脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

スマグラーと水からの伝言と前田慶次について

【漢検1級】「斑鳩」←これの読み方当てられる一般人は8%らしいwww : 稲妻速報
に、日本史で飛鳥時代史の勉強で知っただけだもん。


 母親からあんた高校の卒業年次何回生?との問い合わせのお電話。何事ぞと訊いてみたら、主治医の先生が私の同窓生で話のタネにとのこと。ほんとうちの卒業生は医療業界にゴロゴロしてんなあ。


SRWX進捗

傾け傾け傾くが花よ滾る慕情はあーつき果てぬ

スマグラー

愛をくらえ - 脱積読宣言

新装版 スマグラー アフタヌーンKC779
著者:真鍋昌平*1、発行者:清水保雅*2、発行所:株式会社 講談社、印刷所:図書印刷株式会社、本文製版所:豊国印刷株式会社、製本所:株式会社 フォーネット社
目次

  • 第一話「運送屋」
  • 第二話「"背骨"と"内臓"」
  • 第三話「荷台」
  • 第四話「覚悟」
  • 特別編「殺し屋」

 『闇金ウシジマくん』でおなじみ真鍋昌平の初連載作品。知る人ぞ知る・・・な異色作だったのが、山田孝之主演の映画の大ヒットの二匹目のドジョウを狙った映画化で、一気に日の目を見ることに。

 内容自体は埋もれてただけあって、劣化版『殺し屋イチ』って感じの可もなく不可もなくの出来栄え。但し絵は、最近めっきり上手くなった作者の画風とは全く違う、初期の『進撃の巨人』テイストで正直かなりきついもんが。ただそれがまたえも言われぬ独特な風合いとなって魅力を増しているのだから分かんないもんです。同録の映画化に伴って発表された読み切りとの画風作風の違いも楽しめてそれも◎。ウシジマくん完結したら是非この『殺し屋背骨&内臓くん』も読んでみたいものです。



水からの伝言

インモラリスト - 脱積読宣言

水からの伝言〜今日も水にありがとう
平成十一(1999)年6月1日初版発行
編著者:江本勝*3、発行者:㈱波動教育社、発売元:㈱I.H.M.、ヨーロッパ連絡事務所:Hado Publishing B.V.、翻訳:TMS Communications Ltd.、編集:㈱サンクリエート、写真提供:川崎徳二郎、製版・印刷:㈱ワイ・エスカラー
目次

  • はじめに
  • 第一章 身近な水の話
  • 第二章 変化する水の話
  • 第三章 江本勝・水の世界は拡がる!
  • あとがき 江本勝
  • 編集後記 なるかげつねこ


 稀代のトンデモ本にして、道徳の教科書にまで載ってしまった伝説の疑似科学本。内容は「水にいい音楽を聞かせたり、肯定的な人物の名や言葉を見せると綺麗な結晶を生じる」というもの。何をどう考えたってツッコミどころ満載なのですが、「綺麗な言葉を使いましょう」という教訓にはとってもわかりやすい教材なせいもあって道徳の教科書に載る羽目に。日本人の疑似科学リテラシーのレベルを露呈した痛恨事です。
 とは言え、読みもせずに批判ばかりするものあれだろうと思い立って、Amazonさんで取り寄せて読了。感想は「意外と順を追って理論を発展させていて、批判的に読んでないと結構ひっかかっちゃうかもな」というもの。最初から「ありがとうと書いたラベルを張った水を凍らせると綺麗な結晶ができる」と言われてもはいはいワロスワロスで済むんでしょうが、「各地方の水の結晶の差異」→汚染度の違いでこうなるんだと素直に信じられる、「聞かせた音楽の種類によって結晶に差異ができる」→眉唾だけど氷の結晶を育てる波長を聞くと人間も心地よくなるのかもしれない、「聞かせた言葉の善悪によって氷の結晶に差異ができる」→なんだか怪しくなってきたけど音楽も言葉も同じ振動なんだしあり得るかも・・・と真面目な人ほど騙される構造に。本を読むってのは本当に諸刃の剣なんですね。

前田利大

自由であるために - 脱積読宣言

前田利大
 通称:宗兵衛・慶次。道号:穀蔵院忽之斎。名は利益・利治ともしてある。蔵人利久*4の子。利家*5の一族、実は滝川儀大夫*6の子だという。
 奇行あり。信長*7に仕え利家に転仕、五千石、越中阿尾城主*8。1600脱走して上杉景勝*9に仕う、二千石。関ヶ原の合戦に功をたてた。景勝の子、定勝*10の代に死す。(『戦国人名辞典 増訂版』より引用)


 みんな大好き前田慶次の本名。前田慶次郎利益ってのが正式な名乗りって人口に膾炙してますが、辞書なんかにはこっちの諱で載ってるのでご注意を。『一夢庵風流記』というか『花の慶次』で有名になり過ぎた彼の「史実」を私の解釈で以下紹介してみます。
 まずは上記の辞書的説明の通り、信長のお気に入りだった弟利家に家督を奪われた哀れな前田利久の子。滝川儀大夫の子って伝承は、上杉家に仕官する際もしくは講談に取り上げられる際に箔をつける*11為に僭称されたのだと思います。滝川家なんて滅んでて誰も文句つけてくる奴いませんしね。伝説に彩られた前田慶次の生涯ですが、史料で確認できる活躍は主に二つ。まずは小牧・長久手の戦いにおける末森城救援。佐々成政に攻められた奥村助右衛門の後詰に入り成政の撃退に成功し、その功で阿尾城主に任じられています。その後は、前田利家との不和で前田家を出奔し、京都で風流三昧していた模様ですが、花の慶次で書かれたような傾き者だったのかどうかは皆さまのご想像にお任せします。で、もう一つの確実な活躍は前田家への嫌がらせで義憤にかられて上杉家に参じた関ヶ原の戦いにおける長谷堂の戦いでの奮戦。穀蔵院忽之斎を名乗り結構な大暴れをかまし、戦後米沢藩で1000石を得ました。
 歴史書の行間から妄想を膨らませるのは歴史の醍醐味の一つですが、ここまで虚像が独り歩きするとなんだかなあって思う今日この頃でした。

決して叶わぬ恋なれど嘘はつけないこの真胸

傾奇者恋歌

傾奇者恋歌

帰ってきた今日の一行知識

液体より固体の方が密度の低い物質は水と珪素程度*12
それで生命誕生にはどっちかが必須って言われてるんですね。数億年の輪廻の果てにいつの日か珪素生命体と邂逅できる日が楽しみです。

*1:代表作:『闇金ウシジマくん』、『THE END』、「片隅ノ外」他。

*2:講談社顧問。元常務取締役。

*3:I.H.M.初代代表取締役。代表作:『水は答えを知っている』、『水が伝える愛のかたち』、『波動の人間学』(著書)他。

*4:尾張益子城主。父前田利春。信長の寵童だった弟利家に家督を奪われ出家。本能寺の変後は利家に仕え、一族衆の長老として金沢城代などを勤めた。

*5:加賀の大名。権大納言。父利春、母長齢院。信長の寵童として累進するも、茶坊主と寵を争い刃傷沙汰を起こし出奔。美濃攻略にて殊勲を挙げ帰参。以後は柴田勝家の与力として活躍。賤ケ岳の戦いにて秀吉に帰順し、豊臣政権では五大老の長老として重きをなす。秀吉死後は暴走を始める家康を掣肘せんとするも志半ばで病死。

*6:益重。上野沼田城主。滝川一益の一族衆として甲州征伐などに活躍するも、本能寺の変後の混乱により領地を失陥。賤ケ岳の戦いでは一益とともに柴田方につくも敗北、秀吉に帰順した。

*7:山城の戦国大名。右大臣。父織田信秀、母土田御前。「尾張の大うつけ」と揶揄される幼年期を過ごすも、弟信行との家督争いに勝利し、同族を駆逐し尾張統一を成し遂げた。桶狭間の戦いで虎口を逃れて以降は、美濃併呑・将軍義昭擁立など快進撃を続け近畿一円に勢力を伸張。二度に亙る信長包囲網も打ち破り天下布武を目前に迫るも本能寺の変にて横死。

*8:菊池義勝のあと

*9:米沢藩初代藩主。権中納言。父長尾政景、母仙桃院、養父上杉謙信。謙信死後、御館の乱に勝利し家督継承。武田勝頼との提携により領国を拡大。本能寺の変後は早くから秀吉に帰順し、五大老の一人として豊臣政権下で重きをなす。秀吉死後家康との対立が深刻化し会津征伐を招き関ヶ原の戦いの発端となる。戦後は会津120万石から米沢30万石へと転封された。

*10:米沢藩第2代藩主。左近衛権少将。父上杉景勝、母桂岩院。キリシタンの取締強化、総検地の実施、直江兼続とのトロイカ体制の解消など、縮小を余儀なくされた藩運営の改革に辣腕を奮った。

*11:滝川儀大夫は一時上野国沼田城主だった

*12:wikipediaによるとゲルマニウムガリウムビスマスもとのこと