2006年10月1日〜11月1日まで。マクドナルド 30日間マクドナルド生活2。
『スーパーサイズ・ミー』への明快にして痛快なアンチテーゼ。純粋な読み物としても面白いのでご一読あれ。マックが食いたくなること間違いなし。ジャンクフード万歳。
ここ二日ほど友人が来てたので、更新サボりました。ごめんちゃい。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/02
- メディア: 単行本
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胸に刻んだ 刺青のような傷を抱いて
王星墜つ。時は光緒三十四(1908)年、日清戦争・義和団事件に敗れ、満身創痍の老獅をただ独り支え続けた烈女「老仏爺」こと西太后慈禧も齢70を越え、その衰えを隠せなくなっていた。今正に消えんとする西太后いや大清帝国の命の炎。その避けえぬ悲劇を目の前に策動する魑魅魍魎と義勇の士。地に堕ちた皇帝光緒帝載湉、西太后一の側近大総管太監李春雲、反逆の英雄北洋陸軍総司令袁世凱。彼等三人の愛と野望と正義とが滅び行く大国の黄昏を美しく彩る。鬼才浅田次郎のつづる大清帝国西太后サーガ遂に完結!
(注この小説の主人公は「白虎張」こと張作霖です。)
「ヒットした作品の主人公を続編に登場させる場合、前作と同じ機体もしくは後継機に乗せてはいけない」とはスパロボアニメの鉄則*1ですが、同じことは小説にも言える様です。一巻の後半から登場し始めた前作*2の登場人物たちが本作を完全にジャック。主人公なはずの張作霖一派の影の薄いこと薄いこと。張作霖の満州制圧事業が大勢に一切関係のない余談になってしまうのは流石にまずいんじゃないでしょうか。西太后や張寿安を筆頭とする中央政界の連中に比べると、満州を制覇し中原を治める英雄たるべき張作霖が小物臭いことこの上ありません。李兄弟で見ると分かりやすいですが、日本を制した勢いに乗り時めく十年前の主人公春児こと春雲と、今作の主人公雷哥こと春雷では役者が二三枚違ってしまっているのではないでしょうか。つくづく続編の難しさを痛感します。
しかし、張作霖と李春雷に涙を呑んでもらいさえすれば、文句のない面白さ。前作の辺境での武侠譚とうって変わった中央政界での政治陰謀劇は前巻とは別ベクトルの面白さを我々に提供してくれます。前作を知らずとも十二分に楽しめる構成になっていますが、勿論知っている人には涙モノの展開。春児が老仏爺が万歳爺が袁慰庭が載沢が蘭琴がミセス・チャンがトーマス=バートンが岡圭之介が新たな時代と舞台で活き活きと自身の役をこなします。往年の勢いこそありませんが、円熟したその演技はポッと出の新人に主人公を譲るもんかと主張してやみません。本筋には絡みませんが、柳川と名を変えた梁文秀・李玲玲夫妻の後日談もあり、正に『蒼穹の昴』の集大成といった趣です。
さて次巻では、我等が張作霖が主人公の座を奪還し、新しいサーガを紡ぐことができるのでしょうか。今から楽しみでなりません。講談社さま、一時も早い発刊を期待しています。
勇侠の士となり戦う青春は 仄蒼きほどに愚かなものでしょうか
読み物としては文句の付けようのない面白さで、オススメ5つ星の本作ですが、昨今の笑韓嫌中ブームに慣れた目には、些か中国賛美が目に余ります。作者が清朝の魅力に首ったけなのはよく分かりますが、流石に美化しすぎではないでしょうか。小説に文句つけるのもなんですが、西太后や閔妃のような、旧体制の温存に汲々として、結果帝国主義者や共産主義者に国を売り渡すに至った悪女を評価する気にはどうしてもなれません。滅び行くものへのノスタルジーは結構ですが、既得権益の守護者への擁護は程々にしてほしいもんです。弱者や中流を名乗る、既得権を守る以外に能のない愚者の駆逐こそが真の日本再生への第一歩なのですから。
以上既得権益とは無縁の負け犬予備軍の遠吠えでした。
今日の一行知識
源義経は衣川の戦いで死なず、大陸に渡り、子を為した。その子孫が大清帝国の太祖ヌルハチである。
日満同祖論の論拠。義経=ジンギスカン説からの連想でしょうが、何時の世も曲学阿世の徒とトンデモさんは仲がよろしいようで。
- アーティスト: ALI PROJECT,宝野アリカ,片倉三起也
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/10/25
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