『源義経』

カーネル・サンダース 等身大メイドフィギュア？
これ思いついた奴とオッケー出した店長の英断に拍手。

　昼飯に鍋一杯のカレー作って喰ったら、胃もたれで一日つぶしてしまいました。もう若くないんだなー。

源義経 (岩波新書)

悪忌判官

源義経
　平治元（1159）〜文治五（'89）年。源義朝*1の九男、母は九条院雑仕常盤御前*2。幼名：牛若・遮那王丸。検非違使に任ぜられたので九郎判官と号す。
　平治の乱で義朝を失い、母常盤と共に捕われたが、死を免ぜられて鞍馬寺に送られる。のち京都を逃れ奥州藤原秀衡*3の庇護を受けた。1180兄源頼朝*4の挙兵を聞いて、長駆馳せ参じた。’83末兄範頼*5と共に、源義仲*6追討の代官として上洛。’84義仲を破って入洛。更に平氏追討を命ぜられて、摂津国一ノ谷鵯越の奇襲により、平氏に壊滅的な打撃を与えた。凱旋してのち京都に留まり、守護の任に当たる。後白河法皇*7の信任を得、頼朝の許可なく検非違使・左衛門少尉に任ぜられたことから、頼朝の怒りを招き、平氏追討の任を解かれた。’85再び平氏追討使に起用されるや、阿波に渡り、陸路屋島を奇襲、平氏を破る。続いて長門国壇ノ浦の海戦で平氏を全滅させた。捕虜平宗盛*8を従えて関東に下ったが、頼朝の不興を買って、鎌倉入りを拒まれ腰越状を呈した。やむなく京都に戻るや頼朝派遣の刺客土佐坊昌俊*9の襲撃を受け（堀河夜討）、遂に頼朝と対抗する為、叔父源行家*10と結び、後白河に請うて頼朝追討の院宣を得た。頼朝はこれを聞いて直ちに兵を送った。為に畿内武士は動揺し、義経は彼らの支持を失った為、九国地頭職を得て西国に落ちんとして摂津より船出したが難破。畿内各地を転々としたが追捕の手の厳しさの為、再び奥州に秀衡を頼った。’89秀衡没後、頼朝の圧力に屈したその子泰衡*11によって、居所衣川館を襲撃され自殺した。その悲劇性の故に死後様々な義経伝説が生まれた。（『コンサイス人名事典　改訂版』より引用）

　みんな大好き源義経のご本。著者が五味先生なので内容の濃さ確かさは折り紙つき。問題は文章の巧拙なのですが、これが意外と言っては失礼ですが、思いのほかの読みやすさ。軍記物講談の紹介・日記記事の引用・学説の披瀝と硬軟織り交ぜた論理展開で飽きることなく読み進めます。入門書にはまさにうってつけでしょう。たまには岩波もいい仕事します。
　これだけで済ませてもいいのですが、一応内容の紹介。学術書なので講談系で作られた義経の虚像を正し実像に迫るという展開で、義経が抜本的構造改革を図る頼朝の意図を理解できず、旧来の圧力集団に媚びる救いがたい抵抗勢力として描かれています。正直義経ファンは読まない方が吉でしょう。世の中知らない方がいいこともあります。

来世邂逅

　源義経に楠木正成と言えば日本の誇る二大英雄ですが、戦後の扱いには極端な差があります。片やアイドルが演じたりゲーム化されたり、片や余程の歴史好きや戦中世代でもない限り誰それ？の悲惨な扱い。もう少し正成に優しくなってあげてもいいんではないでしょうか。判官贔屓は何処行った。
　

陰陽珠玉

*1:播磨守。従四位下。父為義、母藤原忠清女。子に頼朝。保元の乱に勝利するも、続く平治の乱で敗死。

*2:夫源義朝→平清盛→一条長成。子に阿野全成・義円、廊御方、一条能成。

*3:陸奥守。従五位下。父基衡、母安倍宗任女。奥州藤原三代が一。通称：「北方の王者」。関西の平氏、関東の源氏に対抗し、奥州の独立を図る。

*4:鎌倉初代将軍。右近衛大将。父義朝、母由良御前。妻に北条政子。史上初の武家政権を樹立。

*5:三河守。従五位下。父義朝、母池田宿の遊女、養父藤原範季。通称：「蒲冠者」。平家追討の大将軍に任ぜられるも功少なく、のち曾我事件に連座し失脚。

*6:木曾。伊予守。従五位下。父義賢、母小枝御前、養父中原兼遠。妾に巴御前。通称：「朝日将軍」。以仁王の令旨に呼応し挙兵し、平家を京から追い落とすも、朝廷の不興を買い、義経に攻められ粟津で戦死。

*7:第77代天皇。諱は雅仁。父鳥羽天皇、母待賢門院。著書に『梁塵秘抄』。通称：「今様狂」。保元の乱で治天の座を勝ち取り、以後は平氏・義仲・義経・頼朝ら時の実力者の間を泳ぎきり、朝廷の権威権力を保持。

*8:内大臣。従一位。父清盛、母平時子。通称：「屋島大臣」。源平合戦平家軍総帥。壇ノ浦の戦いで敗死。

*9:俗名：渋谷金王丸。興福寺西金堂衆徒。父重家。頼朝の命で義経を襲うも返り討ちに遭う。

*10:備前守。従五位下。父為義。旧名：義盛。以仁王の令旨を以って全国の源氏を煽動。源頼朝・木曾義仲らの挙兵を誘発。義経の逃亡行に同道するも和泉国近木で捕われ処刑。

*11:陸奥出羽押領使。母藤原基成女。父に託された義経を殺し頼朝に恭順を願うも奥州合戦で敗死。