脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『図説 拷問全書』

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ぼくらはあの日を忘れない

 一勝二敗の管理人想いの星取り表。のんびり更新を甘受いたしましょう。

図説 拷問全書

図説 拷問全書

甘き死よ、来たれ

 拷問を看板にしてますが、内情は「ヨーロッパ刑罰史」とでも名付けるべきものです。本来であれば、看板に偽りありと糾弾すべきでしょうが、内容は研究を初心者向けに分かりやすく噛み砕いた良質な入門書であり、無名の作者の地味ながらも良質な著作を世に出す為の方便とでも思えば腹も立ちません。尤も、題名に魅かれ、猟奇を期待して買った人にとっては憤懣やる方ないでしょうけど。
 文章はいわゆる学者調の面白くも可笑しくもない一本調子ながらも、学者先生様にしては、しっかりした文章で、主語述語の錯綜もなく、てにをの間違いも少ないので、比較的ストレスなく読めます。とは言え、前半の持論の展開部分はともかく、後半の拷問・刑罰の実例紹介の段になると、抑揚のない文章で単なる事実の羅列にとどまっており、流石に飽きてきます。豊富な図版と的を射た正確で分かりやすい解説で、行われている行為を把握しやすいので、資料として手元に置いておく分には最高の部類に入るでしょう。ただ、とことこ色気はありませんので、「実用」には適しませんので、悪しからず。


 前半部分で、印象に残った説を紹介。
「古代:神明裁判→中世:(拷問による)自白→近代:(科学的操捜査による)証拠・証言」という裁判の発展形態の説明は、新鮮かつ説得力のあるものでした。ただこれに従うと、自白中心の日本の裁判は、近代化できてないことになるんですよね。警察・検察の皆さんには、拷問頼りの野蛮な捜査方法を捨て、証拠重視のスマートな捜査に切り替えてほしいものです。100年前の名探偵や小学生、果ては三毛猫にすらできてるんですから。

now the guilt is all mine

 他にも、磔による処刑は風の神オーディンへの生贄としての側面を持っていたとか、絞首刑は庶民用の刑で、斬首は貴族用の「高級」な刑であり、フランス革命後、処刑具にギロチンが採用されたのは、市民と貴族の平等化の一環だった、とか面白い説はまだまだ沢山あるのですが、キリもないし、今一面白いネタにも出来なかったので省略。


 中古、命が今より遥かに軽かった時代、罪を贖う為に今より遥かに過酷な罰が執行されていました。人の命が地球すら凌ぐ価値を持つに至った現在、罰の緩和により、相対的に罪の重さも軽くなってはいないでしょうか。盗難や瀆神が死に値する罪だとは思えませんが、人を破滅に導いておいてなお、のうのうと大手を振って世間を歩いている輩をみるにつれ、そう思えてなりません。「目には目を、歯には歯を」「死を以て贖え」法曹関係者は一度この原点に立ち戻って欲しいものです。

今日の一行知識

夢魔サキュバス(♀)・インキュバス(♂)は同一固体*1
ふたなり万歳

THE END OF EVANGELION

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*1:サキュバス形態で精液を採取して、インキュバス形態でそれを利用するんだそうです。未婚の母の言い訳には最適の設定ですね。