脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『新・自民党戦国史』

http://www.daily.co.jp/baseball/2006/11/23/0000174434.shtml
「(体重が107㎏→100㎏に減って)4㎏脂肪が落ちて、3㎏筋力になった」せんせえ、けえさんがあいません。

 
 最近またサボり癖が出だしました。いかんいかん。

新・自民党戦国史

新・自民党戦国史

ありふれた優しさは君を遠ざけるばかり

 大平死す。これにより三角大福の危ういバランスは脆くも崩れ、日本の政局は田中一極支配の構図に。ロッキード判決を目前に自身の保身と権力維持を図る亡者角栄と、田中の犬と呼ばれながらも絶妙な政治感覚でその操縦から逃れんとする中曽根の戦い。'80年代前半の自民党が最も自民党らしかった時代の密室の権力闘争を、池田・大平の懐刀として自民党を知り尽くした男伊藤昌哉が描く。小泉がああまでもして倒したかったものの正体がここに!


 柳の下の泥鰌二匹目。前作の好評に味をしめた作者が前回の続きを本に。大平急死直後の鈴木擁立の経緯から田中のロッキード第一審判決直前までの田中院政全盛期を取り上げています。主役のひとりだった前回とは違い、完全な傍観者の立場からの解説なので、内容は薄いですが、その分分かりやすい説明がされているので、当時を知らない我々の世代でも引っかからずに読めるのではないでしょうか。逆に言えば前巻のような史料的価値はほぼ皆無なわけですが。'80年代前半の日本政治史の教科書にどうぞ。

冷たく切り捨てた心はさまようばかり

 備忘録代わりの政変時概要

大平正芳鈴木善幸

 '80年ハプニング解散による衆参同日選挙中に心筋梗塞で大平が急死。弔い合戦を掲げた自民党が大勝利。ロッキード判決に向けて地盤を磐石にしたい田中が策動し、宏池会の後継者に親田中の鈴木善幸を擁立。大平は病死なのだから、同会派内での継承が妥当と言う論理で、「ニューリーダー」の中曽根・宮澤を駆逐。

鈴木善幸中曽根康弘

 「侵略→進出」書き替え騒動や財政危機により、鈴木失脚。完全に自民党主流派を掌握した田中、治天の君は無理でもせめて法皇の座は守りたい鈴木、無理する気はないが色気もたっぷりの福田、愛する娘婿安倍命の岸の四者四様の思惑が渦巻く風雲急。まず脱落したのは鈴木、中曽根への禅譲で影響力の保持を図るも田中の一喝で挫折。ついで反主流派同盟(福田・河本・中川派)による中曽根・福田での総理総裁分離論が出るも、強気の中曽根に蹴られ結局予備選に突入。中曽根康弘(田中・鈴木・三木・中曽根派支持)が河本敏夫(河本派)・安倍晋太郎(福田派)・中川一郎(中川G)を各個撃破し決着。
 

心はどこにいる? どこに吹かれている? その瞳が迷わぬように

 まとめ代わりの個人的鈴木・中曽根評。
 鈴木善幸は最近で言うと森喜朗が近いでしょうか。先代の急死で思わぬ実力の伴わぬ政権が転がり込んできたラッキーマン。失言の嵐で何も政策議論もできないまま引き摺り下ろされたのも一緒。本人の失言がない分鈴木のがまだましでしょうか。
 一方の中曽根は田中曽根とまで揶揄されるほどの傀儡政権の割りに、強烈な個性と能力で田中支配下でもある程度の自立行動を保てた化物。政治理念や信念はかなりいい加減ですが、戦後政治家の中でもかなり有能な部類に入るのではないでしょうか。つくづく、後継者育成に失敗*1し晩節を穢したのが惜しまれます。

今日の一行知識

ロシア(ソ連)の国家元首はハゲ→ふさふさ→ハゲ・・・の法則がある。*2
ロシア関連企業の皆さん。フサフサな政治家とは仲良くしておきましょう。

*1:渡辺美智雄山崎拓・江崎隆美あたりが後継者

*2:スターリン(フサフサ)→フルシチョフ(ハゲ)→ブレジネフ(フサフサ)→アンドロポフ(ハゲ)→チェルネンコ(フサフサ)→ゴルバチョフ(ハゲ)→エリツィン(フサフサ)→プーチン(ハゲ)