『月下の恋人』 - 脱積読宣言

痛いニュース(ﾉ∀`) : 「２ちゃんねる」などネットを監視中…佐賀県 - ライブドアブログ
 秘宝伝説SAGA2とROMANCING SAGA2は至高の名作です。

　拝啓、浅田次郎様
　頼むから出版時期を集中させないで下さい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

作者: 浅田次郎
出版社/メーカー: 光文社
発売日: 2006/10/21
メディア: 単行本
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何かに導かれ　森の中を歩いていた幼い僕は

　短編の名手「感動の」浅田が送る珠玉の短編１１本。ささくれだった心に優しい感動はいかがですか？

　『地下鉄に乗って』の映画化にあわせて、短編集出版。セットで売り抜けてやれ。の思惑は痛いほど分かるのですが、なにも『中原の虹』にぶつけんでもいいですがな。買うほうの身にもなってほしいものです。
　内容は感動モードの浅田次郎。正直こっちの彼はあんま好きでないんで、感想も投げやりです。まことに美しく余韻嫋々たる雅文なのですが、歴史モノやピカレスクロマンの際のような、問答無用で襟首掴まれて凄まれる様な感動とは無縁です。買って損はしませんが、買えと無理強いするほどの出来でなし。映画館に置いて一見さんだまくらかすのにはええんでないでしょうか。

奇麗な夜だから　哀しい夜だから優しく笑って見守ってあげる

　流石に本数が多いんで、あらすじは省略。

情夜

　相変わらず、不器用なダメ人間書くのが上手。

告白

　相変わらず、若い女を書くのは苦手なようで。女子高生がどう考えても三十以下には見えませんが、非常に綺麗なお話です。不器用な親父さんがらぶりー。

適当なアルバイト

　ごめんなさい。若い男もあきまへん。

風蕭蕭

　若くても浮世離れした書生さんは上手いですよね。しかし、いきなりダメ学生に『史記』を渡して白文で読め。ってーのは酷じゃないかと。

忘れじの宿

　小説でないと出来ない表現。華麗で緻密な文章力をいかんなく駆使した名作。

黒い森

　ないようがないよう。しかし、一ページくらいしか出てない脇を一行か二行の紹介文できっちりキャラ立てしてしまうのは流石。

回転扉

　回転扉と人生の転変を重ね合わせたアイデアは秀逸。企画倒れな気がするのは秘密。

同じ棲

　投げっ放しジャーマン。

あなたに会いたい

　色々突っ込みたいところはありますが、「あなたに会いたい」この言葉の使い方は非常に秀逸。すうっと背中の冷えるような感動を味わいました。

月下の恋人

　この人の割り切った恋愛感は好きです。「愛しながらも分かれようとするのは、男の本能」は蓋し名言。

冬の旅

　あれデジャブが、浅田氏の過去作品のテーマをパッチワークしたような印象。

この夜が明けるまで熱い想いで踊る

　全体的な感想。小難しいのがブンガクと勘違いなされ始めてる気がしてなりません。難解と投げっぱなしは違いますよ。文豪に堕したアナタは見たくありません。駆け出しの頃に「ヤクザ小説」しか書けないと言われたのがコンプレックスになってんのは知ってますが、やはり「浅田文学」の真骨頂は『プリズンホテル』や『きんぴか』だと信じています。もう一度あの頃のような理屈無用の娯楽作に逢わせてください。