脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『マリア様がみてる』

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/883212.html
これはえぐい。やはりノンケの人には函の価値が分からないのでしょうか。


遂に新書も読めなくなりました。年が明けたら少しは直るかなあ。
 OVA発売記念という訳でもないのですが、今更ながらに「マリみて」に手を出してみました。自他共に認める雑食悪食の管理人ですが、少女小説に手を出すのは初めて。正直、生半可なハードコアのエロ本より買うのに勇気が要りました。

マリア様がみてる 1 (コバルト文庫)

マリア様がみてる 1 (コバルト文庫)

朝もやの中続く白い道 鳥のさえずり挨拶かわしながら

 幼小中高大一貫のカトリックリリアン女学園に通う平凡を絵に描いたような女の子福沢祐巳。彼女の平穏退屈な日々はまるで少女漫画のような一幕で終わりを告げる。ドアでぶつかった憧れのお姉さま「紅薔薇のつぼみロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)」*1小笠原祥子がほぼ初対面の祐巳を「妹(プティ・スール)」*2に指名。突然のことでそれを拒否した彼女だが、祥子はあくまで諦めない。
 恋愛に男が要ると誰が決めた。少女の少女による少女の為の恋愛小説。時を越え、現代に蘇った幻想的なまでに美しいS文学の精髄をご堪能あれ。
 

 内容は浮世離れの極みで、なんとなく今東光の稚児小説が連想されます。一人称と三人称が交錯したり、視点がころころ変わったりと技術的には決して誉められたものではないのですが、その「稚拙さ」というか地に足の着かなさが日常と乖離した舞台設定と相俟って、不思議な酩酊感を覚えます。それでいて、これほどお耽美極まりない題材を取り扱いながらも、登場人物達が地に足の着いた現実感を持っているという奇跡的なバランス。そりゃあ人気も出るはずです。
 文章は平易で読みやすく、一冊一時間もあれば読める手軽さで、既刊二十数巻で、一季に一冊は出す速筆と分量的にも問題なし。厳しい現実から逃避して夢の国で遊びたい人向けの本と言えるのではないでしょうか。

急かさないで時よ 私は信じてる

 昭和期前期のS文学の正統後継者か、BLの突然変異かどっちに分類すべきか分かりませんが、この作品が日本のサブカル文学に新しい潮流を巻き起こしたのは間違いないでしょう。これにより再びクローズアップされた擬似恋愛としての同性愛の効用。日本の誇るブンシ様方はこの奔馬を乗りこなすことが出来るでしょうか。間違っても倫理道徳なんてつまらないものでこの流れを止めないで欲しいものです。

今日の一行知識

サファイアの石言葉は「貞操
それで「マリア様の心」の歌詞にサファイアがでてくるんですね。

pastel pure

pastel pure

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*1:リリアン女学園高等部の生徒会「山百合会」は「紅薔薇ロサ・キネンシス)」「白薔薇(ロサ・ギガンティス)」「黄薔薇ロサ・フェティダ)」の三名による合議制で運営されている。この三つの「薔薇」は代々「姉妹」間での「世襲」が慣例となっており、時期「薔薇」のことを「つぼみ(アン・ブゥトン)」と呼ぶ。

*2:大正〜高度経済成長期の女学園で流行った擬似恋愛としての義姉妹の契りのこと。