脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

「マリみて」2年生1学期編

http://atok.com/test/
75点。今度は好成績でした。ただ間違ってるの殆ど敬語関連ってのは我ながらやばいんでないかと。


 帰省した際に、妹に見つかって「これはない」だの「キモい」だの散々な言われようだった「マリみて」ですが、めげずにレビューを続けます。世評に惑わされるほど私の濫読は甘くない!!

チェリーブロッサム

銀杏の中の桜

もっと気軽に考えちゃいけないのかなぁ」by二条乃梨子

 ひょんなことで第一志望を逃しリリアン女学園に入学することとなった仏像愛好家の少女二条乃梨子。「逆隠れキリシタン」として肩身の狭い学園生活を送る彼女の前に現れた「マリア様」。


 プロトタイプ「マリみて」。読みきり版として無印『マリア様がみてる』より先に公開されたこの作品。今から読み直すと文体・キャラの性格に阻隔を感じますが、そんなことは問題なく綺麗なお話です。連載化の英断が下された理由が良く分かります。にしても、志摩子の思春期の少女らしい視野狭窄ぶりは非常に微笑ましいです。実家が寺なのにカトリック系の学校に通ってる。それがばれたら学校辞めて皆の前から姿を消さなくてはならない。なんと悲愴で滑稽な決意なのでしょうか。知り合いの腐れ坊主&神官に聞かせてやりたいものです。

BGN

まー、あの方らしく無責任でいらっしゃること。問題を先送りにして、私たちに押しつけて。」by小笠原祥子

 志摩子がおかしい。最愛の聖さまを失って落ち込むべき彼女が不思議と元気だ。彼女が落ち込んでいるところにつけ込んで、実家が寺の事実をカミングアウトさせようと企んでいた紅・黄両薔薇さまは肩透かし。そこに祥子の又従姉妹の松平瞳子二条乃梨子の存在を通報して…。


 「銀杏の中の桜」の裏側を「薔薇の館」視点で描写した楽屋落ち的作品。乃梨子視点では完全に「悪役」だった両薔薇さま瞳子の正当化に必死です。数年の連載を経て円熟味を増した今野氏の文章が堪能できる一編。

レイニーブルー

マリア様がみてる 10 レイニーブルー (コバルト文庫)

マリア様がみてる 10 レイニーブルー (コバルト文庫)

ロザリオの滴

でも世界は二人だけで構成されているわけじゃないよ。」by二条乃梨子

 5月のマリア祭での小芝居で全校公認の仲となった志摩子乃梨子。しかし、志摩子は梅雨に入った今でも乃梨子にロザリオを渡しておらず…。


 白薔薇さん家関連のお話はどれも透明感があって綺麗だなぁ、っと。今にも脆く崩れてしまいそうなガラス細工のような儚さが漂う一作。しかし、相変わらず、志摩子視野狭窄というかどうでもいいことを一人で悩んで勝手にドツボに嵌りこむ悪癖はどうにかならんモンでしょうか。喰う・寝る・女、後たまに立身出世の事にしか、メモリーを割かない我々男性陣からすると、女の子のこういった無駄な繊細さが羨ましくもあり疎ましくもあり。

黄薔薇注意報

きっとこれから晴れるのよ。」by島津由乃

 由乃が剣道部入部!?それに断乎反対する支倉令と意地でも譲らない由乃の仲は段々険悪になって…。黄薔薇革命喜劇悲劇再びか!?


 一方の黄薔薇さん家はシリアスがホント似合わないなぁ。

レイニーブルー

いいのよ、これは私のお節介なんだから。祐巳さんには、作り物の笑顔なんかさせたくないだけ。」by築山三奈子

 楽しみにしてた祥子お姉さまとの遊園地デート。それなのにお姉さまはドタキャンした上、新参者の瞳子といちゃつくばかり。自分は本当に紅薔薇のつぼみにふさわしいのだろうか。答えの出るはずのない疑問の迷宮にはまり込んだ祐巳の感情が遂に爆発して…


 久しぶりに祐巳が主人公らしい煩悶の日々を迎えます。いわゆる鬱展開全開で心が弱ってる時に読むとこっちまでやられてしまいそうです。しかし、女性作家はイジメモードに入ると容赦がないなぁ。

パラソルをさして

つぼみじゃなくても、私は祐巳さんのこと大好きだからね。」by島津由乃

 すれ違い離れ離れになった姉妹の絆。傷つき打ちひしがれた祐巳に差し伸べられた救いの手。それは前白薔薇さま佐藤聖のものだった。すいません。聖様。もう一度だけその胸を貸してください。


 解決編。正直あんだけ盛り上げて煽った姉妹の危機の解決編がこんなにだらだらした成り行き任せの済し崩しでいいのかと作者を問い詰めたくはなりますが、それさえ我慢すれば、祐巳の心情が非常に丁寧に描かれた佳作です。再登場の先代薔薇さま方(除鳥居江利子)も凛々しくカッコいいですしね。

子羊たちの休暇

マリア様がみてる 12 子羊たちの休暇 (コバルト文庫)

マリア様がみてる 12 子羊たちの休暇 (コバルト文庫)

やっぱり、お姉さまと一緒の方がいいです。」by福沢祐巳

 反故にしてしまった遊園地デートのお詫びにと祐巳を軽井沢の別荘での避暑に誘った祥子さま。しかし、そこに待ち受けるのは、ぽっと出で小笠原ファミリーを果たした「庶民」*1福沢祐巳への嫉妬の渦だった。


 夏休み。やまなしおちなし意味なしのだらだらしたお話。肩の力を抜いて読めます。お貴族様の世俗を超越した優雅な休暇に憧れなくはないですが、別荘に呼ぶだけ呼んどいて、外出もろくにせず、イベントも皆無。って喧嘩売ってるとしか思えんような。

真夏の一ページ

「略してOK大作戦(仮)」

真正のお姫様である祥子さまを一目拝みたい、とか。可憐な志摩子さんとお近づきになりたい、とか。宝塚のトップスターばりの令さまに竹刀で叩かれてみたい、とか。」by福沢祐巳

 リリアンの姉妹校山寺の学園祭には山百合会の幹部がゲスト参加するのが恒例。しかし今年の紅薔薇さま小笠原祥子は大の男嫌い。そこで、祐巳は山寺の生徒会に所属する弟祐麒ととある作戦を練って…。


 少女百合小説の代名詞たる本作には珍しく男どもが大挙出演します。となれば同族に肩入れしてしまうのは男のサガ。さあ彼等山寺生徒会は文化祭顔合わせの名を借りた合コンにありつくことは出来るのでしょうか。

「おじいさんと一緒」

『独占スクープ!彼が、白薔薇さまの恋人だ!』」by築山三奈子

 白薔薇のつぼみの身辺が怪しい。何処からともなく乃梨子の周辺に漂う「男」の臭いを嗅ぎ付けた新聞部部長山口真美。彼女はジャーナリズムの崇高な使命に背中を押され、白薔薇一家のデートを尾行する!!


 乃梨子の「彼氏」タクヤ君の正体が肝の一編。これでもかというミスリードの嵐に頭が下がります。その分、ネタバレした状態で読むに耐えるクオリティとは到底言いがたいので、情報シャットダウンして、根性いれてこのミステリーに挑戦してみてください。

黄薔薇☆絵日記」

ショックだったのはよーくわかるけどね。でも、日記にきれいごとばかり書いてて空しくない?」by島津由乃

 令の日記。


 大ボケ令ちゃんとそれに対する由乃のシュートなツッコミが冴えるショートショート。相変わらず黄薔薇姉妹はイロモノ街道一直線です。

私ならば間違わずにあなたのこと見つけられる

 執筆開始から脱稿までジャスト1時間。新記録更新です。やれば出来る子頑張る子。てなわけで、いつもに増しての乱筆乱文気味ですが、ご容赦下さい。次回(って言ってもいつになるかは分かりませんが)更新では遂に波乱の二学期に突入。可南子も登場して祐巳の妹レースは益々熾烈に。刮目して待て!!

今日の一行知識

時間がないので省略。


Chercher ~シャルシェ~ (通常盤)

Chercher ~シャルシェ~ (通常盤)

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*1:福沢家は家格こそないものの、父親は設計事務所を開く一国一城の主で、兄弟揃って幼稚園から一貫の名門私立に通わせれる程の名家です。因みに母親もリリアン出身。何処が庶民だ。