脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

『猟奇の社怪史』

史上最年少の殺人者 : 少年犯罪データベースドア
子供は純粋。純粋に残酷。


 風邪ひいて、咽喉が痛くて、興が乗らなくて放置してますた。楽しみにしてくれてた人ごめんちゃい。

猟奇の社怪史

猟奇の社怪史

忘れられた過去

 猟奇のキライな人間なんていません!!(AA略)世間が平和で、命の危険を感じなくなった清潔な時代だからこそ、狂気に満ちた猟奇殺人が世の善男善女の耳目を集めるのです。人のサガに目を瞑るより、直視し分析すべきでしょう。この本はそれに最適じゃないでしょうか。少なくとも、綺麗事しか言わない文化人様や「言葉は凶器」のジャーナリスト宣言主よりは、世の真理に近づいているはずです。


 唐沢俊一の新作。さしもの鬼才も歳には勝てぬか、往時の軽みや切れ味に乏しい、べた足で地びたを這いずる様な、不満の残る出来*1です。とは言え、コンビニや網棚に転がる、真相激白系の雑誌モドキに比べれば、レベルの違いは明らかです。猟奇系事件の読み物としてはこれ以上を望むべくもないのかもしれません。


 さて、この記事を書いてる現在も、ニュース(もどき)番組で、秋田の米山豪憲*2君殺害事件が面白可笑しく報じられています。村上ファンドシンドラー社の関係者や社会保険庁は、笑いが止まらないでしょう。今も昔も、人の不幸と火の粉の飛んで来ない程度の揉め事ほど面白いものはありません。
 てなわけで、当書に記載の過去の猟奇事件をいくつか振り返ってみませう。「近年の凶悪犯罪とか少年犯罪の増加傾向の誤謬とトリック」なんてネタはググれば死ぬほど出てくるのでほっとくにしても、つくづく思うのは、犯罪の傾向手口の進化のなさです。いやむしろ退化というべきでしょうか。「千人切り」の悲願を立てた少女誘拐魔樋口芳男*3とか、稀代の詐欺師「光クラブ」の山崎晃嗣*4と、世が世なら歌舞伎の主役で見得を切ってても可笑しくなさそうなタレント揃いで、文筆家の真似事をする身としては、涎がでそうなラインナップです。それに比べて昨今の犯罪者どもは、手口は拙劣、動機も短絡的で哲学のかけらも感じられない輩が多すぎます。世の犯罪者予備軍には、切磋琢磨の果てに小説の題材になるような誰もが惚れる大悪党を目指して欲しいものです。誰がなんと言おうと、アウトローこそが英雄の要件を満たしうるのですから。

黄金の秋

 まあなんと言おうと、猟奇事件が話題になり、問題になるうちは、日本は平和なのでしょう。笑い話に出来る程度には他人事なのですから。
 いつの日か、双葉山長嶋茂雄キング・カズが忘れさられようとも、酒鬼薔薇聖斗宅間守は、下卑た興味の対象として、英雄であり続けるでしょう。そのような時代が続くことを心から願います。私の貧弱な想像力では、池田大作金正日のような聖人君子が英雄と呼ばれる世界以上のディストピアは思いつきませんから。

今日の一行知識

太平洋戦争開戦時、真珠湾奇襲速報のBGMに「星条旗よ永遠なれ」を流した放送局がある*5 
始末書じゃ済んでないだろうなあ。

∀ガンダム 1 [DVD]

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*1:挿絵がべギラマ氏なのもそれを助長します。唐沢俊一の挿絵は弟の唐沢なをき氏か、百歩譲って、嫁のソルボンヌK子女史でないといけません。

*2:そこまで酷い名じゃないかも知れませんが、それでもやはり「タケノリ」とでも訓じて欲しいものです。

*3:上流階級の子ばかりを狙う手口で、さらったほぼ全ての子と仲良くなり懐かれているという伊達男。泣き喚かれてテンパって殺しちゃうような昨今のぺド共にも見習って欲しいものです。

*4:東大法学部の出身の細面のインテリで、二十台半ばでヤミ金を主催。事件が発覚し社会問題になると青酸カリを呷ってあの世へトンズラ。アプレゲールのニヒリストの権化みたいな奴

*5:何でもいいから勇壮な曲を流せ、との指示で選りに選ってこれを選んでしまったらしい