人面nya 旧作品No.13462 | pya! (ネタサイト)
地球が猫の惑星になる日も近そうです。
年度末恒例の出版ラッシュで最近金と時間が続かない管理人です。積読解消のサイト目的とからは多少外れますが、暫くは新刊のレビューを続けたいと思います。
第一弾として、当サイト頻出の山本弘氏の新刊を紹介します。書評本を評価するってのは、非常に厄介で、書き出す前から暗雲漂っていますが、頑張ってみようと思います。
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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天まで好奇心
前作『トンデモ本?違う、SFだ!』の続編で、そちらと同じく、一般的に知名度の低いB級SFを愛情溢れる視線で紹介している。文学的価値や文壇の評価などの下らないものに惑わされない一貫した価値観は、思春期からSFを愛しつづけた作者の審美眼の確かさと、世間に媚びない硬骨な精神の体現と言ってよいだろう。既に入手困難となっている作品も多く、やきもきさせられること請け合いだが、愛書狂にとっては、逢えない時間も前戯のようなもの。すぐに堕ちる女より余程愛らしいだろう。さあ、どの子を迎えに行こうかな。
おしまい。
嘘です。もうちょっと頑張ります。まずは恒例いちゃもんつけから。作者の「心はいつも十五歳」のキャッチフレーズに恥じず、中学生の「俺ってこんな凄い本知ってんだぜ」オーラ全開で読んでて気恥ずかしくなります。斜に構えた文学少年なら誰もが経験のあるだろう、「賞持ち作品なんてミーハーが読むものさ」病*1の匂いがプンプンして、文壇から見向きもされなかった作者のコンプレックスが容易に想像できます。粋がる年下の従兄弟の自慢を聞き流す、できた親戚のおにーちゃんな気持ちで、生暖かい視線で見守ってあげてください。とはいえ、折り紙付きの文章力は健在で、紹介されている作品のどれもが、読まずに死ねない珠玉の名作に見えてきます。*2B級特撮で有名なあの『妖星ゴラス』ですら、あたかもハードSF超大作の如く感じられます。相変わらずの俺様サイコーなノリの文章ですが、それを苦に感じさせず読み進めさせれる筆力には嫉妬を超えた感動すら感じます。この調子でいつまでも精力的な創作活動に邁進して欲しいものです。
不思議は常識
最後にオマケで、蛇足な個人的な海外SF評を、文学的に評価されづらいジャンルということもあり、訳者のレベルに疑問符が付く作品が多く、私のような文章の華麗さを最重視する手合いにはお勧めしづらいジャンルになっております。元は非常に詩的な表現だったんだろうなという部分がスポイルされているのを見るのは非常に辛いものがあります。嗚呼、英語喋れなくてもいいから古典準拠な表現やイカシタじょーくが完璧に理解できるようになりたいなぁ。