脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『幽玄F』 

ヒロイモノ中毒 【今昔比較】実は変わっている教科書の内容や表記
全体的に理由もよくわかる改訂なんですが、上二つだけはマジで頭が悪いと思う。長くなりそうなんで解説は注釈で*1


 妹に手伝ってもらってというかおんぶにだっこで人生初のメルカリでの不用品販売に成功。これはハマる人の気持ちが分かる。自分ももうちょっと画像編集のスキルつけて自分でできるようになりたいなあ。

僕は誰も知らない最新型の戦闘機

 戦闘機に魅せられ航空宇宙自衛隊の敏腕パイロットにまで登り詰めた易永透。しかし彼の夢と人生は謎の蛇の呪いで閉ざされる。ドロップアウトし流れついたバングラディシュの地で彼は何を為すのか。


 『テスカトリポカ』でその天才を満天下に知らしめた佐藤究の受賞第一長編。ミリタリーものを思わせるあらすじに一回敬遠しかけたんですが、「佐藤究」の名を信じて読んでみたところ望外の大ヒット。自身のアイデンティティーだったはずの血に塗れた陰惨な暴力描写を放棄して、透徹した硬質で美しい文章へと方向転換。普通だったら大事故になりかねない冒険が、何作もこの作風で書いてきているのではと思わせる円熟味を帯びているのはどんな手品を使ったのか。帯の惹句にもある「『三島由紀夫』に挑む」が一切誇大広告ではない完成度に三島派の自分は感涙しきり。まさかエンタメよりの現代小説で、三島の息吹を感じられるとは全く思ってもいませんでした。と、褒め殺しもあれなので最後に一くさししとくと、中盤主人公をドロップアウトさせるためのイベントが実に雑な上に伏線回収もなんもない投げっぱなしジャーマンだったり、氏の作風の「徹底的にリアルで救いに乏しい現実と宗教的超越存在とを二重写しにする」ってギミックが不協和音になってなかったりと、欠点も露骨です。とは言え、読んでいる間は正直そんなことどうでも良くなるくらいには美し過ぎる文章とその世界観に耽溺できます。太宰派が絶対多数を占めるつまらない現代文学界に是非風穴を開けてほしい大傑作です。是非ご一読を。

このままでいいなら今のままでいいなら

 あらすじ読んでると、「護国の空」とか「自由に空を飛べない国、日本の悲劇」とかあって、出版社はネトウヨ受けする百田尚樹的な売り方をしたいんだろうなあってのがひしひしと伝わってくるんですが、本気でセンスないなあと嘆息しきり。この本の本質とセールスポイントはは「三島文学の後継者」以外にないでしょうに。つーかその下品な売り方の所為でこんな大名作をスルーするところだったぞこの野郎。


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*1:鎌倉幕府の成立:「守護地頭の設置を起算点に」ってことですが、征夷大将軍の就任って明確な始期があるんでそっちにするべき。聖徳太子聖徳太子は後世に付けられた尊称だからって理屈ですが、対外的に「阿毎多利思比孤」として国家の代表を務めているのに、子の山背大兄王蘇我氏との権力争いに敗れた為に、史書では皇位継承者扱いされてないって複雑怪奇な存在を表わすには「聖徳太子」って尊称で呼ぶべき。そもそも尊称がアカンならマハトマ=ガンジーとかケマル=アタテュルクとかどないせえと。ついでに言うなら、厩戸王って名前と誕生のエピソードも景教ネストリウス派キリスト教)の影響が露骨すぎるんで、後付けの可能性大