脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

四十八手について

 hagurebitoさんリクエストありがとうございます。風邪が治りきらず、実家に帰るのを一日延期したので、宿題を片付けておきたいと思います。しかしこのリクエストそこはかとなく悪意を感じてしまうのですが、気のせいでしょうか。あなた、先日後輩に「最近先輩のブログやり過ぎです」って俺が咎められる場に居合わせてたじゃんかよー。人が折角高尚且つ知的な路線に戻そうと四苦八苦してる矢先になんてことしてくれるんだ畜生。きちんとフォローするように。
 以上愚痴おしまい。どんな理不尽なリクエストでも全力を尽し、ニーズに応えるのがプロの仕事、頑張って更新しましょう。読者さまは神様です。それでは、以下必然的に下の話題が続くので、初心なおぼっちゃん及びカマトトなおぜうさまは激しく閲覧禁止。

馬鹿夫婦春画を真似て手を挫き

 まずは基礎事項の説明から。四十八手はその性格上種々様々あり、これが決定版というものは存在しないのですが、私が知ってるのはこのセット。
網代本手・揚羽本手・いかだ本手・せきれい本手・ことぶき本手・洞入り本手・笹舟本手・深山本手・入船本手・唐草居茶臼・忍び居茶臼・浜千鳥・横笛・こぼれ松葉・菊一文字・浮橋・八重椿・つばめ返し・卍くずし・出船うしろ取り・つぶし駒掛け・本駒掛け・〆込み錦・〆込み千鳥・うしろ櫓・乱れぼたん・本茶臼・いかだ茶臼・時雨茶臼・機織茶臼・御所車・月見茶臼・宝船・空竹割・志がらみ・筏くずし・廓つなぎ・かげろう・きぬた・狂い獅子・花菱ぜめ・雁が音・椋鳥・白光錦・さかさ椋鳥・二ツ巴・立鼎・やぐら立ち
以上で四十八手。頻出の単語を説明しておくと、本手が正上位で茶臼が騎乗位のことです。いろはに合わせて無理やり四十八個集めたせいで、無理があるのも多数ありますが、実際全部試すような暇人はいない*1でしょうから問題ないでしょう。それぞれの詳細については、HugeDomains.com - Shop for over 300,000 Premium Domains(18禁)で調べてください。それにしても詩情溢れる秀逸なネーミングの集合で、相当な知識階層が作成に関与していたことが伺えます。現代のお高く止まったインテリゲツァもこれくらいの余裕を持ってもらいたいものです。

 さて、イザナギイザナミが番の鶺鴒を真似たのを濫觴とする日本の性風俗の歴史ですが、先史時代から古代にかけては、性行為は豊穣の象徴として、非常に神聖なものでした。岩戸開きのアメノウズメの故事で分かるように、神事=性の祭典という感じだったのでしょう。*2それが崩れるのは禁欲を是とする仏教の流入以降です。シャーマニズムそのものであった古神道が仏教との混交によって宗教へと進化していくに伴い、日本人の無条件の性礼賛の風潮も暫く影を潜めます。
 しかし、外来の道徳で縛れるほど日本人の本性は甘くなかったようで、天才破戒僧親鸞・一休らの登場により、仏教も本来の絶対禁欲とはかけ離れた次元へと堕落してしまいます。
 そんなこんなで梅毒が猛威を振るった戦国が終わり、太平の江戸時代に入ると、性風俗は江戸で花開きます。その背景には、江戸の町の異常な男性過多と、儒教が女性に貞操を要求したのに対し、男性の禁欲はむしろ悪*3と見做されたからでしょう。その結果、健全な一般男性の初体験は遊郭*4が基本というある種異常な事態が出来します。安定供給が実現すれば、今度は質の向上が求められるのは夜の常、そこで暇と能力を持て余したインテリが手遊びに作ったものの一つが「四十八手」だったのではないでしょうか。

まとめ

 碌に調べ物せずに書くと、これくらいが限界です。暇とやる気が余れば、またきちんと調べて書きたいと思います。

 庶民が衣食住に困らずして始めて、性風俗は満開の華を開かせることができます。そう考えれば、現在の「性の乱れ」もむしろ言祝ぐべきことなのかも知れませんね。

今日の一行知識

アメリカには未だに自慰行為が法律で禁じられている州がある
ああよくぞ日本にうまれけり

参考文献

トンデモ一行知識の世界

トンデモ一行知識の世界

*1:ヨーロッパでは、ルネサンス期に存在した『ヴィーナスの姿態』という体位本を、冒険家のカサノヴァが全て試したという話が伝わっている。ちなみに感想は半分以上が実行不可能かできても全然気持ちいくないとのこと

*2:傍証として、平安末期の、神官と高級娼婦を兼任した白拍子、明治期まで残存していたといわれる祭の夜の乱交の風習などがあげられるでしょう。

*3:儒教のテーゼは子孫繁栄です。

*4:立ちんぼの夜鷹・非公認の岡場所・公認の吉原、と階級や予算に合わせて様々なレベルが存在していました。