『柳生忍法帖』

痛いニュース(ﾉ∀`) : 【民主党】 新キャラ「民主くん」 - ライブドアブログ
貧すれば鈍するも極まれり。民主は何処に行きたいのでしょうか？

　平和が一番。

柳生忍法帖(上) 山田風太郎忍法帖(9) (講談社文庫)

柳生忍法帖(下) 山田風太郎忍法帖(10) (講談社文庫)

この道の向こう　何かが…何かが待つ

　修羅界から迷い出でたが如き魔人が７人名付けて「会津七本槍」、それに対すは花の如き手弱女７人名付けて「堀の女」。父を夫を主を殺されたその恨みを雪がんする無謀な企みに加担するは、放蕩の無敵剣士柳生十兵衛三厳。風太郎忍法帖ここに完結！！

　会津騒動に範をとった風太郎忍法帖最終作。インフレを続ける忍法合戦に歯止めをかけんと、武芸の心得のない女７人がどうやって復讐を果たすかという主題にしているのが斬新。真正面から向き合っては絶対に歯の立たぬ相手をどうやって搦手で討ち取るかという駆け引きを楽しめます。しかし後半になると、作者の自制心が壊れたか、編集の圧力に負けたか、十兵衛・沢庵コンビ大暴れ、の凡庸な作品になってしまっている感が否めません。前半の江戸での知略巡らし、一本一本槍を折っていくシチュエーションは非常に燃える展開なので後半の失速が残念でなりません。会津に入ってからは「堀の女」が明らかな邪魔者扱いなのも涙を誘います。漆戸虹七郎の隻腕や香炉銀四郎の意味深な顔面の疵が、異形の怪人としてのフレーバー以上の意味を持たずスルーされたのも納得がいきません。忍法帖という形式上魔技を披露するところが一番の見せ場なのは分かりますが、もう少しキチンとしたフォローがあってもいいように感じます。

教訓：作者の寵愛を受けた俺様最強な万能無敵キャラを出すのは自重しましょう。どんなに枷をつけたつもりでも、勝手に大暴走してくれやがります。

後ろふり向かないで何かをつかむまで

　色々書きましたが、血滾るエンターテインメント小説の鑑のような作品です。小難しい理屈を超越した問答無用の燃え展開。愛だの恋だの惰弱に流れがな昨今の小説家にもこの原初の息吹を取り戻してもらいたいものです。
カッコいいは正義！

Forever