脱積読宣言

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『宰相・若槻礼次郎〜ロンドン軍縮会議首席全権』

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 頭が重い。体がだるい。口内炎痛い。

JUST A RUNAWAY 止めないでよ 後悔は少なめのMY LIFE

若槻礼次郎
 慶応二(1866)〜昭和二十四(1949)年。大蔵官僚・政治家。東大卒。島根県生れ。1904以後大蔵省主税局長、大蔵次官を歴任。第三次桂内閣で蔵相を務め、大正政変後に立憲同志会に入党し政界入りした。16憲政会結成後は幹部として重きをなし、24加藤高明内閣では内相に就任。加藤死後憲政会総裁・首相を引継ぐ。30ロンドン海軍軍縮会議では首席全権として調印に寄与。浜口首相遭難後の31民政党総裁・首相となるが、満州事変後内閣総辞職に至る。34党総裁を辞任し、以後は重臣として国政に関与した。

 歴代の首相の中でも12を争う地味さの若槻首相。高校時代彼に泣かされた人も多いのではないでしょうか。この本の著者豊田穣氏はこの本の様に渋いチョイスの伝記を書いてくれるので好きなのですが、いかんせん脱線が多いという欠点があります。海軍出身だからか、戦史や海軍人事には微に入り細を穿つ正直鬱陶しいほど詳細な記述の割りに、政治史は淡白と正直私の興味とは逆なのが困りモノです。要するに自分で調べて好きなように書けということなのでしょうか。

 さて肝腎の若槻礼次郎の来歴ですが、ともかく地味でエピソードらしいエピソードにも事欠きます。日露戦争時に主税局長、第一次大戦時に蔵相、満州事変時に首相と、乱時に不思議と要職に恵まれるめぐり合わせにもかかわらずこの影の薄さはなんでしょう。代理というか中継*1とは言え二回も首相やってるのにこの知名度とはあまりにも報われません。やはり官僚には政治家は向いてないのかも知れませんね。
 当書のメインテーマのロンドン海軍軍縮会議は海軍側の説明が多少ならずうざいのを除けば、非常に詳しく且つ面白く書かれているので、受験生の皆さんは是非ご一読を。英米の密約、仏伊の思惑、海軍軍令部と海軍省との対立と政治陰謀劇としては一級の素材なのにも関わらず、未だ開拓のされてないジャンルでしょうから新鮮に読めること請け合いです。

愛を殴ってみよう 義理を蹴飛ばしてみよう 傷ついて憎まれてもいいから

 パフォーマンスの天才小泉が去った日本政界ですが、やはりどうしても物足りなさを感じてしまいます。麻生外相や中川政調会長が孤軍奮闘してはくれていますが、やはり首相が地味だとどうしても盛り上がりません。政治を胡散臭い政治ゴロや物知り顔の文化人様の手から取り戻す為にも、「分かりやすい」政治というのは必要ではないでしょうか。「失われた十年」の頃のように、自国の首相すら知らない国民がいるという時代が二度と来ないことを祈りたいものです。

今日の一行知識

五・一五事件は本来犬養毅ではなく若槻礼次郎を暗殺する予定だった。
 ロンドン海軍軍縮条約に調印した若槻を恨んだ藤井斉が中心となって計画を立てるが、途中で藤井が戦死してしまった。彼の遺言が「後を頼む」だった為、同志が勘違いした模様。
教訓:遺言は正確に。

Mars

Mars

*1:一度目は加藤高明急死の代打。二度目は浜口雄幸狙撃による後継。