脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

継承と牙狼と清姫について

2log.net
一目で分かる赤鯉戦士の苦難の現状。真の弱者がここにいます。社民党及び民主党左派の皆さん。彼等に団交のいろはをレクチャーしてあげてください。


 雨が降ると眠いです。所詮は人間もまだまだケダモノなんだと痛感させられますね。
 雨にも負けず、今宵の更新は「継承」「牙狼」「清姫」見た目じゃなくて内容の方を統一して欲しいんだけどナー。

愛にはぐれ 愛を憎み 愛を求める

継承

バーチャルスター発生学 - 脱積読宣言

継承
 後を受けつぐ。承は、受ける。(『大漢語林』より引用)

 だそうです。これ以上何を語れと。 
 あ、一応出典を。韓愈の『平淮西碑』の「天以唐克肖其徳 聖子神孫 継々承々 於千万年 敬戒不怠 全付所覆四海九州 罔有内外 悉主悉臣(以下略)」*1が初出です。意外と新しいですね。
 一応日本語超訳しとくと、「天は唐王朝が困難に打ち勝って、天の徳性に似て、神のように優れた子孫が千万年にも亙って継承し、慎み戒めてサボらずに政治を行うので、世界を全てお与えになった。結果、国の内外を問わず全ての民が臣従することになったのである。」ってとこでしょうか。
 
 以上、他にネタも思い浮かびません、次。 

Q&A 事業承継をめぐる非上場株式の評価と相続税対策

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牙狼

うたをうたおう君の為に - 脱積読宣言

牙狼-GARO-
2005.10.7〜'06.3.31テレビ東京系列にて放送。
製作・著作:Project GARO、制作:東北新社クリエイツ・ディープサイド・オムニバスジャパン
総監督・原作:雨宮慶太、エグゼクティブプロデューサー:二宮清隆・久保聡・白石誠、シリーズ構成・脚本:梶研吾、アクション監督:横山誠、音楽:BUDDY ZOO、クリーチャーデザイン:韮沢靖
メインキャスト
冴島鋼牙(牙狼):小西大樹、美月カオル:肘井美佳、涼邑零(絶狼):藤村玲、龍崎駈音(呀):京本政樹、倉橋ゴンザ:螢雪次朗

 JAM Projectの『牙狼〜SAVIOR IN THE DARK〜』のPV不遇の天才雨宮慶太監督の最新作。画家志望の食い詰め娘が朴念仁で大金持ちの世間知らずのお坊ちゃまをたらしこむお話愛も友情も知らず、人を食らう怪物「ホラー」を狩ることのみを宿命と信じる魔戒騎士鋼牙の愛と戦いの日々を描くみっどないとあくしょんほらーどらま。だそうです。
 時代がようやく監督のセンスに追いついたか、CGとワイヤーアクションを多用した殺陣は日本の特撮のレベルを遥かに超えハリウッドの美麗さとカンフーアクションの暑さを兼ね備えたハイレベルなものとなっています。画面狭しと駆け巡る戦闘シーンを是非ご堪能ください。
 ただその分、ストーリー部分はかなり酷いので飛ばしても構いません。「オレさまの作品をそこら辺のお子ちゃま向けお遊戯と一緒にするんじゃねーよ。はーどぼいるどでえろすな大人の作品だぜ」って本音が鎧の下からばっちり見えていて、世界設定やネーミングセンスも稚拙というかダサいというか、なんとも金のかかった同人といった印象が拭えません。そんな邪推と私情を抜きにしても、メリハリに乏しい演出でボーっと見てると何が起こったのか分からないまま終わってしまいます。正直あんたは『ゼイラム』や『仮面ライダーJ』『同ZO』の大失敗に何も学んでないのかと詰問したくもなるってもんです。


 とは言え、戦闘シーンのカッコよさは眠いストーリーを我慢してでも見る価値はあります。CGを前提とした演出が出来るのは日本では稀有な才能ではないでしょうか。前作までの「頭の中ではカッコいい絵が出来上がってるのは想像できる」演出に時代と技術が追いついた結果の斬新且つ重厚な殺陣は一見の価値があります。ただ動きで見せるのを重視した結果、「溜め」が非常に軽視されており、「日本的」演出になれた身には物足りなく感じるのも事実。プライドを捨ててもっとあざとくベタ*2に見得を切らせてもよかったのではないでしょうか。

 
 総じて完成度の高い作品とは言いがたいものがありますが、日本特撮史の画期ともなりうる作品だと思います。特撮は好きだけど、流石に戦隊やイケメンライダーはちょっとという方にはオススメです。香取版『西遊記』や松浦版『スケバン刑事』みたいなお遊戯よりよっぽど出来はいいですよ。

牙狼<GARO> 1 [DVD]

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清姫

病める薔薇 - 脱積読宣言

 「昔々、紀伊国牟婁郡の宿屋に清姫という娘がおりました。その娘は熊野詣の途中に立ち寄った旅の僧安珍に恋をしますが、修行中の身だからと袖にされてしまいます。諦めきれない彼女は帰りにも是非立ち寄ってくれと約束しますが、こんな地雷女に構ってやるほど安珍はお人よしではありません。触らぬが仏とばかりに華麗に宿屋をスルーしますが、それが彼女の逆鱗に触れ、清姫は嫉妬と憤怒でその身を火を吹く大蛇に変え、安珍を猛追します。身の危険を感じた安珍は近くの寺道成寺に駆け込み、釣鐘の中にかくまってもらいますが、あな恐ろしきは女の執念、釣鐘諸共に焼き殺されてしまいましたとさ。教訓:地雷を踏んだらサヨウナラ。」
 というお話、いわゆる「安珍清姫物語」の主人公が清姫です。このお話は江戸時代にはかなり人口に膾炙していたようで、能・歌舞伎・浄瑠璃で『道成寺物』の一ジャンルを築くほどのバリエーションを持ちます。
 
 歴史はかなり古く、『法華験記』*3や『今昔物語』*4にまで遡れます。ただ「清姫」の名が付いたのはかなり下って江戸時代の操浄瑠璃道成寺現在鱗』*5を待たねばなりません*6。最初の頃は仏の功徳を説く仏教説話*7だったのが、時代が下るにつれて、抹香臭さが薄れ純粋な娯楽物に変化していったようです。因みに「清姫」ですが、当初は色も盛りの未亡人だったのが、時代が下るにつれて若くなっていき、最後には恋に恋する乙女になったとのことです。時代別ストライクゾーンの研究なんてのやっても面白いかも知れませんね。

運命の歌の命ずるままに

 清姫伝説の流行したのは「女は怒らすと洒落にならん」という真理を全ての男性が共通理解として持っていたからではないでしょうか。ドン=ファンたらずとも誰しも女性陣の逆鱗に触れ、小便ちびる思いをした事はあるでしょう。その経験こそが清姫伝説が子々孫々継承され受け入れられた理由だと思います。
 『牙狼』にでてくる妖しくも美しい女性型ホラーを例に出さずとも、いつの世も男にとって女は得体の知れぬ異形の怪物なのです。明治期の儒教キリスト教道徳のくびきからを解き放たれつつある女性陣。一度は廃れた道成寺物の復権も近いのではないでしょうか。麗しくも強いお嬢様方。あまり男をいじめないで下さい。元来男は臆病ものなんですから。

 にしても、そこまで想われるなら死んでも本望と思ってしまうのは、モテナイ男の妄想でしょうか。被ストーキング経験のある某友人に訊いてみたいものです。

 

今日の一行知識

つげ義春の『ねじ式』に登場する「メメクラゲ」は「××クラゲ」の誤植
作者が名前を思いつかなくて「××クラゲ」で放置しておいたのを編集が誤読したようです。センスのいいネーミングの正体って案外皆こんなもんかもしれませんね。

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*1:書き下し「天唐の克(よ)く其の徳に肖(に)て、聖子神孫、千万年に継々承々して、敬戒怠らざるを以て、覆う所の四海・九州を全付して、内外有る罔(な)く、悉く主悉く臣たり。(以下略)」

*2:第九話「試練」みたく戦闘シーンに主題歌を乗せてみるとか、敵の撃破後一拍置いて見るとか。折角やられ役がいるのに全然活用できてないように感じます。

*3:119話

*4:巻十四第三「紀伊国道成寺僧、写法花救蛇語」

*5:寛保二(1742)年初演

*6:安珍の方はかなり初期の『元亨釈書』(元亨二(1322)年成立)に出てきます。何だかんだ言っても男尊女卑なのは間違いなかったようですね

*7:安珍清姫の二人は死後蛇に生まれ変わり、それを哀れに思った道成寺の僧が、『法華経』で供養したところ、二人はそれぞれ兜率天と忉利天に往生した。というのがオチ