脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『小説早稲田大学〜永田町の"都の西北"』

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誰でも簡単に思いつきそうで誰も思いつかなかったコロンブス的な思考の柔軟性と、人生を棒に振るリスクと厳重な警戒態勢を犯してそれを為した決断力と実行力。彼こそ誰よりも京大で磨かれるべき人材ではないでしょうか。


 東京での新居も決定。23区内で洋室6畳ロフト付で5万5千円の多分破格の物件なのですが、本棚の配置を考えると、ロフトを寝床にせざるを得ないことに。絶対いつか落ちる。

すぐりし精鋭斗志は燃えて理想の王座を占むる者われ等

 竹下に始まってで森まで僅か15年で竹下・海部・河野・小渕・森と5人の自民党総裁を輩出した名門早稲田大学雄弁会。その多士済々な梁山泊の姿に迫る。


 竹下戴冠目前の稲門会の全盛期に書かれた本だけあって、登場人物も豪華な面々が勢揃いです。上記の自民党総裁クィンテットを筆頭に渡部・藤波・深谷・玉沢etcとビッグネームがずらり。特に目立っているのは「海部の前に海部なし、海部の後に海部なし」の天才ディベーター海部俊樹ズーズー弁の破天荒男渡部恒三辺り。あと後知恵で見ると藤波孝生が誰よりも清廉潔白な不正汚職を忌む男に描かれているのが哀れを誘います。
 そんな一癖も二癖もある連中が織り成す栴檀は双葉より芳しのドロドロの雄弁会幹事長選の暗闘に、青雲の志に燃えるそれぞれの徒手空拳での初陣。非常に良質なエピソード揃いで良質な群像劇となっていますがが、時系列はぐちゃぐちゃ各人ごとの主題もばらばらと、一篇の物語と考えると落第点。大人しく新聞の読み捨て政治コラムを読む気持ちでいるのがいいのではないでしょうか。

青春の時望む栄光

 一時は同時期の日本第一党の党首の過半を占める*1に至った雄弁会の栄光も今は昔。民主党ご意見番渡部氏が一人気を吐いているくらいでしょうか。誠諸行無常の断りは覆しがたいものがあります。しかし、多分に美化されているとは言え、自慢の弁舌一本で政界への扉を開く彼等の姿には非常に胸打たれるものがあります。どぶ板だ団体対策だの不毛な選挙活動がまかり通ることこそが今の政治の低迷の根源ではないでしょうか。われわれも知人の紹介だのポスターや街宣車だので知った顔と名前に短絡的に投票するのをやめて、政策と弁舌の優れた有為の人材を択ぶようにしましょう。それこそが真の政治改革への第一歩です。その為にも、うちの大将も小泉親子ほどとは高望みはしないので、せめて親分の前原位には喋れるようになってもらいたいなあ。

東京六大学の歌

東京六大学の歌

帰ってきた今日の一行知識

海部俊樹は第29回総選挙で29歳で初当選して29年後に首相になった
本書当時の海部はポストニューリーダーで21世紀初頭に総理を目指すと謙遜していましたが、リクルート事件で戴冠が10年早まり、当選当初の念願が叶った形になりました。人間言うだけ言ってみるもんですね。

*1:竹下〜森間で非雄弁会出身の自民党総裁は宇野・宮澤・橋本のみ