脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

大漢語林とZガンダムと秀吉の男色について

痛いニュース(ノ∀`) : ねむねむ子パンダ - ライブドアブログ
田中角栄売国奴と呼ぶのはよそう。これには耐えられない。あ゛ーあ゛ーあ゛ー。


 急に寒くなった昨今皆様はご健勝であらせますでしょうか。私はきちんと風邪を引きました。てな訳で本文は明日書きます。あーしんどい。
 今日のお題。「大漢語林」「名誉挽回+Zガンダム」「衆道+秀吉」

今は動けないそれが運命だけど

大漢語林

エマの脱走 - 脱積読宣言

大漢語林
1992.4.25初版第一刷 大修館書店より発行
著者:鎌田正・米山寅太郎 装丁:山崎登 
定価21,359円 全1,805頁

 大学合格祝いに父に買ってもらった辞書。無人島に一冊だけ持っていくなら多分これを選ぶだろう程のお気に入りの一冊。これと『広辞苑』と『岩波日本史辞典』(+Wikipedia)がブログ執筆の際の座右の書となっています。豊富な採録語と文章の分かりやすさ、コラムの面白さ、付録の充実ぶりと、実用に加え、読み物としての面白さも備えた名著です。一家に一冊どうぞ。
 とは言え、いつかは「諸橋大漢和」と思わないでもありません。私にとって立身出世の象徴は「諸橋大漢和」と「国史大事典」と「古事類苑」です。あ、「日本国語大辞典」と「史料大成」もほしーな。誰か買って下さい。犬と呼ばれようとも従います。

大漢語林 語彙総覧付

大漢語林 語彙総覧付

名誉挽回+Zガンダム

エマの脱走 - 脱積読宣言

名誉挽回
意味:一度失った良い評判や評価・信用を取り戻すこと。
構成:「名誉」はよい評判。名声。「挽回」は、元に引き戻すこと。「挽」は引っ張り戻す。(『大修館 四字熟語辞典』より引用)

機動戦士Zガンダム
1985.3.2〜'86.2.22 毎週土曜17:30〜18:00テレビ朝日系列にて放送
制作:日本サンライズ*1 製作:名古屋テレビ創通エージェンシー日本サンライズ
監督:富野由悠季 プロデューサー森山芤・大西邦明・内田健二 原案:矢立肇 音楽:三枝成章 音響監督:藤野貞義 キャラクターデザイン:安彦良和 メカデザイン:大河原邦男藤田一己
メインキャスト
カミーユ=ビダン:飛田展男、ファ=ユイリィ:松岡美幸、クワトロ=バジーナ:池田秀一、ジェリド=メサ:井上和彦、パプテマス=シロッコ島田敏 

 『機動戦士Zガンダム』第四話「エマの脱走」にてジェリド少尉が「汚名挽回」してやると口走ったのが、「名誉挽回」の間違いだよ。と糾弾されてる昨今ですが、個人的には良くない傾向だと思います。「汚名挽回」の正しさについては何度も当サイトで強弁しているので省略しますが、それを抜きにしても80年代の書物を見る限りこの時代には「汚名挽回」の表現が市民権を得ていたように感じます。時代背景も考えず後知恵で批判するのは愚の骨頂ではないでしょうか。

 これだけでは何なので、『劇場版機動戦士Zガンダム*2について少々。
 SEEDの「成功」に触発されたサンライズが原作信者の再発掘を目指して作成された新訳Zですが、第一作『星を継ぐ者*3は当時放送中の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を「追い風」に満員御礼の好スタートを切りました。
 しかし、好事魔多しとはよく言ったもので、次作の制作も佳境の八月前半とんでもない醜聞が発覚します。新作に伴う声優変更の際、一言のオファーも断りもなかった*4ことに激怒したフォウ=ムラサメ役の島津冴子*5女史が自身のHPに糾弾文を掲載したからさあ大変。しかも悪いことにそこで音響監督藤野貞義と新声優ゆかな*6の「親密交際」が仄めかされていたので、ネット上で大問題になってしまいました。これが祟ったか残りの『恋人たち』*7星の鼓動は愛*8はさしたる盛り上がりもなく終了。
 この事件を抜きにしても肝腎の内容は単なるTV版の工夫のないダイジェストで、散々煽った「ラストシーンをハッピーエンドに変更」の前口上も拍子抜けと、「トミノ老いたり」を感じざるをえないものでした。「DESTINY」と「新訳Z」の大ゴケで地に落ちた感のあるガンダムブランド。次作「機動戦士ガンダムユニコーン」は名誉挽回に成功できるのでしょうか。

 コケるに一票。

衆道+秀吉

若き健児の血は沸きて - 脱積読宣言

衆道
(若衆道の略)男色の道。かげま。にゃくどう。

豊臣秀吉
 天文六(1537)〜慶長三(98)年。織豊政権期の武将。関白・太政大臣。幼名日吉丸。初名木下藤吉郎、ついで羽柴秀吉と名乗る。父は尾張愛知郡中村の百姓弥右衛門。母は大政所(なか・天瑞院)。遠江松下之綱、のち織田信長に仕え、清須(清洲)城割普請や美濃墨俣築城などの逸話を残す。信長入洛後京都の民政にあたり、浅井氏滅亡後、1573北近江12万石に封ぜられ、長浜城を築く。この頃から羽柴筑前守を称す。77.10から信長の命に従い中国経略を担当。版図を西に拡大するが、82.6本能寺の変の報に接し毛利輝元と和睦。山崎の合戦で明智光秀を倒す。清洲会議織田家臣団内の主導権を得たのち83.4に柴田勝家を賤が岳の戦いに破り信長後継の座を不動にした。8月に大坂を本城と定めて大規模な築城を開始、84織田信雄徳川家康と小牧・長久手に戦う。局地戦には敗れるが戦局において勝利を得、両者と和睦、全国統一の地歩を固めた。官位も11月従三位権大納言、85.3に正二位内大臣、7月には従一位関白となる。更に86.12太政大臣への就任を機に豊臣姓を名乗る。87の九州平定、90の関東平定・奥州仕置によって国内統一を終え、この間全国規模で太閤検地を実施、石高制を基本とした知行体系や年貢徴収体勢を確立し、また刀狩令などによって兵農分離を推進した。92から「征明」を意図して大陸侵攻を開始(文禄の役)、自らも関白を辞して太閤を称し、渡海を前提に一時肥前名護屋城に陣す。96明使と引見したが講和不成立。慶長の役を起こすが、伏見城に没した。(『岩波日本史辞典』より引用)

信玄×高坂弾正、信長×前田利家、信長×蘭丸などカップリングのネタに事欠かない戦国時代。十六人の愛妾*9を抱える好色家秀吉ならさぞかしそっち方面でも艶福家かと思いきや、実は彼は男性関係は非常に清潔だったりします。これは武士階級に男色の浸透しきった戦国時代に於いては非常に珍しいことです。どれくらい珍しいかと言うと、「あまりにも男に興味を示さない秀吉を心配した部下*10が容姿端麗の美少年を寝所に派遣したところ、暫くしてキョトンとして帰ってきた。事情を聞くと、手も触れられず、代わりに「お前に姉はおらぬか」と訊かれた」という逸話が残っている位です。異父弟の秀長も男色に興味を示さなかったと言いますし、百姓階層には男色の風習がなかったことの傍証となるのではないでしょうか。
 九州遠征の際の「女狩り」や小田原攻めへの淀殿の帯同などの奇矯な行動も、男色の習慣がなかった所為だと考えると理解もしやすいのではないでしょうか。通常の武将だと小姓相手に発散できた性欲を持て余していたのが、彼には果たせなかった。そう考えると彼の女漁りも何だか哀しくも微笑ましいものに思えるから不思議です。

豊臣秀吉のすべて

豊臣秀吉のすべて

Believing a sign of Z beyond the hard time from now

 秀吉が衆道を嗜まなかったが故に変人扱いされ、後世に悪名を残したなどという話を聞くと、つくづく時代時代での常識の変遷には驚かされます。例えばZガンダムも80年代後半から90年代前半にかけては、初代『機動戦士ガンダム』の名を穢す駄作認定されていたなどとは名誉挽回を果たした今の高評価からは想像も出来ません。
 大漢語林によれば、常識は「common sense」の訳語との事です。唯一の神を信じず、有為転変の無常の世を生きる我々には「常識」などいう余所行きの言葉は必要ないのかもしれません。後世の謗りを恐れず、過去の先例に縛られず今を生きることが我々の使命なのかもしれませんね。

今日の一行知識

豊臣秀吉は六本指
蒲生氏郷曰く「太閤殿とあろうものがみっともない。何故子供の頃に切っておかなかったのだろう」との事。これも百姓と武士階級との常識の違いを示す好例ですね。

Zeta Gundam first opening - YouTube

*1:サンライズ

*2:以降「新訳Z」と呼称

*3:2005.5.28公開

*4:サラ=ザビアロフ役の水谷優子にも連絡は一切なかった模様

*5:1959生。フリー。代表作:ユリ(『ダーティペア』)、三宅しのぶ(『うる星やつら』)、九能小太刀(『らんま1/2』)他

*6:1975生。シグマ・セブン所属。旧名野上ゆかな。代表作:雪城ほのか(『ふたりはプリキュア』)、テレサテスタロッサ(『フルメタル・パニック』)、風花真白(『舞-HiME』)他

*7:'05.10.29公開

*8:'06.3.4公開

*9:名前が判明しているのは十人。淀殿(茶々、浅井長政長女)、松の丸殿(龍子、京極高吉女)、三の丸殿(織田信長五女)、加賀殿(摩阿、前田利家女)、三条殿(お虎、蒲生賢秀女)、姫路殿(織田信包女)、かい姫(北条氏長女)、山名氏(山名豊国女)、お種殿(高田次郎右衛門女)、南殿(詳細不明。長浜時代の愛妾)。

*10:蒲生氏郷説と女官説あり