脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

インライブラリーとお腹召しませと弩級戦艦について

評論家さん、産経新聞で『アンサイクロペディア』を引用して記事を書いてしまう : オレ的ゲーム速報@刃
ネットリテラシーって大事ですね。


 統一地方選前半戦終了。良くも悪くも実に順当な結果で何より。しかし、自民は大阪で、旧民主組は北海道で、あんなマッチアップよく勝負になると思ったな。


競馬成績・・・H31収支-26260

SRWT進捗

  • 第32話「闇に蠢く」シン・オブ・フライデイ撃破。トップエース:サギリ=サクライ@ティラネード・レックス

語り合ったヒーローなんてもんは結局都合のいい絵空事でさ

マリア様がみてる~インライブラリー

マリア様がみてる イン ライブラリー』 コバルト文庫 こ 7-43
著者:今野緒雪*1、発行者:谷山尚義*2、発行所:株式会社 集英社、印刷所:図書印刷株式会社
平成十七(2005)年1月10日初版発行
目次

 
 「図書館」をテーマとした「マリア様がみてる」シリーズの第2短編集。丁寧に積み重ねた描写で醸成したキャラの魅力で勝負の作家さんなんで、短篇とは相性が悪いのは相変わらず。ぶっちゃけレギュラーメンバー出ずっぱりの埋め草のブリッジの方が大分面白い・・・。とは言え、短篇の出来自体も長編と比べたら微妙ってだけで充分に読ませる力は持ってます。明らかに不向きなレギュレーションでここまで健闘できるんだから逆説的に作者の確かな実力を感じさせられます。特に、登場人物全部女性のクッソ泥沼な三角関係って想像したくもないシチュエーションの「チョコレートコート」と祥子祐巳の親の代からの因縁がほのめかされる「図書館の本」は必読ですよ。

お腹召しませ

『お腹召しませ』
著者:浅田次郎*3、発行者:早川準一*4、発行所:中央公論新社、印刷・製本:大日本印刷
平成十八(2006)年2月10日初版発行
目次

  • お腹召しませ
  • 大手三之御門御与力様失踪事件之顚末
  • 安藝守様御難事
  • 女敵討
  • 江戸残念考
  • 御鷹狩
  • 跋記


 幕末の江戸を舞台とした浅田次郎の時代物短篇。感動ものとコメディーの中間な立ち位置でよく言えばハイブリッド、悪く言えばどっちつかずの完成度。前作の『五郎治殿御始末』が、時代設定を明治初年度に置いて、残された者の悲哀と寂寥感を上手く表現した傑作だったのに比べると、今作は事態が現在進行形のドタバタ真っ最中の幕末期なのでしんみりできる空気感ではなく、感動ものをじっくり堪能するには不向きな舞台設定かと。その分コメディーに針振り切った「安藝守様御難事」は氏の短編全体の中でも有数の出来栄え。個人的には氏の「殿様はつらいよ」シリーズは大好物です。

お腹召しませ (中公文庫)

お腹召しませ (中公文庫)

弩級戦艦

弩級戦艦 dreadnought
 20世紀前半の戦艦の典型的なタイプを言う。1906年に進水したイギリス海軍の「ドレッドノート」は、単一口径巨砲による武装と蒸気タービンによる高速で大きな衝撃をもたらし、以後の戦艦のタイプを普通名詞として「ドレッドノート 」、それ以前のものを「プレ・ドレッドノート 」と呼ぶようになった。日本語では略してそれぞれ「弩級戦艦弩級艦)」、「前弩級戦艦(前弩級艦)」と呼ぶ。なおこの「弩」はドレッドノートの頭の音を取った当て字であり、漢字の意味*5とは関係無い。そのため、ド級とカタカナ表記する場合もある。
 戦艦ドレッドノートには2つの革命的特長があった。1つは「単一巨砲」による武装であり、もう1つは蒸気タービン推進である。ドレッドノートの出現によって在来艦が一気に旧式化し、“弩級かそれ以下か”が軍事力の重要な象徴となったため、新たな海軍建艦競争が始まることになった。特にイギリスとドイツの建艦競争が著しかったが、それ以外にも影響は世界中に及んだ。
 「単一巨砲」のコンセプトによる軍艦の開発はドレッドノートの建造の数年前から行われていた。日本帝国海軍は1904単一巨砲艦の研究を開始したが、結局前弩級戦艦に落ち着いた。アメリカ海軍もまた単一巨砲艦を建造していた。弩級戦艦時代には目覚しい技術革新が続き、新しい艦になるごとにどんどん大きくなり、また武装や防御や推進機関も進歩した。新戦艦がドレッドノート自身を凌駕するのに10年もかからなかった。これらのより強力な艦は「超弩級戦艦」と呼ばれた。弩級戦艦の多くは第一次世界大戦後のワシントン海軍軍縮条約の下で廃棄されたが、より新しい多数の超弩級戦艦が第二次世界大戦を通して活躍した。
 20世紀初頭は弩級戦艦建造に莫大な資源が投入されたが、弩級戦艦による艦隊同士の決戦が行われたのはユトランド沖海戦のただ1回のみであった。イギリス艦隊とドイツ艦隊が激突したその海戦は、結局双方とも決定的な結果を得ることなく終了した。第一次世界大戦後、すべての戦艦が弩級戦艦の性格を持つことになったため、「弩級艦」という用語はあまり使われなくなった。また、「弩級艦」という用語は、ドレッドノートの革命が生み出したもうひとつの艦種である巡洋戦艦についても用いられる。(wikipediaより修整引用)


 超ド級の語源となった艦種。昔友人が「超ド級ド級って戦艦のことなんだぜ」ってトリビア披露してきたのに「ドレッドノート級のことでしょ」って即答したら大分ヤな顔されたのが非常に印象に残ってます。個人的にはあまりミリ趣味も見識もないのでかなりあやしいと思いますが、自分なりにまとめてみようと思います。
 30.5㎝砲複数門の主砲に小口径の副砲を混載する設計だった既存艦に比べ、1906年に竣工した戦艦ドレッドノート水雷艇撃退の速射砲を除き副砲を搭載しない30.5㎝砲10門の重武装を特徴とします。これにより前弩級戦艦とのロングレンジでの打ち合いでは圧倒的な攻撃力の差を有することとなり、その名の通り前弩級戦艦を過去の遺物へと追いやりました。なお、開発に成功したイギリスは、圧倒的な数の前弩級戦艦保持数に支えられていた海軍力の絶対的優位を、ドレッドノート級があまりに性能が卓越しすぎてた所為で、他の国が弩級戦艦の開発に成功した瞬間追いつかれる不安定なものにするという実に本末転倒なことになっています。現にドイツとアメリカがあっさり弩級戦艦の開発に成功し大英海軍の凋落はここから始まるのでした。ちなみに、この後も建艦競争は激しさを増し僅か5年後の1910年には34.3㎝砲搭載のオライオン級の就役により超ド級戦艦が戦艦のスタンダードとなります。その所為で弩級戦艦が活躍した海戦はユトランド沖海戦のみという体たらく。日本にいたっては弩級戦艦すっ飛ばして超ド級戦艦の金剛型を就役させてます。いつの世もパイオニアの末路は切ないですね。

夢に届く訳はなくてお決まりの言い訳

 社会人として世の中出てみて思うのは、『マリア様がみてる~イン ライブラリー』や『お腹召しませ』のような良質の短編集のように、小さな成功を続けざまに繰り出すのがいいのか、それとも弩級戦艦のごとくに超特大の一発をぶちかますのがいいのか。まあ、現実は必死こいて頑張ってようやく小さな小さな自己満手に入れれるのが関の山なんでしょうけどね。

ドレッドノート

ドレッドノート


カラオケ Dreadnoughtドレッドノート【Off Vocal】Yuzuki Yukari Vocaloid Karaoke

帰ってきた今日の一行知識

大戦末期日本軍は超々々々弩級戦艦を開発しようとしていた

51cm連装砲搭載の超大和型(仮称)。当然資材不足で着工すらされませんでしたが、もし完成したとして最大射程が水平線の遥か向こうで当時の技術では弾着観測が不可能って体たらく。二進も三進もいかなくなると一発逆転のロマン砲に憧れるのわかるけど、それにしたってもうちょっと地に足の着いたもんを。

*1:代表作:『夢の宮』、『スリピッシュ!』、『雨のティアラ』他。

*2:集英社第5代社長。『セブンティーン』や『YOU』などの少女雑誌の編集長を歴任し、集英社代表取締役まで上り詰めた。

*3:代表作:『鉄道員』、『蒼穹の昴』、『壬生義士伝』他。

*4:読売新聞グループ本社監査役

*5:おおゆみを表す