脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『東大落城〜安田講堂攻防七十二時間』

痛いニュース(ノ∀`) : 【民主党】 緊急に「対策本部」を設置 新潟沖で最大震度6強の地震発生で - ライブドアブログ
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1005925.html
今日も今日とて民主党ネガティブキャンペーン実行ちう。しかし、叩くネタをわざわざ探さなくてもそこいらに転がっているのは流石です。


 三連休の中日に出勤。なんか負けた気分です。


東大落城―安田講堂攻防七十二時間 (文春文庫)

東大落城―安田講堂攻防七十二時間 (文春文庫)

ガラスの虹を浮かべた砂の上 幻想を謳うより

東大紛争
 1968.1東大医学部自治会が登録医師制に反対してストに入ったことに端を発した学園紛争。’68.6全学部がストに突入、全共闘(代表山本義隆*1)が結成された。’69.1加藤一郎*2総長代行は民青系を中心とした学生代表との集会で確認書を締結、医学部と文学部を除く8学部はストを解除したが、集会に不参加の全共闘側は安田講堂などのバリケード封鎖を強化して大学側との対決姿勢を強めた。’69.1.18.8,500人の機動隊が学内に入り校舎の封鎖を解除、最後に残った安田講堂も35時間に及ぶ攻防戦の末、封鎖を解除。300人以上が逮捕されて闘争は終結した。(『岩波日本史辞典』より引用)


 良くも悪くも日本が最も熱かった時代を後藤田正晴の腹心として駆け抜けた佐々淳行ルポルタージュの一つ。本作は東大紛争の天王山安田講堂籠城事件のお話。決して文章的に巧みというわけではありませんが、「将官」にもかかわらず常に最前線に居たがる時代錯誤の熱い御仁が思い入れたっぷりに描く「戦場」は、あたかも今そこに居合わせているかのような臨場感を感じさせる名文となっています。飽くまで一介の現場指揮官の回想記なので大局的な視点に欠け、激動の1969年を総括するには物足りないですが、小難しい事考えなくても、古きよき時代の牧歌的な「テロ」鎮圧の戦記ものとして読むには最高の一作です。是非われわれが失ってしまった熱く狂った情熱を孕んだ時代の鼓動を感じてくださいませ。

錆付いた傷跡は確かな瞬間でかき消して

 改めて'60年代後半の学園紛争を回顧してみると、あの時代がどれだけ狂っていたかに愕然とします。私も京大生だったので、この時代を懐かしむ教授に沢山会いましたが、彼らは象牙の塔でどれだけボケてしまっているのでしょうか。だから団塊の世代は忌み嫌われるんです。高度経済成長は一重に戦中世代のバイタリティの賜物で、今の日本の迷走のA級戦犯はこの世代ではないかと思ってしまうことが時々あります。権威に対する盲目的かつ無責任な反感と頑迷固陋な時代遅れの信念。まさにこの世代こそがわれらが打ち砕くべきアンシャンレジームそのものでしょう。
 とぼろ糞に言ってはみましたが、親の世代に子供世代が無条件に反発するのは世の常。我々も30年後には、日本を悪くした元凶たる老害と罵られ疎まれていることでしょう。僕らの子供たちはどんなユートピアを思い描きどんな信念を抱いて、私たちを排斥してくれるのでしょうか。今から楽しみです。


Justice to Believe

Justice to Believe

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*1:駿台予備校物理講師。代表作:『磁力と重力の発見』『知性の叛乱―東大解体まで』『古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ』他。

*2:第19代東京大学総長。勲一等瑞宝章不法行為の相関関係説を発展。代表作:『不法行為法の研究』他。