脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『サッチャー回顧録〜ダウニング街の日々 下』

一番カッコイイ日本刀って何なの? 天下五剣、七支刀、玉纒太刀、流星刀とか色々あるけど:哲学ニュースnwk
博物館のガラス越しにも伝わる狂気の美しさ。辻切りの気持ちも少し分かる気がします。


 『スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神Ⅱ REVELATION OF EVIL GOD』クリア。魔装機神に非ずんば人に非ずの能力設定とか、HP最小のユニットを執拗に狙ってくる*1敵の行動パターンとか、場当たり的でとっちらかってて「次回作あります」のアピールの過ぎる伏線回収の甘いシナリオとか、懐かしのウィンキー臭たっぷりの一作。昨今のキャラゲーに堕したスパロボスパロボに非ずの回顧主義者の方にはおススメです。サイバスターの、元ネタたるビルバイン並みのゲームバランスクラッシャーぶりも健在ですよ。


魔装機神Ⅱ進捗

  • 2周目第8話「赦されざる者」ヴォルクルス撃破。トップエース:マサキ=アンドー@サイバスター

サッチャー回顧録―ダウニング街の日々〈下〉

サッチャー回顧録―ダウニング街の日々〈下〉

I want to show you all my wares

マーガレット・ヒルダ・サッチャー Margaret Hilda Thatcher
 1925年〜。イギリスの政治家。イギリス史上で初めて保守党党首、英国首相(在1979-'90)に就任した女性。1992からは貴族院議員。保守的かつ強硬なその性格から 鉄の女(the Iron Lady)あるいはアッティラ(Attila the Hun)の異名を取った
 1925リンカンシャー州グランサムの食糧雑貨商の家に生まれる。父アルフレッド=ロバーツは地元の名士であり、市長を務めた経験もあった。サッチャーの生家は代々メソジストの敬虔な信徒であり、生家の家訓であった「質素倹約」「自己責任・自助努力」の精神はサッチャーにも色濃く受け継がれた。父を非常に尊敬し、「人間として必要なことは全て父から学んだ」と度々口にした。オックスフォード大学で化学を学び、'47卒業。その後、研究者の道に進み、ライオンズ社に就職した研究者時代にアイスクリームに空気を混ぜてかさ増しする方法を研究した事がある。コロイド化学が専門であり、Langmuir- Blodgett膜の研究を行っていた時期もある。一方、大学時代にはフリードリヒ=ハイエク*2の経済学にも傾倒していた。この頃に培われた経済学に対する思想が、後の新自由主義的な経済改革(所謂サッチャリズム)の源流になった。'50保守党から下院議会議員選挙に立候補するが落選。'51年には10歳年上のデニス=サッチャーと結婚し、法律の勉強を始める。'53弁護士資格を取得。なお、この当時は女権拡張について強く訴えていた。'59下院議員に初当選を果たし、'70ヒース内閣で教育科学相を務める。この時、教育関連予算を削減する必要に迫られたサッチャーは学校における牛乳の無償配給の廃止を決定し、「ミルク泥棒」と謗られるなど、猛烈な抗議の嵐を巻き起こした.。'74選挙で保守党は敗北を喫し、'75.2保守党党首選挙が行われる。当初、サッチャーは党内右派のキース=ジョセフを支持していたが、ジョセフは数々の舌禍を巻き起こして党内外から反発を受け、立候補を断念してしまった。そのため、右派からはサッチャーが出馬する。教育科学相の経験しかないサッチャーの党首選への出馬を不安視する声も多かったが、エドワード=ヒース*3を破り保守党党首に就任する。'75イギリスを含む全35ヶ国で調印、採択されたヘルシンキ宣言を痛烈に批判した。これに対し、ソビエト連邦の軍事新聞「赤い星」は1976年1月24日号の記事の中で、サッチャーを鉄の女と呼び、非難した。皮肉にも、この「鉄の女」の呼び名をサッチャー自身も気に入り、またその後あらゆるメディアで取り上げられたために、サッチャーの代名詞として定着した。'79選挙でイギリス経済の復活、小さな政府への転換を公約に掲げ、保守党を大勝に導く。'79女性初のイギリス首相に就任した。イギリス経済の建て直しを図り、政府の市場への介入を抑制する政策を実施。こうした経済に対する思想は新自由主義(ネオ・リベラリズム)あるいは新保守主義と呼ばれ、理論的にはフリードリヒ=ハイエクやミルトン=フリードマン*4の経済学を背景にしていると言われる。'82南大西洋フォークランド諸島でフォークランド紛争が勃発。アルゼンチン軍のフォークランド諸島への侵略に対し、サッチャーは間髪入れず艦隊、爆撃機フォークランドへ派遣し、多数の艦艇を失ったものの'82.6.14イギリス軍はポート・スタンリーを陥落させ、アルゼンチン軍を放逐した。サッチャーの強硬な姿勢によるフォークランド奪還は、イギリス国民からの評価が極めて高い。この際、「人命に代えてでも我が英国領土を守らなければならない。なぜならば国際法が力の行使に打ち勝たねばならないからである」*5と述べた。イギリス経済の低迷から支持率の低下に悩まされていたサッチャーは、戦争終結後「我々は決して後戻りしないのです」と力強く宣言し、支持率は73%を記録する。フォークランド紛争をきっかけに保守党はサッチャー政権誕生後2度目の総選挙で勝利し、これをきっかけにサッチャーはより保守的かつ急進的な経済改革の断行に向かう。その強い姿勢で、3度の総選挙を乗り切ったサッチャーだったが、任期の終盤には人頭税(community charge)の導入を提唱してイギリス国民の強い反発を受け、また欧州統合に懐疑的な姿勢を示したために財界からもイギリスが欧州統合に乗り遅れる懸念を表明する声が上がり、'90党首選で1回目の投票で過半数を獲得したものの、2位との得票数の差が15%以上に達せず、規定により第2回投票が行われることとなったために求心力がさらに低下し、'90.11.22英国首相、保守党党首を辞職する意向を表明した。'92貴族院議員を務める。2008長女のキャロルが、サッチャー認知症が進み、夫が死亡したことも忘れるほど記憶力が減退していることを明かし、2008年8月24日付の英紙『メール・オン・サンデー』が詳報を掲載した。それによると、'00頃発症し、最近は首相時代の出来事でさえも「詳細を思い出せなくなってきた」としている。(wikipediaより引用)

 「鉄の女」の自伝後編はハンガリー訪問から首相退陣まで。フォークランド紛争の勝利により圧倒的な国内世論の支持を手にし向かうところ敵なしの時代なので、前巻に増して唯我独尊な実にアングロサクソンチックな傲岸たる自信に満ちた筆致の自伝となっています。核廃絶断固反対、ECへの懐疑、フランス革命の歴史的意義の否定、ドイツ統一への横槍などの、進歩主義的言辞に慣れきった我らには禁句以外の何物でもない聖域にずけずけと踏み込む実にマッチョな発言の数々は「そこに痺れる憧れる〜」としかいいようがありません。ってゆーか、どれだけ自分が知らず知らずと「左傾化」してしまっていたかを気づかせてくれます。
 とまあ、進歩主義者の方が読んだら発狂モノの一冊ですが、取り上げられている内容は、国有企業民営化の問題、増大し続ける社会保障費への対応、地域間の経済連携の強化の是非etcと現在日本が正に直面している課題との共通点も多く、実用書としても十分使用に堪えます。正直上手いとはいえない翻訳とバカみたいな分量に耐えて読むだけの価値はあるんではないでしょうか。

Iron Maiden can't be bought Iron Maiden can't be sought

 小泉時代は遂にわが国にもサッチャーが。と欣喜雀躍してみたものですが、その喜びも束の間、終わって見れば本家イギリスと同じように腹の据わらぬ保守陣営が左派勢力に政権明け渡しと実に似た道を辿っております。ただ一つ違うのは小泉に十年の時は与えられず数々の改革も実に中途半端に終わってしまっているところ。日本病に苦しむ我ら大和民族にジョンブルの如き底力は備わっておりますでしょうか。

Iron Maiden

Iron Maiden

帰ってきた今日の一行知識

ベルリンの壁の破片にはアスベストが満載

アスベストの危険性が認識される前の前世紀には結構人気の土産物でしたね。今は扱いどうなってんのかしらん。

*1:反撃が殆どできなくなるので爽快感にとっても欠けます

*2:Friedrich August von Hayek。代表作:『隷従への道〜全体主義と自由』、『自由の条件』、『貨幣と景気変動』他。

*3:Sir Edward Richard George Heath。イギリス第68代首相。士爵。スエズ危機への対応やEEC加盟交渉で頭角を顕し、保守党々首に就任。首相就任後は中国訪問やEC加入などの功績を挙げるも、北アイルランド問題や炭鉱労働者のストライキなどによる総選挙での敗北により退陣。

*4:Milton Friedman。代表作:『資本主義と自由』、『A Monetary History of the United States, 1867-1960』、『消費の経済理論』他。

*5:領土とは国家そのものであり、その国家なくしては国民の生命・財産の存在する根拠が失われるという意