脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『ヒトラー〜炎の独裁者〜人物現代史1』

ドメインパーキング
これで四人目の犠牲者。改めてスーパーストッパー若林正俊氏の偉大さが光ります。


 飲み会続きで気力体力ともに尽き果て、久しぶりに大分宿題溜めてしまいました。『スーパーロボット大戦Z』も発売された*1し、追いつくのはいつの日になるやら。

人物現代史〈1〉ヒトラー (1978年)

人物現代史〈1〉ヒトラー (1978年)

泣けてくる世界僕たちを飲み込み

ヒトラー Adolf Hitler
 1889〜1945年。ドイツの独裁者。世界最大のファシスト
 オーストリアのブラウナウに税関吏*2の子として生まれる。第一次大戦バイエルン連隊に入り負傷。1919国民社会主義的ドイツ労働者党(ナチス)を創立し、'23ミュンヘンルーデンドルフ*3と共に一揆ミュンヘン一揆)を起こす。一揆失敗後禁錮5年に処せられ、『我が闘争』を執筆。権力との馴れ合いで9ヶ月で出獄後、大衆運動に戦術転換。'29以降世界大恐慌による政治的・経済的変動の中で、一部独占資本の支持と民族主義的社会的デマゴギーによって、ファシスト社会運動として急速に成長。親衛隊(SS)・突撃隊(SA)の共産党労働組合へのテロ活動を強化、'33.1首相。'33.3全権委任法を成立させ、ナチス以外一切の政党を禁止、'34総統。'36スペイン内乱に介入し、'38オーストリアを併合、ミュンヘン協定によりチェコスロバキアを併合。'39第二次大戦に突入。'44反ファシズム連合の反抗と諸民族の解放闘争の前に戦局の破綻が明白になり、'45.5赤軍の侵入を控えたベルリンで自殺。(『コンサイス人名辞典 外国編』より引用)

 ハイルヒットラー!!!

 ユダヤ資本の犬に噛み殺されそうなジョークはさておき。20世紀最大の政治家アドルフ=ヒトラー伝です。取り上げられているのは第一次世界大戦敗戦からヒトラー総統就任までの約15年間。一介の伍長がどうやって一国を牛耳る独裁者にのし上がったのかを、「ジャーナリズム」の視点から冷静に客観的に分析しています。総統就任後、世界史の主役となって以降の活躍をEPILOGUEで済ますその潔い姿には、尊敬すら覚えます。ただ、いかんせん元新聞屋さんの文章なので、史料の検証が甘い、ふらふら一定しない視点、人名・用語の説明不足の三拍子揃った読み難さ。多少ならず癖はあるので、正直お勧めはしがたいかと。ただ寄り道をしないその潔さはご立派。どろどろのワイマール共和国政界暗闘史を骨の髄まで堪能したい人はどうぞ。

永遠なんてものは今ここにあるだけだよ

 ジンバブエも真っ青の超ハイパーインフレから国を建て直し、古きよき帝国主義の時代を完膚なきまでに破壊したヒトラーは、誰がなんと言おうと20世紀最大の偉人でしょう。しかし、彼の夢見た第三帝国は脆くも崩れ、ドイツ国民に半世紀に亘る屈辱の歴史を歩ませたのも、まごう事なき事実。ユダヤ史観からネオナチまで、とかく両極端に振れがちな彼の評価。議論を封殺した価値観の押し付けの怖さが分かります。我々もドイツを反面教師にして、先の大戦のきちんとした再評価を行うべきでしょう。左翼史観の強制は盲目的な反動右翼の量産に繋がりますよ。経験者*4からの忠告です。

GREEN

GREEN

帰ってきた今日の一行知識

ヒトラー菜食主義者
ついでに酒も煙草も喫まず女性関係も淡白な堅物だったそうです。やはり人間多少不真面目でないといけませんね。

*1:当稿執筆2008.9.25

*2:アロイス=ヒトラー。ブラウナウ税関長。旧姓:シックルグルーバー。実直な実務官僚としての生涯を送り、息子のアドルフにも同じ人生を歩めるよう教育を施すも反発し出奔。

*3:Erich Friedrich Wilhelm Ludendorff。参謀次長。第一次世界大戦リエージュの奇襲により一躍英雄となり、ヒンデンブルグと共に軍部独裁を敷く。敗戦と共に失脚後は、カップミュンヘン一揆を首謀し返り咲きを目論むも失敗。

*4:管理人はヒロシマ出身。