最近重めのネタが続いたので毒にも薬にもならない埋めネタを。てゆーか今日更新しとかないとまた二三日間が空くのにネタがないんです。つーわけで今パッと目に付いた鶴岡法斎『マンガロン ”70年代生まれの”の極私的マンガ評論集』イーストプレス(2000)を下に一ネタ。さてこの鶴岡氏、私の敬愛する唐沢俊一氏の弟子として二三年前は精力的に本を出していたのですが、最近余り見かけません。内向的である種病的な雰囲気が魅力だった人なので心配です。世間に対して思いっきり斜に構えたシニカルで下品な文章で好みの分かれそうな文章ですが、不思議と読みやすく心に残る文章になっています。少なくとも東浩紀や大塚英志といった手合いに比べれば、サブカルが宿命的に抱える業と真摯に向き合った誠実な評論をしています。サブカルチャーを食い物にするガクシャモドキに飽き飽きした御仁は一度手にとって見て下さい。生理的に受け付けないとかでなければ楽しめるはずです。では以下ネタバレ注意
- 作者: 鶴岡法斎
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2000/04/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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昏い情熱
水木しげる、日野日出志、徳弘正也、江口寿志etcと普通の評論家があまり取りあげない日陰の漫画家を多く評論するこの本は、王道しか興味のない著名人連の浅薄な分析に比べて、非常に重く暗く、それでいていやそれだからこそ説得力に溢れ、地に足のついた感じを受けます。極私的と銘打つだけあり脈絡と必然性の感じにくい選本で、一般性なぞ皆無なのですが、読み終わった後には筆者の訴えたかったことがおぼろげながらも見えてくる気がします。とはいえ流石に一世代以上違うので紹介されている本の半分は読んだこともないので共感はしづらいですが。サブカルチャーなどという美名を給わりお上品になってしまった現在のマンガと違い、かって漫画だったころの淫靡で背徳的な魅力がこの本からは伝わってきます。大人が電車の中で堂々と読めるようなおされなマンガに私はなんの魅力も感じません。家の中で隠れてこっそり読む、それが大人な漫画の愉しみ方だと思うのですが皆様はいかがお考えでしょうか。
私の上を通り過ぎて行った漫画達
評論を評論するというのは思った以上に難しいもので、微妙に短く纏まってしまいました。物足りないので、何処に需要があるか知りませんが、個人的に思い入れのある漫画五シリーズを紹介したいと思います。前項の結論と思いっきり相違しますが、好き好んでブログなんてやってる露出狂の自慰行為と嗤って御見過ごし下さいませ。
『じゃじゃ馬グルーミン★UP』『GS美神 極楽大作戦』
じゃじゃ馬グルーミン★up! 1 (少年サンデーコミックス)
- 作者: ゆうきまさみ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/03
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GS(ゴーストスイーパー)美神極楽大作戦!! (1) (少年サンデーコミックス)
- 作者: 椎名高志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1992/03
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私の青春時代はこの二シリーズと共にあったといっても過言ではないでしょう。一般的知名度も完成度もけして高いとはいいきれないこの二作ですが、わたしにとってはかけがえのない作品です。何を書いても贔屓の引き倒しにしかならなそうなので深入りしませんが、興味のある方はお声をかけて下さい。咽喉の嗄れるまで語り合いましょう。
『寄生獣』
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/07/20
- メディア: コミック
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『キン肉マン』
- 作者: ゆでたまご
- 出版社/メーカー: ホーム社
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『はだしのゲン』
- 作者: 中沢啓治
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/06/25
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まとめ
マンガもいつかは教養に成り下がり、我々はきっと次の世代に向けて『DRAGON BALL』『SLUM DANK』の価値を滔々と語ることになってしまうでしょう。その時子供たちは我々が鴎外や太宰を忌み嫌うが如く、それら過去の名作を嫌うのでしょうか。願わくばいつまでも愛されるコミュニケーションツールであり続けて欲しいものです。
今日の名言
今でも少年犯罪の事件を耳にすると心が痛む。どうして殴る程度で我慢できないのか
「他人を傷つけてはいけない」これほどの欺瞞が他にあろうか。