『ヨハネスブルグの天使たち』

　気が付けば、明日から半休全休半休半休のバカンスモードの勤務表。そこに偶然明日は『スーパーロボット大戦V』の発売日。~~職権濫用万歳。~~日頃の行いがいいと神様はこんな粋な配慮をしてくれるんですね。さあ、溜まりに溜まった月末〆切の仕事の山はどうしてくれよう。

「……教訓などない。あるのは、ただ現実のみだ」byムプムルワナ師

　初音ミクモチーフの少女型義体が世界各地の色んなとこから落ちまくる連作短編集。最初のこれは、耐久性テストの為永遠に落ち続ける少女と終わりなき内戦に未来を閉ざされた少年少女というモチーフが印象的。ただ、前半の主題パートより、最終盤の劇的な政治的動乱の方が面白かったのは内緒だ。

「二つのビルのあいだには、去りゆく古いニューヨークの景色があった」byブライアン

　9.11を仮想現実で再現してみようのコーナー。ノンフィクション的要素に引っ張られ過ぎてちょっと楽しみ切れなかったかも。

「石仏は壊されたのではない。ほかならぬハザラの民を思い、自ら崩れ落ちた」byルイ

　SFというより純粋なB級ミリタリものとして面白かった。

「人権と精神性は二律背反だ」byタヒル

　同上。ルイが引き続き出演してるのが嬉しい限り。この路線で短編集書いて欲しいなあ。

「私たちの街。わたしたちの、テレジン」by璃乃

　無理矢理主題に戻してみましたの掌編。スラムの分かりやすい絶望感とは違った、寂れ逝く団地の名状しがたい閉塞感が秀逸。ただ、物語の為に主題があるんじゃなくて、主題の為に物語を作った感があるのがちょっと残念。

　読んだときはあれほど興奮したのに、改めて感想書こうとするとなんだか全然滾るものが・・・。やっぱり私には詩的で叙情的な文学より、センスオブワンダーに満ちた分かりやすいSFの方が向いてる様です。

アパルトヘイト時、ペンシルテストという白人黒人の判別方法があった
曰く、鉛筆を髪の毛に差し込んで落ちたら白人、（髪に絡みついて）落ちなかったら黒人。随分荒っぽい判別方法ですこと。天パへの迫害は慎みましょう。

脱積読宣言