脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

日露戦争について(承前)

聖少女領域 - 脱積読宣言
続き。

 我らがカープが憎き阪神の優勝を阻むべくその身を挺して中日のマジックを減らしたので、安心して続きを書けます。ふんだ。

奪う覚悟があるのなら

[歴史]日露戦争

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日露戦争
 1904年2月勃発した韓国・満州の支配をめぐるロシアとの戦争。日清戦争後、ロシアは三国干渉により日本が割譲した遼東半島を清国に返還させるとともに韓国・清国に進出し、1898年には大連・旅順の租借権、東支鉄道の敷設権等を得、さらに1900年の義和団事件後は満州に大軍を駐留させ続けた。これに対し日本は02年日英同盟を締結し、ロシアと満韓交換論を基礎とした交渉を行うが不調で、ついに開戦に至った。日本は04.2.8旅順外港でロシア艦隊を攻撃して戦端を開き、2.10宣戦布告。陸軍は韓国内を北上して鴨緑江を渡った第一軍、大連北方に上陸した第二軍、新編成の第四軍で9月遼陽を占領し、第三軍が05年1月旅順を攻略。3月全4軍の総攻撃で奉天を占領し(奉天会戦)、5月には日本海海戦バルチック艦隊を破って戦局を優勢にした。しかしこの段階で財政上の限界から、ロシアは革命激化から講和へと動き、米大統領の斡旋で9.5ポーツマス講和条約を締結した。この戦争で日本は韓国の植民地化を進め、遼東半島租借権、東支鉄道南部支線(満鉄)等の権益を手に入れて満州に進出、帝国主義国の地位を確立した。国内では賠償金のない講和に怒った民衆により日比谷焼打事件などが起こり、民衆の政治的台頭をもたらした。(『岩波日本史辞典』より引用)

 まずは開戦前の列強各国の思惑

  • イギリス・・・ロシアの極東進出断固阻止。新政府とは薩長同盟時代からの蜜月関係。万一日本がロシアを極東から駆逐してくれたらラッキー。駄目でも牽制にはなるか。
  • アメリカ・・・西進政策によりハワイを併合。フィリピンを植民地化。次の獲物として清国の蚕食を狙うも他列国に比べて出遅れは否めず。同じ出遅れ組として以前から友好関係にある日本を極東進出のパートナーに選ぶ。
  • フランス・・・敵(ドイツ)の敵は味方の理屈で親ロシア。かてて加えて、幕府軍の後援をしていた関係で新政府とは犬猿の仲。
  • ドイツ・・・極東が騒がしくなれば必然的にロシアの東欧への圧力が弱まるので好都合。
  • イタリア・・・フランス・ドイツ・ロシアのどれとも仲が悪い上、出遅れ組みの誼もあってか、不思議と親日。三国干渉の際も唯一日本の味方をしてくれた国。

 まとめると、ドイツ・イタリアが静観。イギリス・アメリカが消極的日本支援。フランスが消極的ロシア支援。といった状況でしょうか。こんな状況の中、日本は伊藤博文井上馨・明治帝を中心とした対露宥和派*1が満韓交換論を軸にロシアとの交渉を進めますが、日本をみくびるロシアは韓国の中立化を強硬に主張*2し、遂に交渉は破談します。

 実際の戦闘は面倒くさいすでに語りつくされているので省略して、戦後の状況を。
 この敗戦によりロシアは満州・韓国の権益は愚か、千島海峡の安全すら失い、完全に極東進出の橋頭堡を失いました*3。結果極東の覇権争いは事実上日本とアメリカとの一騎打ち*4の様相を呈し始めます。この時点では、日本にはアメリカと協調しての大陸進出という選択肢もありましたが、アメリカから満州の共同経営の提案をにべもなく断ってしまった為、開国以来の友好関係はあっさり瓦解し、太平洋戦争まで続く不倶戴天の敵へと変貌を遂げてしまいました。

どうすれば醜いものが 蔓延ったこの世界 汚れずに羽搏いて行けるのか

 この世紀の主役だった日本・ソ連アメリカの三国の勃興*5に大きく関わる日露戦争は混沌と混乱の20世紀の始まりを飾るにふさわしい戦争であったといえるのではないでしょうか。
 史上最強の前評判のバルチックの巨人の軍があえなく敗れ、19世紀を覆い尽くしたヨーロッパ中心の聖なる少女住まうが如き耽美なる世界は終焉を迎え、黄色人種と資本主義者と共産主義者の跋扈する野蛮な世紀が幕を開けました。日本・ソ連を下し世界の覇者となったアメリカの「敗北」で始まった21世紀はいかなる時代となるのでしょうか。その結末を見届けることの出来る位の長生きをしたいものです。

今日の一行知識

天空の城で有名な「ラピュタ」は日本語訳すると「淫売」
碌でもない女に引っかかってうつつを抜かしてる大馬鹿野郎がいるってんで、この名が賜れたそうです。オサレなお店を開店予定の皆さん、くれぐれもネーミングには細心のご注意を。

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*1:因みに日英同盟推進対露強硬派の代表は山県有朋桂太郎小村寿太郎

*2:ロシアとしては漸く手に入れた念願の不凍港ウラジオストクと太平洋を繋ぐ通路対馬海峡の安全確保が目的。もし日露戦争に敗戦もしくは妥協していた場合、対馬及び北海道は今頃日本領土ではなくなっていたでしょう。

*3:それ以前に革命の進展でそれどころじゃなくなってますが

*4:欧州勢は社会主義革命粉砕と第一次大戦の疲弊で完全に脱落。

*5:アメリカの本格的な躍進の契機は第一次世界大戦以降