http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51237899.html
早口言葉?
さらば愛しき我が家!現在引越しブルー真っ只中です。
- 作者: 大石慎三郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1974/04/22
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
描いた未来の場所へ見えない翼拡げはばたいて行こう
大岡忠相
延宝五(1677)〜宝暦元(1751)年。江戸中期の幕政家。大岡忠高*1の子、忠真*2の養子。
1700寄合となり、'12伊勢の山田奉行に進む。山田奉行在任中の実績により、藩主徳川吉宗*3の将軍就任に伴い'17町奉行となる。従来、山田の民衆は松坂との訴訟で松坂が紀州藩領である為その訴訟の結果が不利であったのに、忠相がその様な圧力にも屈せず山田を有利に裁くなど公正な裁判が吉宗の記憶に残ったからといわれる。町奉行就任後は越前守の称をうけ、公正な裁判と優れた市政で名奉行といわれるようになる。'36寺社奉行となり'48三河国西大平の地に一万石を与えられ大名となる。世に謂われる「大岡政談」は中国の小説の焼き直しであったり他の奉行の裁判を混ぜたものであったりして、彼の事績という根拠は薄い。寧ろ享保の改革政治進行の過程で、江戸市場を対象とする経済政策に積極的に取り組み、なかでも'24札差株仲間の取り締まりなどをはじめ物価問題などの一連の経済改革を遂行した。(『コンサイス日本人名事典 改訂版』より引用)
遠山の金さんや水戸黄門に上司の暴れん坊将軍と並ぶ時代劇四天王の一人のはずですが、最近なんだか影の薄い気のする大岡越前。その彼の事蹟として名高い各種大岡政談のネタ元分析や実際の判例との差異などを詳しく分析した本。こういった「有名人」の歴史公証系の本にありがちなことですが、一般受けを狙って迎合しようという下心と、飽く迄学術書としての体裁を崩すまいとするプライドとの相克が見ていてほほえましいです。まあその分読みやすさは完全ケンチャナヨですが。
内容自体は享保の改革期の裁判の実例や民政を丁寧に紹介した良本なのですが、法律書の常で読み物としては退屈。大岡政談の分析パートも読み手が大岡越前のドラマや大衆小説の一本は基礎教養として持っていることを前提で書かれているので、私のように時代劇や歴史小説に興味のない人間にはちと敷居が高いものとなっています。大岡越前の大ファンでかつ時代考証にも興味があるという奇特な人はどうぞ。
いつかじゃなく誰かじゃなく今この胸に誓うよ
英雄偶像が生み出される背景には庶民の抑圧された不満がある。というのは文化学の基礎ですが、大岡越前を必要とした江戸中期と逆転裁判やHEROの流行る現代を重ね合わせるのは乱暴でしょうか。手続きが煩雑を極め、形骸化した法理論は完全に机上の空論と成り果てる。一度決めてしまった時代遅れの法律を変えることすらできず自縄自縛に陥るのは日本人の悪い癖です。早く司法が法律屋の専売を離れ、我々庶民に身近なものとなりますように。とは言っても、もうすぐ施行の裁判員制なんてのは愚の骨頂ですよ。わかってますか、政治屋さん?
Melty Lancer ED - YouTube