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倫理も道徳も宗教も法律も関係ない。死んで贖え。
以降無駄に陰惨なので閲覧は自己責任で。以下ネタバレ注意。
- 作者: マルタンモネスティエ,Martin Monestier,吉田春美,大塚宏子
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
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世界で一番惨めなのは
太古の昔から、死刑は庶民にとって最高の娯楽でありました。それがい つの日からか、忌避され疎まれるものになってしまいました。しかし、肯定するにすれ否定するにしろ、死刑と言う制度そのものを知ることは不可欠でしょう。あなたもこの本でお勉強しましょう。目くるめく血と死の狂宴があなたを至高の悦楽に導くこと間違いなしです。
乱歩や横溝、澁澤はお好きですか。好きなら買いで、血腥いのが苦手なら、手に取るのさえ穢らわしいと分かりやすい本です。
以上。で済ませてもいいのですが、仮にも感想サイトの看板を掲げてる以上もそっと頑張って見ます。文章は典型的な翻訳文。しかし、その硬さが逆に内容の陰惨を際立たせていい感じになっています。こういう下品なお話はしかめっ面して真面目に語るのが一番です。最近は取り違えて、下品な話を半笑いのスタンスで書くライターと編集者が多いので困ります。真面目な話題は茶化して、くだらない話ほど真面目にが、良書の条件だと個人的に思っています。是非改善して欲しいものです。
えと何の話でしたっけ。そうそう内容ですが、このジャンルに多少なりとも興味がある人ならば、一度や二度は耳にしたことがある程度の話の焼き直しで多少喰い足りなく思えます。とは言え、図版の充実は対したもので、特に写真が普及した19世紀後半以降はエグイ写真満載*1で好事家垂涎の一品となっています。あと、聖人偉人が一切の注釈なしで出てくるので、余程の世界史知識がないと、個々のエピソードの理解は辛い*2でしょう。素人には敷居が高く、趣味人には喰い足りない、典型的な編集もっと頑張れな本で終わってしまっているのが残念です。
どうか健やかになりますように
死刑の残酷な歴史を糾弾し、廃止を訴える建前と、猟奇を求めてやまない本音との乖離が一番の見所。という、立派なトンデモ本ですが、この相克こそが現在のお上品な世界の本質なのではないでしょうか。どんなに宗教で着飾っても、人の本性は惨劇を求める獣である。これをごまかしてしまうから、その衝動を初めて味わった少年はそれに身を任せてしまうのです。
死刑廃止の声も喧しい昨今ですが、公開処刑の復活こそが、どんなお説教よりも、犯罪抑止に効果的だと考える私は野蛮人でしょうか。血の渇きを癒し、因果応報を示す一挙両得の妙案だと思うのですが、いかがでしょう。ねえあなただって見たいでしょ。本音で話しましょうよ。
*1:当方帰京の新幹線の車内で読んでいたので、えらく閉口しました。人前で本を読む際は挿絵のチェックを忘れずに。
*2:少なくとも私には無理でした。
*3:交流電気の危険性を世に知らしめるネガティブキャンペーンとしてハロルド=ブラウンと共同開発。当時直流のエジソンと交流のジョージ=ウェスティングハウスとの間で仁義なきシェア争いが行われていた。直流は安全、交流は人を殺せる。との印象操作が目的だった模様。