脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『歴史は実験できるのか〜自然実験が解き明かす人類史』

ダイヤモンドの価値が本格的に危なくなってるって知ってる?:哲学ニュースnwk
魚も美術品も行き過ぎた天然品信仰はどうかと思うの。


 片道1時間半の通勤時間。どうなることかと思いましたが、散歩時間と読書時間確保できるので、結構いいもんですね。


DQⅦ進捗

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

遺物となる常識と無力化した法則投げ捨て

 ポリネシアの島々、アメリカ西部移民、新大陸の銀行制度、イスパニョーラ島イースター島奴隷貿易、イギリスのインド統治、フランス革命etc。統計学の手法を用いて人類が行ってきた壮大な自然実験の成果を読み解く野心的な一冊。歴史は科学たりうるのか。


 『銃・病原菌・鉄』のJ.ダイアモンドと『国家はなぜ衰退するのか』のJ.A.ロビンソンを二枚看板に掲げた論文集。この二人が主著みたいな想定になってますが、ダイアモンドは既存の著作の論考の使いまわし、ロビンソンは一篇の論文の共著者なだけと看板倒れもいいところ。誇大広告良くない!
 まあ、そんな下品極まりないマーケティング戦略を除けば、多種多様なテーマを、自然実験を統計学的に分析した骨太な労作ぞろいで読みごたえがあります。まあ、歴史家というより統計家といった皆さんなので、統計によって何が読み解けるかではなく、統計の真正さの証明に紙幅を割いているので、専門家ではない我々では知的好奇心を燃え立たせるのはかなりの難事。誠実な専門性と娯楽としての知的興奮の喚起の両立が神業なのは洋の東西を問わないんですね。にしても、ジャレド=ダイアモンドの新作読みたかったなあ。

ゼロベースで始めよう根源はエキセントリックかつ優雅で奇抜に

 歴史は文学か、科学か。歴史家の端くれたるものいつも自問自答している問いなのではないでしょうか。個人的には科学的「事実」を柱にそこから推理と空想の翼をはばたかせてどこまで文学的「真実」に近づけるかが歴史の本懐だと信じています。いつの日かボケたり頓死したりする前にその自分なりの「真実」に肉薄できるといいなあ。

FACTOR(期間生産限定盤)

FACTOR(期間生産限定盤)

帰ってきた今日の一行知識

民族的多様性と経済発展には明確な負の相関関係がある
ここにもまた不都合な真実が。進歩派のみなさんは色々と大変ですね