脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

シェイクスピア=F・ベーコンについて

http://blog.livedoor.jp/warata2kki/archives/50397919.html
言葉の魔術師

 昨日の発言の舌先すら乾かぬうちにやってしまいました。今日も今日とて夏休み自由研究第四弾。今回はシェークスピアとF.ベーコン同一人物説を検証してみたいと思います。完全門外漢が一夜漬けで仕上げた適当な文章なので、余り信じすぎないで下さい。

あふれるあなたを見ている

シェイクスピア William Shakespeare
 1564〜1616.イギリスの劇作家・詩人。ストラトフォードに生まれる。1582年8歳年上のアン=ハサウェーと結婚。85年故郷を去り、翌年ロンドンの劇団に加わり、木戸番からさらに自ら舞台にも立ち、90年頃から劇作を始める。初期は91〜92年「ヘンリー6世」、92〜93年「リチャード3世」等の史劇や、93〜94年「じゃじゃ馬ならし」等の喜劇を書く。その後94〜95年「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」を経て、フォールスタフの登場する「ヘンリー4世」や「お気に召すまま」「ジュリアス=シーザー」等で円熟味を増した。17世紀に入ると、彼の目は悲劇に向けられ、「ハムレット」「オセロー」「リア王」「マクベス」の四大悲劇を生む。後期の作品には「シンベリン」「冬物語「嵐」等のロマンス劇がある。また詩では、154編から成る「ソネット集」を書いている。1611年突然筆を折り故郷に引退。豊かな財産で自適の晩年を送った。(『コンサイス人名辞典 外国編』より抜粋)

F.ベーコン Francis Bacon
 1561〜1626。イギリスの哲学者・政治家。国璽尚書ニコラス=ベーコンの末子。ジェームズ1世のもとで大法官まで栄進(1618)。1618年ヴェルラムの男爵、21年聖オルバンスの子爵に叙せられたが、同年汚職収賄のかどで議会から弾劾され、罰金禁固刑をうける。のち禁固を許され隠棲。晩年を著作に過ごす。デカルトとならび、近代西欧哲学の祖。科学の潜勢力を見抜き、科学技術時代の到来を予見。その見地からアリストテレス的スコラ的論理学に対抗し、発明・発見の方法論・論理学の書である『ノーヴム-オルガヌム(新機関)』(1620)を著した。4つの先入見(種属・洞窟・市場・劇場の各イドラ(偶像))を真理獲得の障害物として説いたのは有名。また『随筆集』(1597)の著者としても名高い。。(『コンサイス人名辞典 外国編』より抜粋)

まずはこんな説が出た経緯から。シェイクスピア劇の主題は多岐に亙って*1おり、その中には、ギリシャ古典や法律学など、正規の高等教育を受けたことのない田舎ものが知り得ることのあたわぬものも混じっている。しかも、彼の駆使する語彙は非常に膨大で二万語*2にも及ぶ。このような離れ業を行えるのは当代随一の知識人たるF.ベーコン以外ありえない。という素朴な感情が出発点だったようです。
 一方F.ベーコンも兄からの援助は受けていたようですが、その額は猟官活動に到底足るものではなく、パトロンもない彼がどうやって資金を捻出していたか?という謎を秘めていました。その為、貴族の名誉を穢さず、下賤な職業である劇作家で糊口を凌ぐ為に、シェイクスピアの名を借りたのではないかという推論に到達するのに時間はかからなかったようです。シェイクスピア引退の時期とF.ベーコンが出世街道に乗る時期がほぼ同時期だったのもこの説を補強します。
 さらにこの類の陰謀論や超歴史ではおなじみの最新コンピューターを駆使した暗号解読も盛んに行われており、数々の成果も残している*3ようですが、素人には到底理解の叶わぬ難解な解析なので省略します。どれくらい難解かというと、ノストラダムスの大予言が外れてなかったのを証明するくらいの難問です。日本で理解できるのは五島勉氏ぐらいのものでしょう。
 シェイクスピアは法律に詳しいとは言え、専門家がやるはずもないような勘違いも所々あることや、そもそもF.ベーコン側の研究が進みすぎて、シェイクスピアとの二重生活を想定するのが困難になってきたこともあり、現在ではこの説は真っ当な歴史家には見向きもされてない状態で、シェイクスピアの正体探しの主流は複数作者説に移りつつあります。もっともそちらも「良心的な」歴史家には完全に黙殺喰らってますが。しかしながら歴史も古く非常に分かり易い説の為、今でも巷間に流布し続け、「シェイクスピアの正体」学の入口になっているようです。シェイクスピア=F.ベーコンを卒業して初めて一人前の「シェイクスピアの正体」学者といったところでしょうか。

「簡単」ばかり願うからつらい

 以下唯我独尊妄想まみれの結論。「シェイクスピア」は彼の所属した劇場を根城にしていた趣味も経験も専門も多種多様な有象無象の与太話を、たまさか文才に恵まれた三文役者ウィリアム=シェイクスピアがメインライターとなって無理くりに一本の劇の脚本に仕上げたものである。今で言えば、2chの発言を編集して作った『電車男』なんかが近いんじゃないでしょうか。我ながら怪しげな結論になってしまいました。お詳しい人は是非反論・突っ込みお願いします。

 The fact that Shakespeare doesn't exist is well known.なんていわれるほど普及してしまった「シェイクスピア別人」説ですが、その内実は「邪馬台国」や「東洲斎写楽」の様に、あまりに「素人」学者のおもちゃにされすぎて、学会では口にするのも恥ずかしいようなものになってしまっているようです。フィクションの種としては良質のネタですが、あまり「公式」の場では言わないようにしましょう。ニワカの烙印を押されて嘲笑されるのがオチです。あまり井沢史観やkoeiの「無双」史観に毒されすぎないようにしましょう。「本物」の歴史はもっと地味で難解でややこしくて楽しいものです。是非その苦さを一度味わって下さい。

参考文献

シェイクスピアはどこにいる?

シェイクスピアはどこにいる?

イギリス史〈2〉近世 (世界歴史大系)

イギリス史〈2〉近世 (世界歴史大系)


今日の一行知識

F.ベーコンは低温状態の腐敗防止作用の実験*4中に風邪をこじらせて肺炎になって死んだ。
 偉大な科学者はその身を以て、風邪を引いている時に寒い所に行くと悪化すると言う偉大な発見を我々に遺してくれたのです。

思いをはせることだけは自由

思いをはせることだけは自由

*1:シェイクスピアが持っていたと思しき専門知識。法律・同時代及び歴史上の宮廷作法・貴族の思考風習言語・貴族のスポーツ(狩猟・鷹狩)・哲学・政治学・聖書・歴史学(英国・イタリア・フランス・デンマーク)・言語学ギリシャ・ラテン・フランス・イタリア・スペイン・ウェールズ)・園芸造園・音楽・絵画彫刻・数学・天文学占星術博物学・釣り・医学・心理学・軍隊生活・紋章学・航海術・印刷・民俗社会学・暗号スパイ活動・フリーメーソン

*2:現代英語で通常人が使役するのはせいぜい五千語程度

*3:一番分かりやすかったのを一つ紹介。シェイクスピア46歳の時に刊行された、F.ベーコンが作成の助言をしようと思えば出来ないこともなかった『欽定訳聖書』の「詩篇第四十六編」の頭から46語目に「shake」の単語が、終わりから46語目には「spear」の単語がある。どうです?わかりやすいでしょう

*4:死んだ鶏の内臓に雪を詰めて置いたら腐りにくくなることを証明しようとしていた