脱積読宣言

日々の徒然に読んだ本の感想書いたり、カープの応援したり、小旅行記書いたりしてるブログです

広島小一女児殺害事件について

 我が実家のほど近くで起きた大事件として注目していた女児殺害事件も容疑者逮捕で一段落しそうです。しかしこれでまたレゾンデートルの確認の為にはいずくともしれぬ停車場へと出向かねばならぬ様になるのかと思えば、不謹慎ながらも悲しくはあります。世はさぞかし盛り上がるかと思いきや、捕まったのが日系三世のペルー人ピサロ=ヤギ=ファン=カルロス30歳。どういじれと、もし未成年やロリコンフィギュアマニアであれば、正義に燃えたマスコミが、日蓮の分派や特定アジアの国籍を持つ人であれば、根性の曲がった我らネチズンが、お祭騒ぎも出来たろうに、出稼ぎに来たペルー人、パンチが足りません、事実今朝方のワイドショーや2chの拍子抜けっぷりは微笑ましくも憐れを誘いました。折悪しく一方ではヒューザーの小嶋が正統派悪役の大貫禄で大見得を切っており、マスコミも綺羅星の如く分かりやすい悪役が居並び番組を作りやすい構造強度偽造問題の方に多くの時間を割いていました。*1ジャーナリズムも新時代のコミュニケーションも所詮野次馬の集まりに過ぎないことが証明されたのではないでしょうか。以下人によっては不謹慎に思うかもしれない表現が多分にありえます。お気をつけ下さい。
 
 あまり人様を嗤ってばかりいるのもみっともないので、夕方のニュースが始まる前に勝手な犯人像と事件の分析を。犯行の杜撰さは、日本の警察レベルを舐めてただけでしょうが、動機が今一はっきりしません。

  • 「営利誘拐」金には困ってたみたいですが、日本語も喋れないのにどう脅迫するんでしょうか。「カネカネ、キンコ」?そんな馬鹿な。却下。
  • 「変態性欲者」長く見積もっても「おもちゃ」を手元に置いてたのはせいぜい一時間。いくら予想以上にあっさり壊れたっていっても普通もう少し遊んでから捨てます。マニアの性は其処まで温くないです。説得力不足。
  • 「かっとしてやった。今は反省しているvipper帰れ。激しく不謹慎。

というわけで、異国の風の冷たさにふと人肌恋しくなったが、失業中で一夜の恋を贖う金もなく、襲いやすく後腐れのなさそうな小さな女の子を襲ったが、平和な日本の危機感の足りない少女がうかつにも抵抗してしまい、かっとなって殺したってとこでしょうか。なんと新鮮味も不思議もない事件でしょう。けどそれだけになんとも物悲しいではありませんか。
 
 奈良女児殺害事件以来の大ネタが、どうもありふれた悲劇に終わりそうな様相を呈してきましたが、今後マスコミはどう煽るのでしょうか。広島市民の日本国籍を有さないものへの狭量でもなじりますか?なんとも消化不足で終わりそうなこの事件、唯一希望というものがあるとすれば、少女の父の毅然とした態度でしょうか。マスコミに姿を現さず沈黙を守り続けるその姿は、軍人の矜持が感じられ、野次馬根性で注目していた我々に、悲劇に対する本来あるべき態度を示しているように感じられてなりません。

 不幸に理由も必然性もあるわけはないとは知りつつも、僅か7つの少女が受けた理不尽に涙を抑え切れません。もしこの世に来世があるのなら、そこでは幸せになって下さい。ご冥福をお祈りします。

一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)

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*1:ジャーナリズムの使命としては、所詮子供一人が死んだに過ぎない地方の事件より、業界の構造事態を揺るがしかねない問題を優先するのは当然なのですが、普段の行いが行いだけにどうしても邪推してしまいます。