脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『大帝ピョートル』

http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/95
一本は見立ての文化の極北なんですね。よくこんな自己満足が世界に広まったな。JUDO恐るべしです。


 戦利品発表〜〜〜。
近世日本国民史』(6,15,28,39)明治書院(1935)、市古貞次校注『日本古典文学大系38 御伽草子岩波書店(1958)、L.ヒューバーマン・P.M.スウィージーキューバ〜一つの革命の解剖』岩波新書(1960)、倉野憲司校注『古事記岩波文庫(1963)、福永光司荘子〜古代中国の実存主義中公新書(1964)、岡村昭彦『ヴェトナム戦争従軍記』(正・続)岩波新書(1965)、野田又夫デカルト岩波新書(1966)、新井白石『新訂 西洋紀聞東洋文庫(1968)、安本美典神武東遷〜数理文献学的アプローチ』中公新書(1968)、戸頃重基・高木豊『日本思想大系14 日蓮岩波書店(1970)、『日本の名著』(8,14,26)中央公論社(1970)、野間宏親鸞岩波新書(1973)、児島襄『戦艦大和』(上・下)文芸春秋(1973)、児島襄『天皇 第一巻〜若き親王文芸春秋(1974)、大江志乃夫『戒厳令岩波新書(1978)、児島襄『第二次世界大戦ヒトラーの戦い』(1-5,7)小学館(1978)、戸川猪佐武松方正義日清戦争の砲火〜明治・大正の宰相第3巻』講談社(1983)、山田睦男編『概説ブラジル史有斐閣選書(1986)、野口武彦忠臣蔵〜赤穂事件・真実の肉声』ちくま新書(1994)、産経新聞毛沢東秘録」取材班『毛沢東秘録』(上・下)産経新聞社(1999)、産経新聞ルーズベルト秘録」取材班『ルーズベルト秘録』(上・下)産経新聞社(2000)。

 持ってけどろぼー、の投売りワゴンセールを攻めたのでこんだけ買って約5000円弱。我ながら安い趣味だなー。

大帝ピョートル

大帝ピョートル

美しい闇の淵でそのお顔見ていたい

ピョートル1世 Пётр I Алексеевич
 1672〜1729。ロシア皇帝(在位1682〜1725)。
 ツァーリM.アレクセイ*1の子。10歳で異母兄イワーン(5世)*2と共に即位。義姉ソフィア*3が摂政、1689親政。性格は豪放、時に残忍で、所志の遂行に仮借なかった。幼時より外人部隊に出入りし、西欧的教育を受け、軍事を好んだ。常備軍を置き、艦隊を作り、'95-'96アゾフ遠征、1700-'21北方戦争で領土を拡大、'21従来の「モスクワ-ツァーリ」の称号を「皇帝」に変えた。'12首都をペテルブルクに移し、西欧的改革を断行、国政を一新し、「大帝」と呼ばれた。1697-'98大使節団の一員としてオランダ・イギリスに旅行、自ら造船・土木を学び、工場・学校・病院を視察、多数の学者・技師・職人を招き、留学生を派遣、自国の工業(特に製鉄・紡績)、商業の振興を図る。元老院(1711)・参議院・郡県制('08)を置き、官等表('22)、人頭税('24)を設け、官僚体制を確立。改革は服装・日常生活の規制にまで及び、旧勢力(大貴族その他)の不満を呼び、反乱が頻発、それを弾圧し、皇太子П.アレクセーイ*4すらも処刑された。その結果、腹心となった下級貴族(士族)の特権が増し、農奴制は逆に強められ、ロシア絶対主義が確立された。「帝冠を戴いた革命家」とも言われる。(『コンサイス人名辞典 外国編』より引用)

 東洋の蛮風に染まりきった国に西欧合理主義の風を吹き込み、近世史の扉を開いたロシアの大巨人ピョートル大帝。その偉業を顕彰分析する伝記。なのですが、この著者の作風で政治史的位置付けの分析は最小限で、兄姉妻を追放しわが子をその手にかけた血塗られた生涯と放蕩と磊落を愛する八方破れの性格がクローズアップされています。その残忍さと無神経さを口を極めて罵りながらも、その裏に愛情が感じられ、作者がこの偉人を心から尊敬しているのがうかがえて、何処か暖かい気持ちになれます。この本だけでピョートル大帝という世紀の怪物を理解しようと言うのは土台無理な話ですが、ピョートル大帝のそしてロシアの雄大さを感じれるいい一冊ではないでしょうか。時間がたっぷり有り余ってる時にでもどうぞ。

横たえるこの身をば善も悪も超えて密やかなる生け贄となり

 織田信長といい、ピョートル大帝といい、陋習を断ち切り新たな時代を開く改革者はやはり人格破綻者でないと勤まらないのでしょうか。今の日本にも小泉に続く破壊神の登場が望まれますが、そう考えると、誰が適任でしょうか。ローゼン麻生閣下もいいかとは思うんですが、あの人マンガの趣味を見る限り結構堅実派なんですよね。我こそはと思う奇人変人の方は玉砕覚悟で政界に打って出てみてはいかがでしょうか。自民も民主もなんだかなーな今なら間違ってなんか起きちゃうかもしれませんよ。

跪いて足をお嘗め

跪いて足をお嘗め

帰ってきた今日の一行知識

近世ロシアには主人の八つ当たりで鞭打たれるのが仕事の奴隷が存在した。*5
会社はあっさり潰れやがります。仕事のあることの感謝を忘れないようにしませう。

*1:Алексей Михаилович。ロマノフ朝ロシア第2代ツァーリ。父ミハイル=フョードロヴィチ=ロマノフ、母エウドキシア。ポーランド・ロシア戦争に勝利し、ステンカ・ラージンの乱を鎮圧し、東ヨーロッパの覇権を確立。

*2:Иван V。ロマノフ朝ロシア第4代ツァーリ。父アレクセイ=ミハイロヴィチ、母マリア=ミロスラフスカヤ。姉ソフィアの傀儡として皇位を継ぐも、成長したピョートルに追放される。

*3:Софья Алексеевна。イヴァン5世・ピョートル1世摂政。父アレクセイ=ミハイロヴィチ、母マリア=ミロスラフスカヤ。幼い弟たちの摂政として、国政を壟断するも、成長したピョートルの反抗に遭い追放される。

*4:ピョートル大帝皇太子。母エウドキア=ロプーヒナ。父の西欧趣味に反しロシア的伝統に耽溺し、旧勢力の拠り所となった為、ピョートル大帝に憎まれ処刑。

*5:上半身裸で鞭を片手に常に主人の傍に侍り、主人が何か気分を害したら鞭打たれる