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「ハッピー☆マテリアル」の雪辱なるか
GWのつれづれに、新規開拓をということで、なんだか最近巷で話題の当シリーズをチョイスしてみました。以前山本弘氏が絶賛してたので、密かに気になってたんです。しかし、これの人気も相当なもののようで、行く本屋行く本屋何処も品切れで、久方ぶりに実家近辺の本屋総当りなんてのをやる羽目に成りました。本は探してる間が一番楽しいなんて酔狂な方ばかりでないでしょうから、広島での生息分布を報告。本通りのPARCO前の広文館に1〜7巻が、そこに程近いフタバ書房八丁堀店に最新刊8巻がありました。てなわけで、以下ネタバレ注意
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 文庫
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何もかもを巻き込んだ想像で遊ぼう
細かいあらすじ・評論は『トンデモ本?違う、SFだ!』のP211を参照のこと。この話を象徴する一言をずばり抜き出されて、完全に的を射た総論的感想を書かれては、蛇に足を書き足す元気も起こりません。そこらの雑誌の論評位鼻で笑って無視できるくらいの面の皮の厚さはあるんですが、流石に好きな作家さんだけあって、感性も似てしまうようです。軸線のずらしようもありませんでした。
これでおしまいと筆をおける身分に早くなりたいものですが、そういうわけにはいかないでしょう。重箱の隅をつついた感想を。文体は『スレイヤーズ』の成功以来乱立した一人称での独白体ですが、十年の淘汰を経てここまで洗練されたかと思える完成度。進化をやめた文壇とは違う、ラノベ界の熱さが感じられます。構成力は凡庸、発想も平凡、ましてや、修辞技法技法が優れているわけでもありませんが、その文章の持つ空気は不思議と暖かく、中座を許さぬ魅力をまとっています。頻出するマニアックと言うかオタッキィーなくすぐりが人によってはうざく感じるかも知れませんが、出自の卑しさによる過小評価を黙過していい作品ではありません。今すぐ本屋に行って、この本をレジに持って行きましょう。勿論表紙を下に向けて出すのを忘れずに。
明日また会うとき
平凡と安寧を何より嫌うハルヒには悪いですが、この作品は飽くまで平和な文科系高校時代を思い返させてくれます。熱く激しい体育会な日々に飽いた人にはお勧めです。文化部の平穏で退屈な生活を味わって見ませんか。