脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『三国志と日本人』

痛いニュース(ノ∀`) : Gackt流「妖しく美しい上杉謙信」誕生…NHK大河ドラマ「風林火山」 - ライブドアブログ
来年の大河は例年になく楽しみです。


 きょおのできごと。ひさしぶりにやきにくいきました。げろはきそうなくらいくいました。もうとうぶんにくはみたくありません。おえっぷ。

三国志と日本人 (講談社現代新書)

三国志と日本人 (講談社現代新書)

帰らないかもね そう待ってるだけなんて無理

 鎮西八郎為朝や能登守教経、北畠顕家を知らずとも、関羽張飛趙雲を知らぬ男の子はいないでしょう。そう言い切れるほどに下手な日本の歴史物語より深く広く日本人の心に浸透している三国志。その受容の歴史を元朝日新聞文芸部長の雑喉潤氏が描く。


 時間がないときには新書は便利ですが、内容の当たり外れが酷いのは困り者です。今回のこれは大外れ。一般書のように分かりやすく面白くしようとする努力もなければ、研究書のような客観性もない最低の文章。元「ジャーナリスト」様だけあって文章そのものは平易で読みやすいのですが、段落ごとの脈絡に乏しく、章ごとの構成も稚拙な為、視点がふらふらと一定せず、すぐに集中を乱す悪文です。まだ謙虚さ誠実さでも滲みでてれば微笑ましくもあるのですが、「俺って物知りのインテリ」っていう傲慢が隠し切れない非常に下品な文章となってしまっています。「新聞屋」の文章の軽薄さと傲慢さを抽出濃縮した見本のような文章です。これを読めば新聞の衰退した理由に合点がいくのではないでしょうか。

 文章の稚拙さはともかく、扱う内容は非常に興味深いものなので、是非とも実力のある作家か研究者にリライトして欲しいネタです。三国志好きな人は一度目を通してみてもいいのではないでしょうか。史料調査の精度が非常に怪しいので鵜呑みにするのは危険ですが、目から鱗の落ちること間違い無しです。

風のまま どこか連れ去って

 いつもならここでまとめを書いて終わるのですが、酔ってるからか、酷い文章だったからかは知りませんが、何も思いつかないので、内容の要約で、まとめに代えさせてもらいます。

 
 まずは『日本書紀』の時代、『三国志』は渡来人の必須教養の一つだったようで、随所に引用翻案が見られます。『書紀』の特徴の一つ「一書に曰く〜」型の注も『三国志』の裴松之注が元ネタとの事です。
 時は流れ、軍記物語の時代になり*1ますと、今度は急に『三国志』由来と思われる叙述が消えます。『保元物語』『平治物語』で引用される故事の出典は全て『史記』であり、『平家物語』にも『三国志』の故事は見られません。国風文化の影響で『三国志』の敷居が高くなったと思われます。
 同じ軍記物でも『太平記』にはふんだんに『三国志』の故事の引用が見られますが、これは書かれた時代の違いでしょう。『太平記』の書かれた元代には中国本土で講談の流行が起こり、『三国志』もよく題材に取り上げられていました。

 少し脱線して、中国本土での三国志の発展史。元代に講談文化の隆盛を背景に『三国志平話』が成立。これは当時の仏教の流行に乗ってか、因果応報を説く物語で、張飛孫悟空的な破天荒なヒーローとして主人公をはっていました。明代に入ると、儒教復権に伴い、勧善懲悪的ストーリーが希求され、義の人関羽がクローズアップされた『三国志演義』が成立し、今に至ります。

 話を本線に戻して江戸時代の日本。『三国志演義』が湖南文山の手により『通俗三国志』として翻訳刊行され、今に至る三国志ブームの幕が開きます。以後の展開は省略。*2

 最後になりますが、特筆すべきは日本における奸雄曹操の人気です。中国では曹操は飽くまで単なる悪役に過ぎず、尊敬する三国志の英雄に曹操や魏の武将を上げると驚かれるそうです。ここに「正義」を唯一無二の価値とする中国人と、時に「人情」が「仁義」に優先してしまう日本人との国民性の違いを見出すのは早計でしょうか。

今日の一行知識

実際は張飛の方が文をよくし、智謀に優れた貴族で、関羽の方が乱暴で機転の利かない猪武者だった。
張飛は娘二人が劉禅の皇后になっていたりと、蜀漢の貴族階級にいたことは間違いないのですが、関羽の方は中央政界への関与が殆ど見られません。神と崇められ、三国志一の名将扱いされている関羽とバカの代名詞みたくなってる張飛。彼らは何処で道を間違えたのでしょうか。

BURNING DANCE~and other Japanimation songs~(CCCD)

BURNING DANCE~and other Japanimation songs~(CCCD)

YouTube

*1:六国史の時代はサボリやがってます

*2:明治期以降はただでさえ乏しかった客観性が消滅し、主観一辺倒で正直読んでられませんでした。