脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『梁山泊〜水滸伝・108人の豪傑たち』

2chスポーツニュースナビ 【テレビ】NHK・日向英実総局長、大河ドラマ『江』の評判に手応え 「史実とあまりにも違う」の質問に「ドラマですからね」と苦笑い
史実と違うなんて野暮なことは言いたかありませんがせめて年齢あわす努力の片鱗くらい見せて欲しいものです。

 
 東京訪問中。履歴書も提出してようやく内定、5月1日から東京は江戸川の住人になることが確定いたしました。10代までは広島、20代は京都、そして30代は東京で暮らすことになりそうです。・・・ここが安住の地になるんでしょうか。10年後には少しくらい落ち着いていたいなあ。

梁山泊―水滸伝・108人の豪傑たち (中公新書)

梁山泊―水滸伝・108人の豪傑たち (中公新書)

夢に傷つく時こそ人は強くなれるから

水滸伝
 明代の長編口語小説。羅本*1の作。
 北宋徽宗*2の頃、山東梁山泊に拠って官軍に反抗した宋江*3以下108人の豪傑物語である。宋江ら36人が党を組んで反乱したことは『宋史』に見える史実であり、『宣和遺事』で一応の纏まりを示した。彼等の遊侠行為が抑圧された民衆の心を慰め、南宋以来、この史実を母体とする断片的な英雄物語が民間に発生して、講談や演劇に発展した。それが時代と共に集積し、36人がいつか108人に増え、今見るような形に膨らんだのであるが、それが小説として定着したのは明の中頃かと推定される。最初の集成者は施耐庵*4で、これを羅本が補ったといわれる。緊迫した写実力とスリルに富む事件の配置によって読者を惹きつけると共に、筆端に迸る官僚政治への憎しみが弱い庶民の共感を呼び、以後長らく小説の王者として愛読され、新中国に於いても民族の文学遺産として高く評価されている。テキストは数種あり、最も普及しているのは、金聖嘆*5刪改の70回本、他に楊定見*6の増補した120回本があるが、現存最古のものは、李卓吾*7批点の100回本である。日本には早く江戸時代に岡嶋冠山*8・高井蘭山*9による2種の訳本があって読本の上に大なる影響を与えた。(『新編 東洋史辞典』より引用)

 西遊記三国志と並ぶ中国の誇る娯楽小説水滸伝の解説本。現在中国で主流となっている70回本ではなく増補の120回本にこそ水滸伝の伝えたかったテーマが内包されているとし、『大宋宣和遺事』との関連性を軸に成立年代等に大胆な考察を加えているのですが、如何せん私が水滸伝に関する知識がほぼゼロというのも手伝ってちと判定に苦しみます。もう少しスタンダードな入門書を期待してたんだけどなあ。
 とまあ、原本はおろか横山光輝版すら読んでない私にとっては、水滸伝=今川版ジャイアントロボの出演者の皆さんの故郷程度の認識しかありません。なので、神行太保戴宗とかうっかり呉先生とか、黒旋風、青面獣の楊志、そして混世魔王樊瑞がでてきたりするシーンには非常に燃えました。まあ、うっかり衝撃のアルベルトや素晴らしきヒィッツカラルドとかを探してしまったのはご愛嬌ということで。
 結論:原本読まずに概説書で済まそうって横着はそろそろ慎もう。

いつか描いた未来はときに残酷に背を向けるけど

 反逆の英傑たちの集いし梁山泊。しかし、飽くまでその反抗心は宋という権力機構を前提とした限定的なものにとどまり、革命の烽火には至らなかったというのが、水滸伝の108星の現代的評価でしょうか。日本の時代劇においてもそれは変わらず、幕府という統治システム内部での矛盾や腐敗への対処療法にとどまっています。大衆にとっては、身近なところの世直しは望むけれどもドラスティックな価値観の崩壊と再構成なんてやってられるかというのが本音なのでしょう。数多の理想に燃える革命闘士たちの挫折の原因も案外そこにある気がします。

Tears in the Sky

Tears in the Sky

帰ってきた今日の一行知識

中国における武人の本場は関西
日本とは逆なんですね。遊牧騎馬民族の本場中央アジアとの最前線となるので、否が応でも精強無比な武士が量産されるようです。言われてみれば、三国志でも董卓呂布馬超あたりの規格外の方々は関西の人でした。

*1:字は貫中。山西太原の人。代表作:『三国志演義』・『三遂平妖伝』・『残唐五代史演義』(編者)他。

*2:北宋8代皇帝。諱は佶。父神宗。兄の死により端王より即位。政治は蔡京らに委ね、文芸に耽溺、風流天子と呼ばれた。燕雲十六州の帰属をめぐって金と対立、靖康の変を招き抑留先で客死。

*3:黄河流域で二度に亙って蜂起、江蘇一帯に覇を唱えるも敗北。その活躍は後世水滸伝の主人公に擬せられた。

*4:銭塘の人。代表作:『水滸伝』(原案)他。

*5:人瑞。江蘇省呉県の人。代表作:『西廂記』(評改)他。

*6:代表作:『新刊京本全像挿増忠義水滸伝』他。

*7:載贄。福建省泉州府晋江の人。旧姓:林。地方官を歴任後、陽明学左派の学者として著述に活躍。代表作:『焚書』、『蔵書』、『李氏文書』他。

*8:明敬。唐通士会所下級通士。優れた語学力を活かし各地で唐通士として活動後、荻生徂徠主宰の通訳社の講師として活躍した。代表作:『唐話纂要』他。

*9:伴寛。代表作:『和漢朗詠国字抄』、『絵本三国妖婦伝』、『星月夜顕晦録』他。