、後の北家隆盛の基礎を築く。

*5:摂政。従一位。父兼家、母藤原時姫。通称:「法成寺殿」「御堂関白」。「一家三后」を立て「この世をば我が世と思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」と詠うほどの摂関全盛期を現出。代表作:『御堂関白記』(日記)。