グラップラー刃牙 (42) (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 板垣恵介
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 1999/09/01
- メディア: コミック
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眩いざわめき街路を彷徨う
「地上で二番目に弱くてもいい。ただ親父より強くなれるなら」そう思い戦い続ける少年範馬刃牙。いつの日かその力は父「地上最強の生物」範馬勇次郎に届くのか!?
死刑囚編の途中、ドリアンが暴れているあたりまでは、文句なしに最高の格闘マンガでした。最近の惨状は見るに耐えませんが。
この作品の魅力は偏にキャラの強さ・個性の見せ方の上手さにあるでしょう。数多のパクリ・オマージュを生み出した最強トーナメント編の「全選手入場!!!」シーンに代表される、一話、挙句には一コマでその魅力をプレゼンし尽くす技術においては、天下無双の称号すら過大評価ではなかったでしょう。過去形なのが悲しいですが。他にも、中毒性の高い言語センスや視界の歪みを用いたダメージ表現の説得力など、全盛期*1においては、歴史に残るかの輝きを放っていました。慢心かマンネリかは知りませんが、ここ数年急速に劣化していく姿が忍びない漫画家の一人です。
光と影と重なる場所へ今
未読者置いてけぼりのベストバウト×4。あなたのオススメも教えてほしーな。
範馬刃牙VS夜叉猿
超オス対決。
少年期編で一つ上げるなら、これ以外ないでしょう。ライバルに破れ絶望感を味わった主人公が選んだ修行シーンで、これほど説得力のある話もありませんでした。そりゃあんだけやりゃあ強くもなるわ。
愚地克己VS花山薫
武対暴力
近代空手を完成させた男と最強の素人のガチンコ対決。この話は完全に克己目線で書かれており、花山は一言も発さずこちらの奥義を全て受けきる化物として造形されています。それがえも言われぬ不気味さを醸し出していて、格闘モノというよりホラーに近い雰囲気になっています。お陰でこの試合以降完全な否定されるべき敵役だったはずの克己が、「こっち側」の人間になってしまったのはご愛嬌です。
猪狩寛至VSマウント斗羽
プロレス最大のタブー。猪木馬場もし闘わば。
作者が心の底からプロレス大好きなんだなー。ってのがよく伝わる一戦です。「魅せるプロレス」のカッコよさをこれ以上雄弁に語ることの出来る創作は他にないでしょう。
I'll Never Give up in Changing the World
痛いのも苦しいのも大嫌いで、「運動は体の毒」と信じて止まない、骨の髄からの文系人間な私ですが、それでもやはり、「最強」の言葉には血が滾ります。八百長だ、黒い交際だと悪い噂の絶えない格闘業界ですが、是非我々に夢を提供し続けて欲しいものです。そして出来るならばいつの日か、ノールールの最強トーナメントを!!
今日の一行知識
徳川家康は自分の手で一人も傷つけたことがないのが生涯の自慢だった
偽善の極みというか、なんと言うか。同和差別の根源をよくあらわしているような気がします。
- アーティスト: 青柳涼子,Project BAKI
- 出版社/メーカー: Fire Wall Division
- 発売日: 2001/02/28
- メディア: CD
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*1:個人的には30巻前後の最強トーナメントの二回戦から準々決勝のあたりがお気に入りです。