脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

岩瀬仁紀と扇腹とフリードリヒ1世について

http://blog.livedoor.jp/rbkyn844/archives/5440139.html
何かあるとすぐに社会的制裁に走るのは日本人の悪い癖ですが、法律もそれの存在を前提とした量刑設定になってるんだからどうしたもんだか。司法関係者の皆さん日本の刑罰の近代化には村八分と破門絶縁の文化の駆逐が一番の早道だと思いますよ。


 医療業界に飛び込んでそろそろ五年。医療崩壊の原因が医師の特権階級化にあるってのを痛感しきり。とは言え、あれだけ毎日先生先生と幇間と家令と信者にかしづかれて上げ膳据え膳やられちゃあ狂うなって方が無理。私もいつかは権力の傍に侍りつつも常に権威を嘲弄し続ける立派な道化になれるといいのですが。


SRWZⅡ再世篇進捗

Come on, show'em what you're worth

岩瀬仁紀

コッペリアの柩 - 脱積読宣言
CHA-LA HEAD-CHA-LA - 脱積読宣言

岩瀬仁紀
昭和四十九(1974)年〜。愛知県西尾市出身。181cm85kg。投手。左投左打。背番号13。
西尾東高校(1990-'92)→愛知大学('93-'96)→NTT東海('97-'98)→中日ドラゴンズ('99〜)
'11成績:試合56投球回48.2敗北1セーブ37ホールド7勝率.000奪三振45防御率1.48WHIP1.23
通算成績:試合746投球回769勝利50敗北35セーブ313ホールド26勝率.588奪三振695防御率2.02WHIP1.09
受賞歴

 誰が呼んだか死神岩瀬。死神の鎌にすら形容されるスライダーを武器に何度煮え湯を飲まされたことでしょうか。社会人出身+キャリアの前半5年間を中継ぎに費やしたにも関わらず2011年末で313Sの日本記録保持は間違いなく生ける伝説。しかしながら、去年の浅尾の介護ネタや北京五輪での惨状を見るに一度傾いた流れを逆転させることのできる抑えのエース的な存在ではなし。その二つ名の通りに、趨勢の決まった試合の最後に間違いの起こらぬようそっとその息の根を止める。現代野球において守護神がストッパーからクローザーに移ったことをその身を以て示す証拠と言えるでしょう。彼がどこまでその記録を伸ばせるか同時代人として見守っていきたいものです。できればカープ戦以外で。

扇腹

フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリ - 脱積読宣言

扇腹
 江戸時代、武士に適用された刑罰の一つ。三方に短刀の代わりに載せた扇を取って戴くのを合図に、介錯人が背後から首を切ること。(『日本国語大辞典 第二版』より引用)

 どれだけ勇壮悲惨な最期を遂げて後世に名を残すかが目的だった戦国期の本質から単なる儀礼に成り下がった江戸期の切腹を象徴するのがこの扇腹。苦しみ悶えて死に損なっているのを見るに見かねて止めを刺す(=不測の事態への対処)というのが介錯の本質だったのでしょうが、切腹の作法に組み込まれて以降は、腹に短刀を立てたら=苦しむ前に介錯、刀を持ったら=切腹の意志を表示したらすぐに介錯とだんだん形式化され、最後には死ぬ前の恐怖で錯乱した時に刃物を持っていたら危ないから扇で代用と完全に当初の理念とは真逆のものに。日本人の魔改造好きはこんなところにも表れています。

(英文版) 切腹 - Seppuku: A History of Samurai Suicide

(英文版) 切腹 - Seppuku: A History of Samurai Suicide

バルバロッサ

極めて近く、限りなく遠い世界にpt5 - 脱積読宣言

フリードリヒ1世 Friedrich Ⅰ
 1123頃〜'90。ドイツ国王・神聖ローマ皇帝(在位:'52-'90)通称:Barbarossa(赤髯王)。
 シュヴァーベン公フリードリヒ2世*1の子。1155ローマで戴冠。イタリアに於ける帝権の回復を図って度々遠征。教皇アレキサンデル3世*2と争い、対立教皇ヴィクトル4世*3・パスカリス4世*4を擁立。また、ミラノを中心とするロンバルディア都市同盟と戦い、'76レニャーノに敗北、'83コンスタンツの和約の成立。都市の自治権を認め、形式上の皇帝の宗主権を承認させた。ドイツ内部ではハインリヒ獅子公*5を中心とするヴェルフェン家の勢力と対立し、王領地拡大を図ると同時に、封建的主従関係の整備を通して帝権の確立を図った。最後に第3回十字軍を企て、その遠征途上小アジアのザレフ川で溺死。(『コンサイス人名辞典 外国篇』より引用)

 ローマ教会やイタリア東欧諸国と激しく対立を続けたその豪胆とその謎の多い最期から後世に名を残す赤髯王フリードリヒ1世。その剛勇にあやからんと作戦*6や宇宙戦艦*7はてはボードゲームにまで「バルバロッサ」の名は使われています。
 現代ではソビエト侵攻作戦にその名を冠されたごとく東方積極政策のイメージの強いフリードリヒ1世ですが、12世紀当時の人々にとっては何度もイタリア進出を企図した神聖ローマ皇帝というのがパブリックイメージだった模様。だからわざわざBarbarossaってイタリア語の二つ名冠せられてるんですね。
 以上中世ヨーロッパ暗黒時代のことなんて全く門外漢な人間のwikipedia大先生からの受け売りでした。

宿命の「バルバロッサ作戦」 (WWセレクション)

宿命の「バルバロッサ作戦」 (WWセレクション)

So you could open one that leads you to the perfect road

 日本の歴史は原理原則本質からの逸脱の軌跡。現代日本を顧みても江戸時代の扇腹のように当初の目的から大きく逸脱し形式主義と合理主義をないまぜにしながら繁文縟礼の極みに達した無駄な儀式が幅を利かせています。このままでは江戸時代と同じように制度疲労による瓦解を待つばかりなのは、9回ビハインドで岩瀬仁紀を迎えた我らがカープの勝敗と同じ位に素人目にも明らかなのですが、外圧なしに日本人がそれを破壊しえないのも残念ながら歴史が証明しています。そのジンクスともどもこの閉塞感を打ち破ることのできるバルバロッサのような英傑に我々は出会えるのでしょうか。願わくは人民解放軍って名の黒船が来る前にお出ましいただきたいのですが。

Firework

Firework

帰ってきた今日の一行知識

切腹の際に白の裃に身を包むのはフィクション
実際には血の色が目立たぬように浅葱色*8の着物を纏うのが作法だった模様。つくづく時代劇的常識ってのは江戸時代の文化風俗制度の理解の邪魔をしてくれます。

*1:第18代シュヴァーベン公。通称:独眼公

*2:第170代ローマ教皇教皇権の確立に尽力し、フリードリヒ1世を破門しヘンリー2世を屈服させるなど俗権への勝利を収めた。

*3:アレキサンデル3世初代対立教皇。アレクサンデル3世に破門されたフリードリヒ1世に擁立され、対立教皇として即位。

*4:アレキサンデル3世第2代対立教皇。ヴィクトル4世の後任として、フリードリヒ1世に擁立され即位するも、新たな権威の確立には至らなかった。

*5:第15代ザクセン公。父ハインリヒ10世、母ゲルトルート。ザクセンバイエルン両地の公爵としてフリードリヒ1世に仕えるも、ロンバルディア侵攻への非協力を理由に失脚し、領地の過半を失う。第3回十字軍に伴う混乱に乗じて蜂起しブラウンシュヴァイク公に返り咲いた。

*6:第二次世界大戦におけるドイツのモスクワ侵攻作戦

*7:銀河英雄伝説』における銀河帝国キルヒアイス上級大将座乗艦、『ガンダムタクティクス MOBILITY FLEET0079』におけるジオン公国軍チベ級、『ミニスカ宇宙海賊』における海賊船バルバルーサetc

*8:血に染まると黒になる