脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『昭和天皇独白録 寺崎英成・御用掛日記』

天皇A級戦犯発言報道に関する簡易まとめサイト
だそうです。在野の力恐るべし。かな。

 夏休みの自由研究にうつつを抜かしていたら、カープが痛恨の連敗してくれやがりまして、完全に時期はずれなネタになってしまいましたが、めげずに更新頑張ります。

昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記

昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記

忘れちゃいけないね自分の価値観

 「ニイタカヤマノボレ」から「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・」へ。全世界に伍して覇を競う最強国から灰燼に残る最貧国へ。この二つを繋ぐミッシングリンク。沈黙を続ける賢君の重い口から語られる真実。これを知らずして前の戦争を騙る勿れ。今漸く昭和が終わる・・・


 題名の通り、大東亜戦争アジア・太平洋戦争についての昭和天皇回顧録です。内容は紛れもない第一級史料で、現代史研究家は言うに及ばず、先の騒動で、「先の大戦」に興味を持った人は是非目を通して下さい。注も充実しており、予習抜きのぶっつけで読んでもある程度の状況は把握できます。 寺崎英成御用掛日記の方は、史料としては一級品でしょうが、読み物としては流石に退屈です。時間のない人は前半の独白録だけ読みましょう。


 さて、肝腎の内容ですが、半可通の知ったかほど見苦しいものはないので、詳細への言及は自粛して、現在問題になってるとこの感想だけ述べてみたいと思います。

 まず人物評。今回話題になってる松岡洋右*1ですが、それを裏付けるかのように、最上級の罵倒が並べ立てられています。曰く「ヒトラーに買収された」だの「彼は何でも自分が思う通りに物事が進まなければ気が済まず、そうでないものには善悪正否を問わず反対する」だの酷い言われようです。しかし、それにも増して目立つのが、東条英機への絶対の信頼です。師匠の永田鉄山から何を吹き込まれていたのかは知りませんが、その盲愛が祟って明らかな対米開戦論者の東条を、日米交渉の一番大詰めに首相に抜擢するのだからわけが分かりません。しかも、軍部政治家宮中総てから総スカンを喰らい、暗殺計画すら立案される段階に及んでもその信頼は微塵も揺らぎません。
 しかし、この天皇からの愛情を考慮すると、今まで個人的に今一謎だった点に説明が付きます。明らかに嫌われ者の彼が何故独裁にこぎつけれたのか、そして何故東京裁判天皇の戦争責任論を謳ったのか。悲しまくは、その愛情が誤解に端を発していたことでしょう。骨の髄からの平和主義者が愛したのは、陸軍腐敗の権化というべき非科学的楽観論者だったのです。

世界で一番輝きたい

 通読した感想は、「社運をかけたビッグプロジェクトを部下の暴走を止めれずこかした責任者の、言い訳満載の始末書」です。彼が無能だったとは思いませんが、後世の謗りを恐れず強権を発動する「蛮勇」に欠けていたことも事実でしょう。戦争の敗因分析で、「山県*2・大山*3・山本*4の如き名将がいなかった」などと責任転嫁するなぞ女々しいにもほどがあります。 

 独裁型の小泉首相も遂にその役目を終え、後継総理レースも白熱しつつある現状ですが、その行く先に不安を覚えずにいられません。父の妄執を背負うタカ派筆頭の安倍氏も、福田に梯子を外されたハト派の谷垣氏も、明らかな調整型の首相です。北朝鮮との「聖戦」を間近に控えた今、彼らは自分の事しか考えられない世間の空気や無責任なマスコミの煽りに流されず、冷静果断に指揮をとる事が出来るのでしょうか。つくづく小泉首相の政治家としての非凡さがうかがい知れます。次の首相が誰になるのか知りませんが、有事には決断を下さい事こそが最大の悪なのだと胆に命じておいて欲しいものです。


 漫画・アニメを愛する同志として、当サイトは麻生太郎氏を応援します。

今日の一行知識

京大総人キャンパスは崇徳神社を潰して作られた
日本史上最強の怨霊を微塵も恐れぬこの所業。流石は京大です。吉田寮の魔窟化はここらが遠因でしょうか。

only one,No.1

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*1:白鳥敏夫も嫌われているのが十分伺えますが、むしろドイツ駐在武官の大島の方が目立つ位です。

*2:山県有朋1838〜1922 日清戦争陸軍大将、日露戦争参謀総長

*3:大山巌1842〜1916 日清戦争第二軍司令官。日露戦争満州軍総司令官

*4:山本権兵衛1852〜1933 日清戦争海軍省官房主事。日露戦争海軍大臣