脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

現代の賤業と戦国武将とお梅について

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/916767.html
男女同権もここまで進みました。これがフェミなおば様方の夢見た未来でしょうか。


 きょおのせえじ日記。候補者のお母様の寵をいいことに事務方の学生連中と絶賛対立中。気分は十常侍か魏忠賢か。宦官や茶坊主の気持ちがよく分かります。私本来吏僚派に同情的だったはずなんですけどね。


 君側の奸として粛清される前に少しでも言葉を世に遺しましょう。てな訳で今宵の御題は「現代の賤業」「戦国武将」「新撰組+お梅」です。珍しく歴史ネタ揃いでやる気が出るやら萎えるやら。

わかって欲しい 僕らの胸に輝く使命の紋章

現代の賤業

君にジュースを買ってあげる - 脱積読宣言

現代
 今の時代。今の世の中。(『大漢語林』より引用)

賤業
 賤しい仕事。賤しい職業。(『大漢語林』より引用)

 職業の貴賤は時代とともに移ろい行くものです。古代金融や医師は被差別民の職域であり、娼婦は神に仕える聖なる仕事でありました。そこまで大昔に遡らなくとも、ほんの二十年前「デモシカ」とまで呼ばれていた地方公務員や教師が今ではトップエリートの憧れになっているのは記憶に新しいところではないでしょうか。
 そんなこんなを顧みて、現代における賤業とは何かつらつら考えますと、「体を売る娼婦と兵士。心を売る文筆屋。」が私の持論です。特に天下御免のジャーナリスト様の蛮行と品性下劣さを見るにつけ、その思いは深まります。堅気のみなさんに笑われ蔑まれる道化としての自覚と謙虚さこそが、売文屋には必要なのではないでしょうか。

 言いっ放しの感想文だけでは格好つかないので、「賤業」の語源について一席。『漢書』列伝第四十二巻「王貢両龔鮑伝」より「以為卜筮者賤業而可以恵衆人」*1が初出です。自身の職業を賤業と見做しながらも、生業への矜持を捨てないその姿は素直に尊敬できます。

賎業としての政治家

賎業としての政治家

戦国武将

嵐の中で輝いて - 脱積読宣言
born Legend - 脱積読宣言

戦国
1、戦争の絶え間ない国。また、戦争をしている国。
2、戦争で乱れた世の中。乱世。
3、周の威烈王の二十三年(前403)に韓・魏・趙が晋を三分してから、秦の始皇帝*2が天下を統一する(前221)までの、百八十三年間の乱世をいう。
4、わが国で、応仁の乱(1467〜’77)から豊臣秀吉*3が天下を統一するまでの約百二十年間をいう。
(『大漢語林』より引用)

武将
 軍隊の大将。また武事に優れた大将。(『大漢語林』より引用)

 立花道雪・高橋紹雲・吉川元春清水宗治・磯野員昌・柴田勝家山県昌景内藤昌豊本多忠勝榊原康政稲葉一鉄柿崎景家片倉景綱・・・
 政治家・軍師色の強い人*4や大名・剣豪クラス*5を除いても、あっさり数十人は思い浮かぶ綺羅星の如き戦国武将列伝。この時代の豪華さは本場中国の「三国志」の絢爛に勝るとも劣らないでしょう。「英雄を必要とする時代は不幸な時代」とはよく言いますが、日本が必要な時に英雄の出来しなかった不幸な国でなかったことを感謝しつつ、勇壮なる英雄譚を堪能する事が彼らに対する最高の鎮魂ではないでしょうか。

 因みに私のお気に入りの戦国武将は伊達政宗豊臣秀長です。青年期の勇猛な武将ぶり、壮年期の謀略三昧、老年期の好々爺と時代に合わせた顔を使い分ける政宗に、兄秀吉の影として目立たずでしゃばらず豊臣政権を支え続けた秀長。我を張り通す武弁者もいいですが、こうやっ自分を抑えて何かを成し遂げる人をこそ私は尊敬します。

 最後に「武将」の語の出典。『漢書』列伝第五十四巻「霍方進伝」より「其党親軽車将軍成武侯孫建為奮武将軍」*6。ようするに武将ってのは元々「奮武将軍」の略だったんですね。知らなんだ。にしても相変わらず中国の官職名はかっこいいなあ。日本の官庁も見習えばいいのに。

戦国武将最強列伝 (宝島社文庫)

戦国武将最強列伝 (宝島社文庫)

新撰組+お梅

萌えよ剣 - 脱積読宣言

新撰組
 幕末、京都における尊攘派らを鎮圧した浪士組。1863清川八郎*7らが幕府と協議して結成した浪士隊が京都に入り、清川らが江戸に引き揚げたのちも芹沢鴨*8近藤勇*9らは京都に残留し、京都守護職支配下に近藤が局長となり、壬生に駐屯した。尊攘派池田屋事件でなどで鎮圧。戊辰戦争では甲州などで戦ったが敗北、解体した。(『岩波日本史辞典』より引用)

 新撰組に関係するお梅さんと言うと、芹沢鴨の愛人で、芹沢鴨暗殺事件の際諸共に切り殺された人になります。
 お梅は元々新撰組の隊服を誂えた太物問屋菱屋のお妾さんでした。新撰組が代金を払わないので、妾を掛取りに行かせたら芹沢鴨に強引に寝取られたという次第のようです。
 
 お梅を描いた小説としては浅田次郎の『輪違屋糸里』がオススメできます。気風のいい江戸っ子の小粋な姐さんに造形された彼女は非常に魅力的な準ヒロインを務めています。『壬生義士伝』に魅了された人は是非これも手にとって見てください。

輪違屋糸里 上

輪違屋糸里 上

どんなに強く信じていても くじけそうな時がある

 京都の環境局に顕著なように、現代の「賤業」は逆にアンタッチャブルな聖域として特権階級になってしまっています。差別解消を目的とした同和運動も既に役割を終えました。今時左翼運動全盛期の頃のような戦国武将か新撰組かと言った荒っぽい武闘派な対応は逆に反感買うだけだと思うんですが、何故分からないんでしょうか。旧被差別の方々も早く運動屋と縁を切らないと、芹沢鴨ごと殺されたお梅の二の舞になりますよ。

 

*1:書き下し:以為(おもへらく)卜筮は賤業なり而(しかりと)も以て衆人を恵すべし。
意味:(厳君平が)思うには「占い師とは賤しい職業ではあるが、人々に利益を与える事が出来る」

*2:秦第31代王。諱は政。父荘襄王

*3:関白。父木下弥右衛門、母大政所。幼名日吉丸。旧名:木下藤吉郎羽柴秀吉。通称「豊太閤」「はげ鼠」「猿」

*4:ex.竹中半兵衛小早川隆景

*5:ex.島津義弘・可児才蔵

*6:書き下し:其の党親軽車将軍成武侯孫建をして奮武将軍と為す。
意味:(王莽は)自分の郎党の軽車将軍成武侯孫建を奮武将軍に任命した。

*7:正明。尊攘派浪士。父斎藤豪寿。千葉周作に師事。

*8:本名木村継次。新撰組局長。神道無念流免許皆伝。

*9:昌宜。新撰組局長。父宮川久次郎、養父近藤周助。天然理心流4代目家元。