脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

「悠仁」親王殿下について

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/princess_kiko/
おめでとうございま〜す。

 賛否分かれるこの数日の狂騒ですが、折角王制を今に残す国にうまれたのですから、私としてはこの国を挙げた慶事を全身全霊で楽しむ所存です。
 踊る阿呆に見る阿呆。同じアホなら踊らにゃ損々。

千の覚悟身に纏い 君よ雄々しくはばたけ

 親王殿下のお名前は「悠仁(ヒサヒト)」と決まったようですので、その名前の良否を検討してみたいと思います。

漢ユウ(イウ)、呉ユ、you(一声)
1、はるかとおい。また、ながい。「悠遠」「悠久」
2、ゆったりしているさま。のどやかなさま。「悠然」
3、うれえる。いたむ。
4、おもう。思いの長いさま。
(『大漢語林』より抜粋)

 まずは「悠」の意味から。原義は「長い筋」を表す「攸」と「心」の組み合わせで、「長く思う」となります。今回の御命名では上記の1にあたる「遙かに長く」という意味が主となっているようです。
 では名前に使われた先例はというと、これが殆ど存在しません。今回の命名基準の一つだったとされる過去の皇族との被りは勿論、貴族や武家で諱に用いられている例すら見当たりません。*1法名まで手を伸ばしてようやく江戸期以降に近衛悠山(基煕)*2ほか数名*3が確認できるのみです。
 それもそのはず、どうも「悠」の字は日本では殆ど用いられない「外来語」だったようで、くずし字辞典を見ても載ってなかったりします。「徳仁*4「崇仁」*5の愚を避けようとして、先例を忌避しすぎた挙句の結果でしょうが、もう少し有職故実にこだわって欲しかったなというのが半可通の感想です。

弱き者の盾となれ そして世界を導け

 嫁をいびる小姑の心持で、アラを探してみましたが、正直いちゃもんのつけようがありませんでした。辛うじて先例に乏しいと難癖つけられないことはないですが、何を今更という感じですし、見事に企画倒れに終わりました。結構準備したのに。「尊仁」*6とか分かりやすく駄目な名前をつけてくれたら楽だったんですが。さすが御用学者が二ヶ月も悩みぬいただけのことはあります。

 さて、「悠」「悠仁」「悠子」とかの名前が氾濫するであろうことが、容易に予測できるのですが、現在妊娠中のご夫婦には是非自重を願いたいものです。いくら自由民主の天下とて、勝手に偏諱を賜るなぞ、瀆神の極み。王は王として生まれるのではなく、人々の尊崇を以って王になるものです。世界に誇る最古の王族、その価値を守る為に少しくらいは自重してもいいのではないのでしょうか。一度失えば二度と手には入らない宝なのですから。

今日の一行知識

高野槇は耐水性が強いため、船の補修・穴埋めの用途に用いられる
今回のおしるしの選定には、(男子不在で)沈みかけた天皇家の補修材という深謀遠慮が隠されているのです。多分


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*1:系図纂要』「索引」調べ。なお検索方式の都合上「悠○」がいないことは確認できますが、「○悠」がいる可能性は十分にあります。お心当たりのある方はご一報ください。

*2:江戸前中期の公家。関白。後水尾天皇に重用されるも、熱心な公武接近主義者で霊元天皇と対立。

*3:酒井悠遠(忠興)、森川長丘(俊胤)、板倉悠山(重常)、溝口悠山(宣雄)

*4:皇太子浩宮徳仁。「徳」の字は代々恨みを呑んで死んだ天皇に送られる諡号。使われてない字を探した結果こうなったのでしょうが、こんな字使うわけないじゃないですか。もうあほかと、馬鹿かと。

*5:三笠宮崇仁。「祟(タタリ)」とほぼ同字であり、崇峻、崇道、崇徳と指折りの怨霊が名乗る名です。もう(以下略) 

*6:院政の開祖、後三条帝の諱。それにあやかって、後鳥羽(尊成)、後醍醐(尊治)の天皇様御謀反コンビが用いる